2020年は未のパンデミックにより、人類にとって忘れられない困難な年となった。
とりわけイタリアは2月21日にミラノの南東65㎞に位置するコドーニョの町で最初のコロナ感染者の報道がされてから爆発的に感染が広がり、3月9日から6月上旬までのロックダウン措置となった。ロックダウン中はミラノの街は静まり返り、スーパーに入るのにも早朝から1時間以上並ぶような状態。今また第2波による感染状況の悪化で、移動制限やレストラン・バールの営業制限の措置がなされており、先行きの見通せない状況が続いている。
そんな状況でさえも前向きに捉えて、より良いパスタを作ろうとひたむきに取り組んでいるパスタメーカーがある。マンチーニ社だ。
今年2020年で創業10周年と、パスタメーカーとしてはまだ歴史は新しい。しかしながら、その質の高さから数多くのイタリアのミシュラン星付きシェフたちに愛され、有名な高級食材店イータリーでも大々的に取り扱われるイタリア最高級パスタの代名詞ともいえる存在だ。
マンチーニ社はパスタメーカーにしては珍しく、自社畑を所有し、小麦の栽培から一貫して管理を行っている。同社のパスタの質が高く評価されているのは、自社の理想とするパスタを実現するために、こだわって原料小麦の栽培を行うことができるということも大きく影響しているのだ。
そんなマンチーニ社では11月に、パスタ作りの第一歩とも呼べる小麦の種まきが行われた。
今年は移動制限のため、実際にその現場に立ち会うことはできなかったが、種まきの作業についてマッシモ社長にインタビュー取材をしたので、マンチーニ社の現在の心境とともにその内容を特集したい。
Q.「パスタメーカーとして2020年は創業10周年の節目の年ですね。会社の歴史は1938年にマッシモ社長の祖父マリアーノさんが農業会社を設立して7haの小麦畑を持ったことに起源があります。コロナウイルスの影響で非常に困難で異常な年となった2020年ですが、今年はどのように過ごしてきましたか?」
マッシモ社長:「今年はもちろん10周年を祝うような年ではなかったね。未来を見据えて種をまくべき時だったと捉えているよ。
今年の社会情勢の変化により、これまでの我々の主要なレストラン市場に加えて、注目すべき小売市場やネット市場でも販売が拡大し、家庭でもマンチーニのパスタを食べてもらえる機会がより増えてきているんだ。ロックダウン中は、幾度か活動の速度を緩めなければいけないことはあったけど、決して休止することはなかったね。」
Q.厳しい社会情勢の中での種まきはどのようなお気持ちでしたか?
マッシモ社長:「まず間違いなく種まきというのは翌年の小麦収穫の見通しを決めるとても大事な農作業。気を使いながら仕事をするし、今年は特にこんな大変な状況だ。2021年の7月に収穫するときにはコロナの状況が大きく改善していることを願って種まきしたよ。」
Q.今年は、3種類の小麦を種まきしたそうですね。高品質でグルテン含有量が豊富なマエスタ種、貧しい土地でも栽培可能な丈夫なナザレーノ種、そして2年前に新たに加わった祖父に捧げるノンノ・マリアーノ種*。(*ノンノ・マリアーノ種の詳細は以前のVENTO記事を参照)昨年まであったレヴァンテ種を無くしたのは、ノンノ・マリアーノ種がそれに変わり、よりマンチーニのパスタの品質を高めると確信したからですか?
マッシモ社長:「そうその通り!来年の収穫はその3種類の小麦品種さ。ノンノ・マリアーノ種は今まであったレヴァンテ種に特徴は似ているが、グルテンの質と弾力においてより優れるものだからね。我々の小麦栽培は、ワイン用のブドウ栽培と似ている。その年の気候と仕上がる小麦の状態を見ながら特徴の異なる品種をうまくブレンドするんだ。」
▲順にマエスタ種、ナザレーノ種、ノンノ・マリアーノ種
Q.種まきはとても大事な作業とのことですが、種まきの作業で注意していることは何ですか?
マッシモ社長:「全ての種から健全に芽が出て、土の上に元気に顔を出せるように、環境を整えてあげることが大事なんだ。たとえば、地面が水分を含みすぎている時は、地面を踏みにじらないようにしたり、それから、種が地表にまかれたり、逆に地中深くに入り込みすぎてしまわないよう、種の量が適正になるよう気をつけているよ。」
Q.最後に日本の消費者の方に、そしてマンチーニ・ファンに一言お願いします。
マッシモ社長:「社会を取り巻く環境は大きく変わりましたが、私たちは今もなお一切の妥協をせずに、ただ最高品質のパスタ作りに黙々と取り組んでいます。私はこの今の困難でスムーズに物事が運ばない状況は、改善のチャンスだとも考えています。その成果は世界が新たに再スタートするときに明らかになるでしょう。これからもマンチーニのパスタを楽しみにしていてください!いつもGrazie!!」
冒頭でも述べたように、原料小麦の栽培から自社で取り組んでいるパスタメーカーは稀有である。
嚙むたびに口いっぱいに小麦の風味が広がり、手打ちに負けないほどの食べ応えを感じられるマンチーニ社のパスタ。一口食べればその余韻を体が覚えてしまうほどだが、種まきから終始一貫してパスタ作りに情熱を傾けられるからこその唯一性だと感じさせられる。
2021年の小麦収穫の際は、大手を振ってマンチーニ社を訪問したい。きっとその未来がくるはずだ。それまでマンチーニの美味しいパスタを食べて前向きにがんばろう。そう勇気づけられるほど、マンチーニ社マッシモ社長はどんな時でも前を向いてひたむきにパスタ作りに取り組んでいるのだった。
▲マンチーニのパスタは茹でているときの香りからも特別感を味わうことができる
*ノンノ・マリアーノ種についての詳細は以前のVENTOから
https://www.montebussan.co.jp/italy/2018/006110.html
