マンマのレシピ

マンマの紹介

  • エヴェリーナ・ヴァローリ(Evelina Valori)さん
  • ラツィオ州ポメツィア市在住
  • 【得意料理】ポルペッティーニ入りのジーティ

お料理説明・背景

「私が子供の頃は魚なんて食べたいと思ったことはなかったわ」そう話すのは、マルケ州の山の中で育ったエヴェリーナさん。山の中とはいえ、40分も車を走らせればアンコーナという海の町に到着するというのにである。

今でこそ寿司がもてはやされ、猫も杓子もとまではいかないにしても、生魚が好まれるようになったイタリアだが、高齢者の中には、今でも魚はイマイチという人も少なくない。そんな人たちにとって生魚は、まるでゲテモノ扱いである。そして、エヴェリーナさんもそのうちの一人。もっとも彼女の場合、生魚こそ食べないが、ローマに来てから火の通った魚は食べるようになったという。「魚介のフリットは悪くないわ」と魚を食べなかった幼少が嘘のように、今やおいしそうに口に運ぶ。

そんなマンマが、魚が嫌いだったというにも関わらず魚料理が得意なのには理由がある。カラブリア出身の貴族の館で、住み込みの給仕の仕事をしていた時期があったそうで、当初給仕だけのはずだったのが、器用さが買われ、厨房の手伝いまでするようになっていったのだとか。彼女の料理はカラブリア仕込みなのである。魚がおいしいカラブリアのシェフ直伝のレシピは、もちろんおいしくないわけがない。そのうちの一つがこちらのラザーニャである。

プンタレッレのサラダイタリアではクリスマスイブに肉を食べずに、魚を食べる習慣がある。 セコンドとして有名なのが、バッカラ(タラの塩漬け)を戻したものやカリフラワー、カルチョーフィなどのフリットである。パスタは家庭によりさまざまであるが、家族が集まるとラザーニャという家庭も多い。そんな理由からいつの間にか、エヴェリーナさん宅でもこのラザーニャがクリスマスイブの定番メニューとなっていったようである。 付け合わせには、もちろんローマ名物のプンタレッレのサラダを。アンチョビや胡桃をアクセントにいただく。

レポート:平賀 つぐみ(Tsugumi Hiraga)
日系航空会社にて国際線CAを12年、その間2年程フィレンツェに料理留学したのを機 に料理の世界に目覚める。イタリア料理以外にも懐石料理、ヴェトナム料理を学ぶ。2008年に渡伊。コルドンブ ルーでの非常勤講師を経て、自宅でイタリア家庭料理教室を主宰中。 野菜ソムリエ、現在はイタリアワインソムリエ取得中。 Instagram(@roma_italy_tsugumi)

材料

魚介のラザニア(4~5人分:20cm×27cmの耐熱皿1台分)

・ラザニア用パスタ生地300g乾麺でも可
・イカ250g
・エビ400g
・ムール貝またはアサリ500g
・タマネギ1/2個
・ニンニク1片
・白ワイン100ml
・イタリアンパセリ適量
・オリーヴオイル大さじ2
・グラナ・パダーノ適量粉チーズ代用可、お好みで

ベシャメルソース用

・小麦粉50g
・無塩バター50g
・牛乳300ml
・魚介だし300ml

魚介だし用

・タマネギ1個
・ニンジン大1本
・セロリ1本
・ニンニク1片
・ローリエ1~2枚
・イタリアンパセリ適量あればで可
・エビの殻や頭の部分適量多ければ多いほどよい
・魚の頭や廃棄部分あればお好みで
・オリーヴオイル大さじ1

作り方

下ごしらえ

  1. 魚介だしを作る。タマネギ、ニンジン、セロリはざく切りにする。
  2. 鍋にニンニクとオリーヴオイル大さじ1を入れ、ニンニクの香りがオイルに移ったら、ざく切りにした野菜、ローリエ、イタリアンパセリを加え軽く混ぜる。(写真a 参照)
  3. エビの殻や頭を入れ、すべてが浸るくらいまで水を入れたら、沸騰直前まで強火、その後弱火で蓋をして30~40分煮込んだら魚介だしの完成。(写真b 参照)
  4. ムール貝は一つずつ丁寧に洗う。エビは皮をむき、背わたをとる。イカは食べやすい大きさに切っておく。
  5. 生パスタは塩をひとつまみ入れた熱湯で1~2分ゆで、キッチンタオルの上で乾かしておく。(写真c,d 参照)
  6. タマネギはみじん切りにする。
  7. オーブンを170度に予熱する。

作り方

  1. 鍋にムール貝と白ワイン50mlを入て火にかける。ムール貝の口がすべて開いたら火から下ろす。粗熱がとれたら身を取り出し、ゆで汁は濾しておく。(写真e 参照)
  2. フライパンにニンニクとオリーヴオイルを入れ弱火にかけ、ニンニクのよい香りがしてきたらみじん切りにしたタマネギを入れ、半透明になるまでいためる。(写真f 参照)
  3. イカを加え、色が白く変わってきたらえびも加えてさっといためる。(写真g 参照)
  4. 白ワイン50mlを入れ強火でアルコール分を飛ばしたら、ムール貝の身とゆで汁、イタリアンパセリのみじん切りを加えて弱火で数分加熱する。(写真h 参照)
  5. 小鍋にバターを入れ弱火にかける。バターが溶けたら小麦粉を入れ、ペースト状になるまでしっかりと混ぜ合わせる。(写真i 参照)
  6. 別の鍋に魚介だしと牛乳を入れ、温まったら5のペーストを加え、泡立て器でしっかりと溶かしながら混ぜ合わせていく。
  7. なめらかになり、ややとろみがついたら火を止め、ここに4の魚介を汁ごと加えて混ぜ合わせる。魚介のベシャメルが完成。(写真j 参照)
  8. 耐熱皿に軽くベシャメルソースをさっと敷き、パスタ生地を1枚敷いたら、上に魚介とともにベシャメルソースをまんべんなく乗せ、お好みでグラナ・パダーノを振りかけ、またパスタ生地から繰り返す。(写真k 参照)
  9. パスタとソースとチーズの層ができたら、170度のオーブンで20~25分、きれいな焼き色がつくまで焼く。(写真l 参照)
  • a. 魚介だし用野菜を軽くいためる
  • b. エビの殻などを加え煮込む
  • c. パスタをゆでる
  • d. キッチンタオルの上で乾かしておく
  • e. ムール貝と白ワインを入れ蒸す
  • f. ニンニク、タマネギをいためる
  • g. イカとエビをさっといためる
  • h. 白ワインを加えムール貝と合わせる
  • i. バターを溶かし、小麦粉を加えて混ぜる
  • j. 魚介だしと牛乳をあたためペーストを加え、とろみがついたら魚介と合わせる
  • k. パスタ生地、魚介のベシャメル、チーズの順に繰り返す
  • l. 170度のオーブンで焼き色が付くまで焼く

お料理ポイント

魚介だしは時間のある時にたくさん作って冷凍しておくと便利です。 具材は魚介以外に白身魚などでもおいしいです。イタリアでは魚とチーズは相性がよくないと言われてきたこともあり、魚介にはチーズは入れないという人もいます。ですので、グラナ・パダーノ(粉チーズ)はお好みで入れてください。余談ですが、最近のモダン料理、特にミシュラン星付きのお店などでは、敢えて魚とチーズを合わせているのが流行りのようです。