プールが劇場に
秋が深まるミラノからこんにちは。
コロナが落ち着いた後、ミラノの夏はどうなるのだろう?と思っていたら、例年通り、がらんどうに。今年は経済的な理由からバカンスにでかけない人も多いのでは?と想像しましたが、、、。やっぱりイタリア人にとって8月はヴァカンスなのですね。
ただ私の周囲を見渡す限り、安全上の理由から旅行には行かずに田舎の家で過ごしたり、旅行よりも海の近くの友人の家で過ごすような人たちが多かったような印象です。
ミラノのレストランやカフェは、コロナ大一派の後一気にテラス席が増えました。ミラノ市が特別に許可を出したのだと思いますが、安全なソーシャルディスタンスを確保するため、屋外席が増えて街がすこし華やいだ感じになりました。実情はかなり厳しいとは思うのですが、、。
さてまだ夏の終わりが色濃く残る9月中旬、友人に誘われてバレエのパフォーマンスに行きました。コロナの後、初めての文化的なイベントです。
会場はなんとプール。これであればソーシャルディスタンスもクリアできます。
主役はミラノの伝説的バレリーナ”Luciana Savignano ルチアーナ・サヴィニャーノ “ 。スカラ座のエトワールとして活躍し、モーリス・ベジャールの黄金期にボレロを初めとし、深くコラボレーションした踊り子・ルチアーナ。
彼女以外はすべて若手という舞台でしたが、彼女のオーラのすごさたるや。なんと御年77歳!というのでびっくり。背筋がピンとして、とても年齢を感じさせません。
バレリーナのために生まれたような体躯は80に近づこうという今でも、生き生きと空を切ります。ルチアーナの大ファンであり、同時に古い友人でもある私の友は、複雑な心境といいます。黄金期から比べると見るのが辛い、と。
私としては逆で、77歳でもこれだけのパフォーマンスにチャレンジし、そして若い人をインスパイアしている。そして踊ることが好きで好きでたまらない、踊っていないと自分でない、という彼女の踊り子としての本能に従っているルチアーナにとても惹かれるのです。女性としても憧れます。
舞台の後でその友人のおかげで何度かお目にかかったり、お食事の席でご一緒させていただいたルチアーナは、かつての大スターを感じさせないほどシンプルで、控えめで温かいお人柄でした。本物というのは彼女のように自然体なのだろうと感嘆せずにいられません。彼女の愛犬は秋田犬。エレガントな彼女の横にいつも静かに丸まっていて、すごく絵になります。
コロナ禍の後、初めて味わった舞台。感慨深いものがありました。また夏の終わりの雰囲気も満喫できるセッティングでもあり、心満ちた夜でした。
ミラノはただいまMIlano design weekというものがイベントとして走っていたり、Milano wine weekなるもももやっていたり、少しずつ日常が戻ってきています。お店に入るときは毎回マスクと検温、レストランでは何かあったときに連絡するための電話番号を書くこと。映画や美術館やプールは予約しないといけないことなども、もう慣れてきました。
それでも中央駅の前に見たこともないような長い長いタクシーの列などを見ると、胸が潰れそうな気持ちになります。観光客やビジネス客が早く戻ってきて、この街がまた活気が満ちる日が帰ってくるよう願うばかりです。旅行できる日がまた来ることがあれば、みなさまぜひミラノへイタリアへ!お待ちしています!
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ブログ LA CUCINETTA イタリアの小さな台所からhttp://www.casamorimi.co.jp/blog-125021252512464