モンテ物産
http://www.montebussan.co.jp/
▼マンチーニ社について詳しくはこちらから↓↓▼
https://www.montebussan.co.jp/foods/mancini.html
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とりわけイタリアは2月21日にミラノの南東65㎞に位置するコドーニョの町で最初のコロナ感染者の報道がされてから爆発的に感染が広がり、3月9日から6月上旬までのロックダウン措置となった。ロックダウン中はミラノの街は静まり返り、スーパーに入るのにも早朝から1時間以上並ぶような状態。今また第2波による感染状況の悪化で、移動制限やレストラン・バールの営業制限の措置がなされており、先行きの見通せない状況が続いている。
今年2020年で創業10周年と、パスタメーカーとしてはまだ歴史は新しい。しかしながら、その質の高さから数多くのイタリアのミシュラン星付きシェフたちに愛され、有名な高級食材店イータリーでも大々的に取り扱われるイタリア最高級パスタの代名詞ともいえる存在だ。
マンチーニ社はパスタメーカーにしては珍しく、自社畑を所有し、小麦の栽培から一貫して管理を行っている。同社のパスタの質が高く評価されているのは、自社の理想とするパスタを実現するために、こだわって原料小麦の栽培を行うことができるということも大きく影響しているのだ。
そんなマンチーニ社では11月に、パスタ作りの第一歩とも呼べる小麦の種まきが行われた。
今年は移動制限のため、実際にその現場に立ち会うことはできなかったが、種まきの作業についてマッシモ社長にインタビュー取材をしたので、マンチーニ社の現在の心境とともにその内容を特集したい。
Q.「パスタメーカーとして2020年は創業10周年の節目の年ですね。会社の歴史は1938年にマッシモ社長の祖父マリアーノさんが農業会社を設立して7haの小麦畑を持ったことに起源があります。コロナウイルスの影響で非常に困難で異常な年となった2020年ですが、今年はどのように過ごしてきましたか?」
マッシモ社長:「今年はもちろん10周年を祝うような年ではなかったね。未来を見据えて種をまくべき時だったと捉えているよ。
今年の社会情勢の変化により、これまでの我々の主要なレストラン市場に加えて、注目すべき小売市場やネット市場でも販売が拡大し、家庭でもマンチーニのパスタを食べてもらえる機会がより増えてきているんだ。ロックダウン中は、幾度か活動の速度を緩めなければいけないことはあったけど、決して休止することはなかったね。」
Q.厳しい社会情勢の中での種まきはどのようなお気持ちでしたか?
マッシモ社長:「まず間違いなく種まきというのは翌年の小麦収穫の見通しを決めるとても大事な農作業。気を使いながら仕事をするし、今年は特にこんな大変な状況だ。2021年の7月に収穫するときにはコロナの状況が大きく改善していることを願って種まきしたよ。」
Q.今年は、3種類の小麦を種まきしたそうですね。高品質でグルテン含有量が豊富なマエスタ種、貧しい土地でも栽培可能な丈夫なナザレーノ種、そして2年前に新たに加わった祖父に捧げるノンノ・マリアーノ種*。(*ノンノ・マリアーノ種の詳細は以前のVENTO記事を参照)昨年まであったレヴァンテ種を無くしたのは、ノンノ・マリアーノ種がそれに変わり、よりマンチーニのパスタの品質を高めると確信したからですか?
マッシモ社長:「そうその通り!来年の収穫はその3種類の小麦品種さ。ノンノ・マリアーノ種は今まであったレヴァンテ種に特徴は似ているが、グルテンの質と弾力においてより優れるものだからね。我々の小麦栽培は、ワイン用のブドウ栽培と似ている。その年の気候と仕上がる小麦の状態を見ながら特徴の異なる品種をうまくブレンドするんだ。」
Q.種まきはとても大事な作業とのことですが、種まきの作業で注意していることは何ですか?
マッシモ社長:「全ての種から健全に芽が出て、土の上に元気に顔を出せるように、環境を整えてあげることが大事なんだ。たとえば、地面が水分を含みすぎている時は、地面を踏みにじらないようにしたり、それから、種が地表にまかれたり、逆に地中深くに入り込みすぎてしまわないよう、種の量が適正になるよう気をつけているよ。」
Q.最後に日本の消費者の方に、そしてマンチーニ・ファンに一言お願いします。
マッシモ社長:「社会を取り巻く環境は大きく変わりましたが、私たちは今もなお一切の妥協をせずに、ただ最高品質のパスタ作りに黙々と取り組んでいます。私はこの今の困難でスムーズに物事が運ばない状況は、改善のチャンスだとも考えています。その成果は世界が新たに再スタートするときに明らかになるでしょう。これからもマンチーニのパスタを楽しみにしていてください!いつもGrazie!!」
冒頭でも述べたように、原料小麦の栽培から自社で取り組んでいるパスタメーカーは稀有である。
嚙むたびに口いっぱいに小麦の風味が広がり、手打ちに負けないほどの食べ応えを感じられるマンチーニ社のパスタ。一口食べればその余韻を体が覚えてしまうほどだが、種まきから終始一貫してパスタ作りに情熱を傾けられるからこその唯一性だと感じさせられる。
2021年の小麦収穫の際は、大手を振ってマンチーニ社を訪問したい。きっとその未来がくるはずだ。それまでマンチーニの美味しいパスタを食べて前向きにがんばろう。そう勇気づけられるほど、マンチーニ社マッシモ社長はどんな時でも前を向いてひたむきにパスタ作りに取り組んでいるのだった。
*ノンノ・マリアーノ種についての詳細は以前のVENTOから
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