マンマのレシピ

マンマの紹介

  • エヴェリーナ・ヴァローリ(Evelina Valori )さん
  • ラツィオ州ポメツィア市在住
  • 【得意料理】ミニミートボール入りのジィーティ

お料理説明・背景

ローマの三大パスタが、カルボナーラとアマトリチャーナ、そしてカーチョ・エ・ペペであることは、イタリアン好きの日本ではもはや周知の事実かと思われる。 とはいえ、本場イタリアではカルボナーラに生クリームが入らないこと、アマトリチャーナにタマネギを入れないことなどはそんなに知られていないような気がする。 各国のいいものを取り入れ、それを独自にアレンジするのはある意味日本の才能の一種ともいえるので、それはそれでよいのだ、そうも思えてくるのである。 実際に生クリームが入ったカルボナーラの方がマイルドで食べやすく感じることもある。本場中国の餃子もおいしいが、日本の餃子はもっとおいしい。日本のカルボナーラやアマトリチャーナもそんなところであろう。

アマトリチャーナにタマネギは入れない。 これは、実は料理を学んだ私ですら、数年前まで知り得なかったことである。なぜなら有名料理人のレシピを見ても、当たり前のように材料にタマネギと書かれている場合が多いからである。

アマトリチャーナはローマ近郊のアマトリーチェという町が発祥のパスタである。 アマトリーチェで作られるアマトリチャーナには、実はタマネギだけではなくニンニクも入いらない。素材の味を大切にする、イタリアらしさが垣間見られる。

今回アマトリチャーナソース入りのラヴィオリを作ってくれたエヴェリーナさんは、手打ちパスタ作りが大好きという82歳のシニョーラ。暇を見つけては手打ちパスタ作りをしているそうだ。実際に、数日前に作っていたというパスタが隣に無造作に置かれていた。

エヴェリーナさん曰く、パスタにも歴史があるという。最初にカーチョ・エ・ペーペというペコリーノチーズと黒故障のシンプルなパスタが生まれ、そこに豚のほほ肉でもあるグアンチャーレを加えたものとしてグリーチャが発祥した。更にグリーチャに卵を加えたものがカルボナーラとなり、卵の代わりにトマトを加えたものがアマトリチャーナになったのだとか。ちなみにグリーチャは『白のアマトリチャーナ』という別名を持つのだが、確かに赤い色のトマトを加えたらアマトリチャーナになる。なかなか興味深い話である。

ラヴィオリを作りながら、エヴェリーナさんは彼女の妊婦時代を懐かしく振り返っていた。というのも、イタリアでは妊婦が食べてはいけないものの一つにアマトリチャーナがあるからである。脂の乗ったグアンチャーレやペコリーノと確かにカロリーを考えたら仕方がないのかもしれない。アマトリチャーナが大好きだというエヴェリーナさんは、グアンチャーレの代わりに豚の腹肉のパンチェッタを用いたり、スペックを使用したりしながら、大好きなアマトリチャーナの代用となるものを当時は作っていたのだとか。そこまでしても食べたい、ローマ市民にそれほどに愛されているパスタがアマトリチャーナなのである。

レポート:平賀 つぐみ(Tsugumi Hiraga)
日系航空会社にて国際線CAを12年、その間2年程フィレンツェに料理留学したのを機 に料理の世界に目覚める。イタリア料理以外にも懐石料理、ヴェトナム料理を学ぶ。2008年に渡伊。コルドンブ ルーでの非常勤講師を経て、自宅でイタリア家庭料理教室を主宰中。 野菜ソムリエ、現在はイタリアワインソムリエ取得中。https://ameblo.jp/tsugumi-hiraga

材料

アマトリチャーナのラヴィオリ(4人分)

・グアンチャーレ100g
・トマトのホール缶400gできればサン・マルツァーノ種
・ペコリーノ・ロマーノ適量
・卵3個
・小麦粉300g
・塩少々
・冷水適宜

作り方

作り方

  1. 木製の台の上に小麦粉でくぼみを作り、そこに卵3個と塩をひとつまみ入れる。(写真a 参照)
  2. 卵をほぐし、少しずつ小麦粉の土手を崩しながら生地を混ぜ合わせていく。生地が固すぎる場合には、適宜冷水を加える。(写真b 参照)
  3. 生地がまとまったら、ラップをして冷蔵庫で30分ほど休ませる。(写真c 参照)
  4. グアンチャーレを1cm幅に切り、フライパンへ入れて火にかける。(グアンチャーレの脂質でいためるのでオリーヴオイルは加えない)。(写真d 参照)
  5. 脂質分が溶け出しそのオイルでグアンチャーレがカリカリになったら、グアンチャーレのオイルを残し、グアンチャーレだけを取り出しておく。(写真e 参照)
  6. グアンチャーレのオイルにサン・マルツァーノを手でつぶしながら加え、中火で水分を飛ばすように煮込んでいく。(写真f 参照)
  7. 水分がなくなったら、先ほど取り出していたグアンチャーレを加え30秒ほど一緒に加熱したのち、ハンドミキサーにかける。(写真g 参照)
  8. 8を冷ましておく。これがラヴィオリの中に入れるリピエーノとなる。(写真h 参照)
  9. パスタ生地をパスタマシーンで薄く伸ばしていく。(写真i 参照)
  10. 生地を半分に折り、上を少しカットし、また生地を広げる。(写真j 参照)
  11. 生地の右側にリピエーノを少しずつのせていく。(写真k 参照)
  12. 左側の生地をかぶせ、リピエーノの周りを手でしっかりと押しつぶしていく。(写真l 参照)
  13. 生地を型で丸くくり抜く。(コップを利用しても良い)(写真m 参照)
  14. 熱湯で約4分ゆで、水分をしっかり切ってから器に盛り付け、すりおろしたペコリーノ・ロマーノを振りかける。
  • a. 小麦粉のくぼみに卵を割り入れる
  • b. 卵をほぐして小麦粉と混ぜ合わせていく
  • c. 生地をこねて休ませる
  • d. グアンチャーレを切る
  • e. カリカリになったら取り出す
  • f. 同じフライパンにサン・マルツァーノを加える
  • g. グアンチャーレを戻し入れミキサーにかける
  • h. 冷ましたらリピエーノの完成
  • i. パスタ生地を伸ばす
  • j. 生地を半分に折り、また広げる
  • k. 生地の右側にリピエーノをのせる
  • l. 生地をかぶせて周りを押しつぶしていく
  • m. 生地をくり抜く

お料理ポイント

この料理のポイントは、普段パスタソースとしていただくアマトリチャーナソースをリピエーノにしていることです。リピエーノは水分が残っているとラヴィオリをきれいに閉じることができなくなる可能性があるので、しっかりと水分を飛ばして作ること。パスタソースよりも固めの仕上がりがベストです。

グアンチャーレの代わりにパンチェッタを使用することも可能ですが、その場合にはオリーヴオイルも少し加えてパンチェッタをいためてください。その際の塩分は、塩を加えるなどお好みで加減して下さいね。

パスタ生地をコップで型取りする場合には、丸く切り取った後、円の端の部分をフォークの先で押しながら縞模様をつけるようにし、上下の生地がしっかりとくっつくようにします。そうすることにより、ゆでている間の生地の破損を防ぐことができますよ。