お料理説明・背景
春分の次の満月後の最初の日曜日は復活祭。3月下旬から4月中旬の間で毎年日付が変わり、2020年の復活祭は4月12日の日曜日です。お菓子屋さんには卵型のチョコレートの中にプレゼントが入ったイースターエッグが並び、春らしいパステルカラーの花やヒヨコで飾られた華やかなショーウィンドウが増える復活祭シーズンですが、復活祭の前は数々のミサや宗教行列があり、キリストの受難と死を記念する聖金曜日は深夜まで宗教行列が行われます。
復活祭当日は盛大なミサに参列した後、家族そろってキリストの復活を、サラミや卵を使った前菜や子羊を使った豪華な昼食とともに祝います。復活祭の翌月曜日もパスクエッタと呼ばれる祝日になっており、こちらではピクニックを楽しむ習慣があります。今回はそのピクニックランチにも適していて、復活祭ならではの新鮮な卵と春の訪れを感じさせてくれるグリーンピースをたっぷりと使った「タリアテッレのオーブン焼き」をご紹介します。ナポリ中心地から車で約30分、人口約3万5000人の中小都市サレルノ県アングリ市在住のラウラマンマに教えていただきました。
ラウラさんは40歳でご主人を亡くし、ご自身の自動車保険会社を経営しながら一人で二人の娘さんを育てられました。今は娘さんも30代半ばになり、事業からは引退して、ご自身の時間を楽しむ日々を送られています。そんなラウラさんの趣味は料理。ご自身の作る料理を食べてくれる人のことを思いながら小麦粉をこねる時間が大好きなんだそう。ラウラさんとお話しをすると、多忙な毎日の中でも決まった時間に食卓を囲み、手料理を味わいながら娘さんたちと一緒に過ごす時間をとても大切にされていたことが伝わってきます。実は筆者の家に遊びに来てくれる時は、ミートボールや手作りケーキ、さらにラウラさんの弟さんが作るオーガニックワインまで入ったバスケットを持ってきてくれ、主人だけでなく子供たちの胃袋もつかんでおり、ラウラさんが登場すると子供たちがバスケットに向かって走る姿が恒例になっています。
「ふとした時に、ラウラの作ったあのパスタおいしかったな、って思い出してくれるような料理を作りたい。お料理って人の気持ちを優しくするし、どこかで覚えていてくれるから。」と。今回のオーブン焼きは、友人宅に自宅から料理を持っていくことも多いラウラさんならではの一品です。
ラウラさん曰く「復活祭の訪れを祝うために、少し時間のかかるパスタをあえて家族と一緒に作ることを大切にしているの。楽しみながら料理をする時間に心が満たされ、お祭りを家族と一緒に祝えることがとても幸せ」と少女のように微笑んでいました。
材料
タリアテッレのオーブン焼き(6人分)
【ソースA】 | ||
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・タマネギ | 中サイズ1/2個 | |
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル | 大さじ4 | |
・白ワイン | 大さじ5 | |
・トマトピューレ | 1L | |
・ホールトマト | 500g | |
・牛ひき肉 | 250g | |
・塩 | 適宜 | |
【ソースB】 | ||
・タマネギ | 中サイズ1/2個 | |
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル | 小さじ5 | |
・ベーコン | 100g | |
・グリーンピース | 300g | 下ゆでしておく、冷凍可 |
・キノコ | 200g | ミックスキノコかマッシュルーム、冷凍可 |
タリアテッレ
・デュラムセモリナ粉 | 400g | |
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・卵 | 4個 | |
・小麦粉 | 30~50g | デュラムセモリナ粉と卵をこねた後、板に生地がつかないようにする打ち粉として使用。 |
