モデナ人とノチーノ
本格的な暑さが始まったイタリア。
皆さんいかがお過ごしですか?
6月24日はサンジョバンニ(洗礼者ヨハネ)の聖人の日です。毎年モデナのスピランベルト市の守護聖人であるため、例年であれば、前後の週末にスピランベルトでは市を挙げてお祭りがあり、バルサミコ酢の品評会が行われるのですが、今年は残念ながら中止。来年に期待がかかります。
さてこのサンジョバンニの日を境に仕込む、青いクルミを使ったリキュールの話をしたいと思います。ノチーノくるみ酒という意味で、
サンジョバンニバッティスタ(洗礼者ヨハネ)の聖人の日6月24日からサン・ピエトロ(聖ペテロ)の日6月29日の間に収穫する、青いくるみはまだ包丁で切れる位の柔らさのものを使います。
あの硬いくるみを想像すると青い実部分を使うのかと驚かれる方もいるかもしれませんがとてもいい香りなのです。
モデナの郷土料理レストランに行くと必ずと言っていいほど、食後にノチーノはいかがですか自家製のものがありますよ。と勧めてくださいます。グラッパやリモンチェッロなんかもお盆に乗ってくることはありますが、モデナに来たらやっぱりノチーノを選ぶのがツウではないでしょうか?
地元の人ならば、飲んだ後あーやっぱり家のノチーノ方がおいしいなぁなんて一言。そこですかさずレシピを聞いて回って集まったレシピ…まあこんなにバリエーションがあるのかとびっくり。
私の個人調査結果では、
1Lのアルコールに対して7個から35個のくるみの開きがあり、入れるスパイスもまあ色々。何も入れないという人、シナモンとクローブが王道ですが、レモン、オレンジの皮を入れる人、はたまたコーヒー豆、リクイリツイア(甘草)を入れるなどなど
切り方も半分、1/4に切る、半量は半分残りの半分は1/4にして混ぜる…はたまた丸のままなど
アルコールとくるみスパイスを漬け込む、すぐに砂糖も投入する、砂糖は後から入れる、冷暗所に保管、ガラス瓶を夏の太陽に当てるまあいろんなレシピが出てくる出てくる。
寝かせる期間も半年から数年。人によっては木樽で寝かせる。樽の木の種類もバルサミコ酢の樽のお膝元だけに、くるみか、西洋オーク、はたまた他の材質かそこまで考えるとレシピは無限です。
バルサミコ酢の鑑定仲間の中にはモデナノチーノ協会の人もおり、ずいぶんとお誘い頂いたのですが、会場から車で帰れなくなること必須なので、丁重にお断りしております。
写真はモデナ ノチーノ協会のHPより(過去の写真です。)
興味半分聞いてみると、
「ノチーノ鑑定会は楽しいよお。大体3番目のサンプルくらいからみんなすごーく陽気になるからさあ。バルサミコ酢みたいに真面目な顔でやれないよワッハッハー」
スピランベルト市長も参加(モデナノチーノ協会 HPより)
楽しそうです。さすがアルコール度数30-40度。
少量では消化を助け、健胃作用があると言われていますが、地元のお爺さんが「ノチーノはどんな病気よりもモデナ人を殺したという格言があるくらいだから」と教えてくれました。確かに口当たりが良くて女性も好みなお味。ついつい飲み過ぎてしまう危険なリキュール。イタリア全土で作られているようですが、モデナの人に他の地域でも作られていますよね。と口を滑らそうものなら、モデナのものが一番に決まっているさ!と説教されること間違いなし。それだけモデナ人が愛してやまないリキュールです。
我が家でもクルミの数を変え、作り方を変え試しに試し出来上がった、我が家のレシピをYouTobe動画にてご紹介します。
YouTobe 動画 Akane in balsamicland
↓ ↓ ↓https://www.youtube.com/channel/UCaL8SHTuzQLOpX-woBWxTtg?view_as=subscriber
皆さんも青いくるみが手に入ったら作ってみては?
そして、お好みのものができたら、うちのものは最高だよ。と食後にお客さんに勧めてみて下さい。