ガンベロ・ロッソ誌(※1)の年間最優秀白ワイン賞にルナエ社の”エチケッタ・ネーラ”ヴェルメンティーノが選ばれたのは、昨年2019年のことだ。
ルナエ社はリグーリア州のワイナリーで、バジルを使ったジェノヴェーゼ・ペーストで有名な港町ジェノヴァから海に沿って東に向かい、車で1時間半ほど行ったところにある。
風光明媚なチンクエ・テッレを横目にルナエ社まで到着すると、隣のトスカーナ州はもう目と鼻の先だ。
トスカーナ州に入って少し進むと、衛星写真でも真っ白に見えるぐらい白い山々が見えてくるが、真っ白なのは雪ではなく、なんと大理石。
ここは、かの有名なミケランジェロも使っていたという大理石の名産地、カッラーラだ。
採掘場のすぐ近くにあるコロンナータの町では、上質なラルド(豚の背油の塩漬け)として有名な”ラルド・ディ・コロンナータIGP”が作られる。
ヴァッレ・ダオスタ州の”ラルド・ダルナー(ド)DOP”と並んでイタリアが世界に誇る2大ラルドのうちのひとつだ。
ルナエ社の周辺ではリグーリア州とトスカーナ州にまたがって生産されるコッリ・ディ・ルーニDOCが有名で、白はヴェルメンティーノ、赤はサンジョヴェーゼが主要品種になる。
前述の”エチケッタ・ネーラ”はコッリ・ディ・ルーニDOCのカテゴリーだが、リグーリア州のみならず、イタリア各地で造られるヴェルメンティーノの中でもトップレベルの品質であることが昨年の受賞で証明された。
「ガンベロ・ロッソの最優秀白ワインだなんて、それはもう大変なお祭り騒ぎだよ!」
そう語るのは長年ルナエ社で輸出責任者として働くミケーレ・ジャナッツァさんだ。
「ちょうど日本で開催されるガンベロ・ロッソ誌のイベントのために来日準備をしていたところ、そんな最高のサプライズが飛び込んできたんだ。」
最高評価である3ビッキエーリ(3つグラス)を2008年ヴィンテージから10回も連続で受賞したことも快挙だったが、さらにそれを上回る結果となった。
「2018年ヴィンテージももちろん3ビッキエーリを期待していたけど、まさかその中でもナンバーワンになれるとはね!」
いつも落ち着いた物腰のミケーレさんにしては珍しく興奮気味に喜びと驚きを表現していた。
ルナエ社を創業したのは、表題の”ちょっと助平なオヤジ”、パオロ・ボゾーニさんだ。
男性だらけのグループでワイナリーを訪問すると、
「なんだ、今日は女性ゼロか!じゃあベッドに戻るとするか…。」
と、こんな冗談を言っては部屋に戻るふりをして、ニヤリといたずら小僧のような笑みを浮かべる。
イタリアでは挨拶をする際に2回キスをする、と言っても左右の頬を交互に合わせるだけのチーク・キスをするのだが、女性が訪れるとパオロさんからはずいぶん”手厚い”チーク・キスで歓迎されることになる。
「この辺りは海までも数kmと近いため、日中に海から流れ込む暖かい風と、背後にそびえるアペニン山脈から夜に吹く冷たい風がブドウにとって理想的な環境になっているんだ。こうして生まれた昼夜の寒暖差により、香り高いワインができる。我々ルナエ社の顔とも言える”エチケッタ・グリージャ”は、丘の中腹から麓にかけての選抜されたヴェルメンティーノを使用しているが、”エチケッタ・ネーラ”は標高が高い畑のヴェルメンティーノを厳選し、最良のブドウのみを使って造られるフラッグシップワインだ。」
こういったワイナリーやワインの説明をする際にも
「でもワインよりも大切なものがある…。それは女性だ!」
と冗談を交えながら楽しそうに話すのだが、発酵を終えたばかりのタンクから試飲をする瞬間には、すっと真剣な表情になって状態を見極めていたのが印象的だ。
ワインやブドウに向き合うときに見せる表情には、何十年も家業を支えてきた職人の顔が垣間見える。
その職人としての魂は、一見父親とは真逆に見える息子、ディエゴさんにもしっかり受け継がれている。
カラフルなスカーフやストールを使いこなし、町で出会えばファッション業界の人かと思ってしまうような風貌だが、実はルナエ社のエノロゴ(醸造家)を任されており性格は非常に真面目だ。