トッピング
・スモークモッツァレッラチーズかモッツァレッラチーズ | 500g | |
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・パルミジャーノ・レッジャーノ | 30~50g |
作り方
- グリーンピースの芯がなくなるまで下ゆでしておく。
- ソースAとソースBに使うタマネギをみじん切りにしておく。
- モッツァレッラチーズを直径8mm程度のキューブ状に切っておく。
- 2種類のソースを作る。(下記参照)
- タリアテッレを作る。(下記参照)
- 具材をあわせて耐熱容器に入れ、オーブンで焼く。(下記参照)
ソースAを作る
- 鍋にオリーヴオイルを入れ、みじん切りにしたタマネギをしんなりするまで弱火でいためる。(写真a 参照)
- タマネギがしんなりとしたらひき肉を加え、全体に火が通ったら白ワインを加えてアルコールが飛ぶまで中火でいためる。(写真b 参照)
- トマトピューレとホールトマトを加える。トマトピューレの瓶にピューレが残るので瓶に50~100mlの水を入れて少し振り、瓶に残ったトマトピューレと水が混ざったら鍋に加え、弱火で60分ほど煮込む。(写真c 参照)
- 最後に塩を加え味を調える。(写真d 参照)
ソースBを作る
- みじん切りにしたタマネギをオリーヴオイルでしんなりするまで弱火でいためたら、ベーコンを加え弱火でさらにいためる。
- ベーコン全体に火が通ったらキノコを加え中火でいためる。(写真e 参照)
- キノコにも火が通ったらグリーンピースを加え20~30分ほど時々かき混ぜながら弱火で煮込む。(写真f 参照)
タリアテッレを作る
- デュラムセモリナ粉を大きめの木製の台の上に円形に広げ、中心をくぼませ、そこに卵を割り入れる。(写真g 参照)
- 卵とデュラムセモリナ粉を最初は指を使って全体に混ぜ、卵がデュラムセモリナ粉に混ざってきたら手のひらも使いより均等にこねていき、ラグビーボールのような球状にする。(写真h 参照)
- まとまった生地を約1cmの厚さに切り、手で素早く柔らかくしたら、台の上で10cmほどの円形に伸ばす。(写真i 参照)
- 打ち粉を振り、パスタマシーンで伸ばし、さらに半分に折りパスタマシーンで伸ばし、もう一度半分に折りパスタマシーンで伸ばす。(写真j,k 参照)
- 生地を全て手がすける程度の薄さになるまで、折っては伸ばしという作業をくりかえす。(写真l 参照)
- 付属のパスタカッターをパスタマシーンにつけ、幅約1cmにタリアテッレをカットする。タリアテッレは長いので、家族や友人に最初にパスタマシーンでカットされた方を腕にのせて安定させるとスムーズにカットできる。(写真m,n 参照)
- カットされたタリアテッレはくっつかないように、ステンレス製の棒に吊るしかける。(写真o 参照)
耐熱容器に具材を入れていく
- ソースAとソースBを別々の鍋に入れ、弱火にかけあたためる。
- タリアテッレを鍋でゆで、湯切りしする。手打ちのタリアテッレの場合、ゆで時間は約2分。(後ほどソースと和えてオーブンに入れるので、固ゆでがよい。既成の乾燥タリアテッレを使用する場合も、表示ゆで時間より約2分ほど少なく固めにゆでる。)(写真p 参照)
- 大きなボールにタリアテッレを移し、ソースBを全て加え、混ぜながらソースAの半分も加えて優しく下から上にヘラを動かしながら混ぜる。(写真q 参照)
- ソースと和えたタリアテッレの半分を約40cmの長方形耐熱容器にうつす。(写真r 参照)
- 表面に残ったソースAの半分を加え、キューブ状に切ったモッツァレッラチーズの半分をのせる。(写真s 参照)
- 残りのタリアテッレを耐熱容器に加え、残りのソースAと残りのモッツァレッラチーズをのせる。仕上げに全体にパルミジャーノ・レッジャーノをたっぷりかけて、200度のオーブンで約45分焼く。(表面に少し焦げ目がついたら、できあがりのサイン。)(写真t 参照)