
お料理説明・背景

ベネデッタのお宅はトラーパニから車で約20分、ダッティロというバールが1軒だけある小さな村。家に着くと大きな門があって、その奥には大きな古い家。そして裏に回れば広大な畑とオリーヴ畑。絵に描いたようなシチリアの田舎のお宅だ。 裏の畑には春になると、ソラマメ、グリーンピース、アスパラガス、カルチョーフィ・・・・・・春の味覚がたくさん! ある日、ベネデッタの家に遊びに行くと、「ソラマメ収穫しに行くわよ!」と、大きなカゴを持って家から裏の畑へ威勢よく飛び出ていくベネデッタ。
畑に行くと白と黒のモノトーンでとても美しいソラマメの花が咲いていた。ソラマメは空に向いているから「空豆」と言うのだとは知っていたけれど、その姿を初めてみたのは16年前、シチリアに住み始めた頃。東京で育った私には、家の裏に畑があって、収穫しての野菜を使って料理をすることがとても贅沢に思えたが、ここシチリアでは至って普通。
ソラマメのペーストはトラーパニ近郊ではたくさんの人が作っているが、ベネデッタのペーストが私は一番好き。でも工程はあまりにもシンプルでどこに秘訣があるのか分からない・・・・・・。ベネデッタに聞いてみると、
「ソラマメのペーストを作るには、できるだけ小さなうちに収穫した方がおいしくできるのよ。」
えぐみが少ないうちに収穫して作るのが秘訣らしい。大きく成長しすぎてから収穫すると、独特のえぐみが出てくるという。
そういえば、私、日本ではソラマメは大っ嫌いな食材の一つだったのだ。シチリアに来てから、知人の家に招かれた際、ソラマメのピュレが出てきて・・・・・・断り切れずに食べてみたところ、これがおいしい! その春は、どれだけソラマメを食べたことか。日本で嫌いだったのは、ソラマメ独自の匂い。その匂いがイタリアのソラマメにはない。イタリアのソラマメは日本のものよりも細長く、中に入っている豆の数も5~6個と多い。種類が違うことも関係しているとは思うのだけれど、一番違うのは鮮度かもしれない。私がごちそうになったマンマは、みんな家の裏に畑を持っていて、収穫したてのソラマメで作った料理を振る舞ってくれたのだ。好きなタイミングで収穫ができるからこそ、おいしいソラマメのペーストができるのだ。
じゃあ、大きいソラマメではおいしくできないの? と聞いてみると、「ミントとオリーヴオイルの量をちょっとだけ増やすと、えぐみが消えておいしくなるわよ!」
なるほど。それなら日本の皆さんにも作ることが可能だ。 シチリアでもソラマメの季節は3月中旬~4月いっぱいまでの1か月半くらいと、旬が短い食材の一つ。旬が終わる前に今年も春の味覚を楽しもう!
2005年よりイタリアの南の島、シチリア島在住。力強い大地の恵みと美しい大自 然にすっかり魅せられ、シチリアに残ることを心に決める。現在、シチリア食文化を研究しつつ、トラーパニでシチリア料理教室を開催。また、シチリア美食の旅をコーディネートする「ラ ターボラ シチリアーナ」の代表&コーディネーターとしてトラーパニで活動中。 シチリア美食の旅をコーディネート「ラ ターボラ シチリアーナ」
作り方
- 鞘が付いている場合は、鞘から外す。
- 鍋に湯を沸かし10%程度の塩(分量外)を入れ、ソラマメを柔らかくなるまでゆで、周りの皮をむく。(写真a 参照)
- モルタイオ(すり鉢)に皮をむいて芽をとったニンニクと塩ふたつまみを入れ、クリーム状になるまですりつぶす。(写真b 参照)
- ミントを加えさらにすりつぶしたら、オリーヴオイルを小さじ1程度加える。(写真c 参照)
- 2のソラマメを入れ、ペースト状になるまですりつぶし、残りのオリーヴオイルを注いでよく混ぜたらペーストの完成。(写真d 参照)
- パンをこんがりと焼いて、ペーストをのせる。(写真e 参照)