「自分がエノロゴではあるけど、実際には父と二人三脚でワインを造っているよ。ワインを学び始めた頃から、父と一緒に畑でブドウを食べながらワイン造りを覚えていったんだ。父はこの土地で造られるヴェルメンティーノという品種のポテンシャルを信じ続け、すばらしいワインを生み出した偉大な人だよ。」
そう語るディエゴさんの顔は誇らしげだ。
”エチケッタ・ネーラ”は確かに大きなポテンシャルを秘めている。2017年に2012年ヴィンテージの”エチケッタ・ネーラ”を飲んだが、意外にもまだ若々しく、黄桃、ハーブ類、ハチミツなどの華やかな香りと複雑な味わいが感じられ、非常にすばらしかった。
最優秀白ワインに選ばれた2018年ヴィンテージも、少し寝かせておいても十分楽しめるのは間違いないだろう。
「料理との相性は、”エチケッタ・グリージャ”であれば野菜や魚のカルパッチョなどの前菜全般、パスタならまさに名物料理のジェノヴェーゼ・ペーストのパスタがいいね!”エチケッタ・ネーラ”はエレガントでありながら芳醇な香りと力強さを持っているので、アクアパッツァなどの魚料理や、鶏肉や豚肉を使った味がしっかりした料理にも合わせられるよ。この辺りの名産品だったら、塩気と旨みのあるラルドと合わせてみてもいいね。もちろんラルドなら”コッリ・ディ・ルーニ・ロッソ”などの赤ワインもよく合うよ。」と、ディエゴさん。
四季に合わせた飲み方のおすすめとしては、春先から夏にかけては”エチケッタ・グリージャ”や、少し冷やした”コッリ・ディ・ルーニ・ロッソ”を、秋冬の気温が低いときにはしっかりした味わいの”エチケッタ・ネーラ”をキンキンに冷やさずに飲みながら鍋などの温かいものを食べるのも楽しみ方のひとつだ。
まずは春先に”エチケッタ・グリージャ”から飲んでみてはいかがだろうか?
※1 最も著名なイタリアワイン評価本。
モンテ物産
http://www.montebussan.co.jp/
▼ルナエ社についてはこちらから↓↓▼
http://www.montebussan.co.jp/wine/LUNAE.html
ルナエ社はリグーリア州のワイナリーで、バジルを使ったジェノヴェーゼ・ペーストで有名な港町ジェノヴァから海に沿って東に向かい、車で1時間半ほど行ったところにある。
風光明媚なチンクエ・テッレを横目にルナエ社まで到着すると、隣のトスカーナ州はもう目と鼻の先だ。
トスカーナ州に入って少し進むと、衛星写真でも真っ白に見えるぐらい白い山々が見えてくるが、真っ白なのは雪ではなく、なんと大理石。
ここは、かの有名なミケランジェロも使っていたという大理石の名産地、カッラーラだ。
採掘場のすぐ近くにあるコロンナータの町では、上質なラルド(豚の背油の塩漬け)として有名な”ラルド・ディ・コロンナータIGP”が作られる。
ヴァッレ・ダオスタ州の”ラルド・ダルナー(ド)DOP”と並んでイタリアが世界に誇る2大ラルドのうちのひとつだ。
ルナエ社の周辺ではリグーリア州とトスカーナ州にまたがって生産されるコッリ・ディ・ルーニDOCが有名で、白はヴェルメンティーノ、赤はサンジョヴェーゼが主要品種になる。
前述の”エチケッタ・ネーラ”はコッリ・ディ・ルーニDOCのカテゴリーだが、リグーリア州のみならず、イタリア各地で造られるヴェルメンティーノの中でもトップレベルの品質であることが昨年の受賞で証明された。
「ガンベロ・ロッソの最優秀白ワインだなんて、それはもう大変なお祭り騒ぎだよ!」
そう語るのは長年ルナエ社で輸出責任者として働くミケーレ・ジャナッツァさんだ。
「ちょうど日本で開催されるガンベロ・ロッソ誌のイベントのために来日準備をしていたところ、そんな最高のサプライズが飛び込んできたんだ。」
最高評価である3ビッキエーリ(3つグラス)を2008年ヴィンテージから10回も連続で受賞したことも快挙だったが、さらにそれを上回る結果となった。
「2018年ヴィンテージももちろん3ビッキエーリを期待していたけど、まさかその中でもナンバーワンになれるとはね!」
