お料理説明・背景
牛肉とたっぷりのタマネギをゆっくりじっくり煮込んで作る、ナポリ料理を代表するこちらの一品は、家族が集まる日曜日のランチにぴったりのメニュー。ナポリの日曜日のランチというと、パスタやリゾットなどのプリモピアットを楽しんでから、肉か魚のメイン料理のセコンドピアットとコントルノと呼ばれる付け合せの野菜料理を合わせて振る舞い、最後にドルチェでしめるコース仕立てになっています。ランチの前にミサに行くお母さんであれば、前日にこのジェノヴェーゼの準備をしてしまえば、ソースをパスタと合わせてプリモピアットにしたり、そのままセコンドピアットの肉料理として出したりと、お母さんの味方となってくれる料理です。ゆっくりと煮込むことでタマネギの甘みが引き出される優しい家庭的な味わいは、お母さんの元に集まる家族を和ませます。
ちなみに、パスタとあえる場合、こちらではズィーティやズィットーネという中心に空洞のあるロングパスタを手で5−7センチほどに短く折って使うのが定番。(昔はショートパスタがなかったので、ロングパスタをこうして自分たちで切っていました。)ズィーティが手に入りにくい場合は、リガトーネやペンネがおすすめです。
ナポリの典型的な料理が何故ジェノヴェーゼ=ジェノヴァ風と呼ばれているのか疑問に思う方が多いのではないでしょうか?
いくつかの説がありますが、一つはナポリがアラゴン王家の領土だった際ジェノヴァに由来する料理人がタマネギと牛肉をベースにするソースをあえたパスタ料理を作っていたからというもの、そしてもう一つはこの料理を作り始めた凄腕で謎めいたナポリ人シェフのあだ名が「オー・ジェノヴェーゼ」であったからというもの。そのほかにも今は無きジェノヴェーシという名前の路地でナポリ人シェフが作り始めたという説もあれば、海路を放浪中だったナポリ人の水兵がジェノヴァの女の子に恋をし、故郷に戻りこの料理を作ったことに由来するなど、さまざまです。ナポリ人でさえこのおいしいソースを口に頬張りながら、「典型的なナポリ料理なのにどうしてジェノヴァ風と呼ぶんだろうね? 」と話題にすることがあり、色々な説をおしゃべりしながら・・・・・・「まぁ、おいしいのが一番大切だね!」などと笑って食べる姿を見かけます。
以前タリアテッレのオーブン焼きを紹介してくれた、お料理上手なラウラママですが、実は新しいパートナーの家に引っ越しをし、広い畑を楽しんでいます。野菜を育てるだけでなく、見事なレモンの木からとれた自家製リモンチェッロやレモンジャムも作っているそう。ニコニコしながらタマネギソースが焦げ付かないようにかき混ぜる姿を見ながら、ラウラマンマの優しさもこのタマネギソースのおいしさの秘訣の一つだな、と感じる次第でした。
作り方
作り方
- ニンジン、セロリ、タマネギをみじん切りにします。セロリの葉の部分は苦みが出るので除きます。牛肉も冷蔵庫から出し、常温に戻しておきます。(写真a 参照)
- 鍋にオリーヴオイルとニンジン、セロリのみじん切りを入れ中火にかけます。(写真b 参照)
- ニンジンとセロリにオリーヴオイルがよく絡まり温度が上がったら、中火のまま肉を加えます。(温度が上がるとオイルに細かい泡が見えてきます。)(写真c 参照)
- 肉の表面全体に火が通るまでいためる。(焼き色がついてしまうといため過ぎなので注意)(写真d 参照)
- タマネギを加え、全体に火が通るように中火でいためたら、バジリコと塩を加えます。(写真e 参照)
- 全体に火が通ったら、白ワインを加えアルコールを飛ばし、蓋をして弱火で1時間半~2時間煮込みます。鍋の底が焦げ付かないように時々かき混ぜます。(写真は60分後)(写真f 参照)
- 器に盛り付けて、できあがり。(写真g 参照)
- パスタとあえる場合は、パスタのゆで汁の表面にたまる白いアミドとゆで汁を加えることで、パスタにソースがよく絡みます。たっぷりのパルミジャーノ・レッジャーノとバジリコを加えると風味豊かになります。(写真h 参照)