お料理説明・背景
「Crosta(クロスタ)」とは硬い皮のことで、「in crosta」とはパイ包みやパン粉で焼いた料理のこと。今回ご紹介するクロスタは、ローズマリーが香る硬いパンのようなもので魚を包み込んだ料理だが、2キロもの大きなスズキを丸ごとオーブンで焼く豪快な料理。お客をもてなすホームパーティーなどに特におすすめの一品だ。テーブルにどーんと出せば、「これは何?!」とゲストたちが驚くこと請け合いで、パン包みを開く瞬間もとても盛り上がり、思い出に残る食事会を演出できる。
この豪快な料理を披露してくれたのは、3児のママとなったアリアンナさん。前回「プルーン入りニョッキ」を紹介してくれた、料理上手なマリアンジェラさんの長女だ。アリアンナさんが友人からレシピを教わったというスズキのクロスタは、これまで何度も友人たちに作っておりいつも大好評だったことから、今回はシーフードが大好物だという兄の誕生日ランチ会で作ることにした。
普通のスーパーではなかなか手に入らない2キロもの巨大なスズキは、業務用(レストラン従事者用)の魚屋で特別に仕入れてきた。兄の誕生日ランチ会が開かれる当日、母のマリアンジェラさんと協力して、様々な魚の前菜をたくさん作ったが、ランチ会の目玉料理はこの豪快なスズキのクロスタだ。手伝うマリアンジェラさんもどんな料理になるか興味津々。
魚づくしのアンティパスト(前菜)を楽しんでいる間にオーブンでじっくり焼き、完成したスズキのクロスタがテーブルに並ぶと、その場にいたみんなから歓声があがった。クロスタが硬めに焼き上がったため、なかなかクロスタを開けず、力持ちの夫のエウジェニオさんが包丁やハサミで開くことに。みんなの注目が集まる中、クロスタが開かれ中からスズキの頭が見えてくるとみんなの期待がますます高まる。
クロスタが完全に開くと、スズキは蒸されたような状態で姿を現す。クロスタに練り込まれたローズマリーのいい香りがふわっと漂ってくる。人数分に切り分け、手作りのアイオリソースを添えて全員に配られる。クロスタ自体も食べられるには食べられるが、かなり塩辛いのでこれは食べない。 主役の魚が大好物のアリアンナさんの兄も「魚本来が持っている味がしっかり楽しめて、とてもおいしい」と大喜びだった。
日本の家庭では2キロもの魚が入るほど大きなオーブンはなかなか無いかもしれないが、その場合はオーブンに入る魚を選び、大きさに応じて生地の量を調整することでアレンジが可能だ。もちろん白身魚であれば、スズキ以外でもOK。これほどホームパーティーで映える料理もそうそう無いのでは。みんなを驚かせたいような食事会で是非チャレンジしてみて!
元静岡朝日テレビ報道記者。2012年からフィレンツェ在局FMラジオにレギュラー出演中。FIATジャパン公式サイトや週刊新潮等でライターとして活動中。世界40カ国旅行。イタリアで起業、オンラインショップ&ブログ「AmicaMakoイタリアンスタイル」を運営。
作り方
下ごしらえ
- スズキは内蔵を取ってきれいに洗っておく。スズキのお腹にローズマリー5gを詰める。好みでイタリアンパセリやニンニク(生)を詰めてもいい。(写真a 参照)
- オーブンを180度に予熱しておく。
作り方
- ローズマリー15gをメッツァルーナなどの包丁でみじん切りにする。(写真b 参照)
- ボウルに小麦粉、塩、卵白、1のローズマリーを入れ、手で混ぜ合わせる。卵白は一度に加えず、様子をみながら加えていく。(写真c,d 参照)
- 2の全体が混ざったら、清潔な台に移し、しっかりと手でこねる。混ざりが悪く生地がボソボソするようなら、卵白を適宜加える。(写真e 参照)
- ボール状にできるくらい生地がまとまるまでしっかりこねる。(写真f 参照)
- 生地の上にラップをかけ、その上からめん棒で生地を伸ばす。(写真g 参照)
- 魚全体を覆える大きさまで生地を広げる。(写真h 参照)
- 生地でスズキを丸ごと包み、外からスズキが見えないよう全体をしっかり包み込む。(写真i 参照)
- 180度に予熱したオーブンで1時間焼く。(写真j 参照)
- 焼き立ては熱いので火傷しないよう注意しながら包丁やハサミで生地を切り分ける。(写真k 参照)
- お好みでアイオリソースを添えて提供する。(写真l 参照)