いつも落ち着いた物腰のミケーレさんにしては珍しく興奮気味に喜びと驚きを表現していた。
ルナエ社を創業したのは、表題の”ちょっと助平なオヤジ”、パオロ・ボゾーニさんだ。
男性だらけのグループでワイナリーを訪問すると、
「なんだ、今日は女性ゼロか!じゃあベッドに戻るとするか…。」
と、こんな冗談を言っては部屋に戻るふりをして、ニヤリといたずら小僧のような笑みを浮かべる。
イタリアでは挨拶をする際に2回キスをする、と言っても左右の頬を交互に合わせるだけのチーク・キスをするのだが、女性が訪れるとパオロさんからはずいぶん”手厚い”チーク・キスで歓迎されることになる。
「この辺りは海までも数kmと近いため、日中に海から流れ込む暖かい風と、背後にそびえるアペニン山脈から夜に吹く冷たい風がブドウにとって理想的な環境になっているんだ。こうして生まれた昼夜の寒暖差により、香り高いワインができる。我々ルナエ社の顔とも言える”エチケッタ・グリージャ”は、丘の中腹から麓にかけての選抜されたヴェルメンティーノを使用しているが、”エチケッタ・ネーラ”は標高が高い畑のヴェルメンティーノを厳選し、最良のブドウのみを使って造られるフラッグシップワインだ。」
こういったワイナリーやワインの説明をする際にも
「でもワインよりも大切なものがある…。それは女性だ!」
と冗談を交えながら楽しそうに話すのだが、発酵を終えたばかりのタンクから試飲をする瞬間には、すっと真剣な表情になって状態を見極めていたのが印象的だ。
ワインやブドウに向き合うときに見せる表情には、何十年も家業を支えてきた職人の顔が垣間見える。
その職人としての魂は、一見父親とは真逆に見える息子、ディエゴさんにもしっかり受け継がれている。
カラフルなスカーフやストールを使いこなし、町で出会えばファッション業界の人かと思ってしまうような風貌だが、実はルナエ社のエノロゴ(醸造家)を任されており性格は非常に真面目だ。
「自分がエノロゴではあるけど、実際には父と二人三脚でワインを造っているよ。ワインを学び始めた頃から、父と一緒に畑でブドウを食べながらワイン造りを覚えていったんだ。父はこの土地で造られるヴェルメンティーノという品種のポテンシャルを信じ続け、すばらしいワインを生み出した偉大な人だよ。」
そう語るディエゴさんの顔は誇らしげだ。
”エチケッタ・ネーラ”は確かに大きなポテンシャルを秘めている。2017年に2012年ヴィンテージの”エチケッタ・ネーラ”を飲んだが、意外にもまだ若々しく、黄桃、ハーブ類、ハチミツなどの華やかな香りと複雑な味わいが感じられ、非常にすばらしかった。
最優秀白ワインに選ばれた2018年ヴィンテージも、少し寝かせておいても十分楽しめるのは間違いないだろう。
「料理との相性は、”エチケッタ・グリージャ”であれば野菜や魚のカルパッチョなどの前菜全般、パスタならまさに名物料理のジェノヴェーゼ・ペーストのパスタがいいね!”エチケッタ・ネーラ”はエレガントでありながら芳醇な香りと力強さを持っているので、アクアパッツァなどの魚料理や、鶏肉や豚肉を使った味がしっかりした料理にも合わせられるよ。この辺りの名産品だったら、塩気と旨みのあるラルドと合わせてみてもいいね。もちろんラルドなら”コッリ・ディ・ルーニ・ロッソ”などの赤ワインもよく合うよ。」と、ディエゴさん。
四季に合わせた飲み方のおすすめとしては、春先から夏にかけては”エチケッタ・グリージャ”や、少し冷やした”コッリ・ディ・ルーニ・ロッソ”を、秋冬の気温が低いときにはしっかりした味わいの”エチケッタ・ネーラ”をキンキンに冷やさずに飲みながら鍋などの温かいものを食べるのも楽しみ方のひとつだ。
まずは春先に”エチケッタ・グリージャ”から飲んでみてはいかがだろうか?
※1 最も著名なイタリアワイン評価本。
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▼ルナエ社についてはこちらから↓↓▼
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