お料理説明・背景
アマルフィ海岸のレモン王として知られるルイージ・アチェートさんの息子サルヴァトーレさんと結婚し、毎年8万キロのレモンを出荷する広大なレモン畑に囲まれた三世帯住宅に住まれているジョヴァンナさん。仕事も住まいもまさにレモンづくしの生活を送っていらっしゃるジョヴァンナさんには、アマルフィ海岸のペペロンチーノパスタとも言えるレモンスパゲッティを紹介していただきます。胃腸が疲れている時にも適していて、ホームパーティーでメインディッシュのあとに振る舞っても、さっぱりしていて風味豊かなので、ゲストが必ず完食する一品なのだとか。
ご主人のサルヴァトーレさんは、やり手の会計士だったのですが、アマルフィレモンのおいしさの秘密や段々畑を維持する大変さ、そして今後の農業の課題なども伝えたいという思いから、アマルフィ・レモン・エクスペリエンスという会社を立ち上げました。背景には、農業を行うだけのレモン畑の経営に限界を感じ、レモン畑を歩きながらレモンと特殊な地形での農業について話を聞けるレモンツアーや、クッキングクラス、レモンの蜂蜜ツアーといった観光業も同時に行うことで、段々畑の強化をメインに、さらにしっかりとメンテナンスをしていきたいという考えがあるようです。
そんなトーク上手で情熱的なサルヴァトーレさんの隣でレモンケーキをはじめとしたお客様に振る舞う品々を毎日作っているのがジョヴァンナさん。ご主人の斬新なアイデアを受け入れ仕事をするだけでなく、家庭ではティーンエイジャーの2人の子供たちの食事や、学業のサポート、日々の家事もしっかりとこなされるモダンでパワフルなイタリアンマンマです。
世界中からのお客様との触れ合いを通じて感じたことは、少しの材料で素材のうま味を最大限に生かしたレモンケーキやレモンソースのスパゲッティといったシンプルな料理ほど、お客様が関心を持ってくれるということ。
庭で簡単に育てられるイタリアンパセリとニンニクさえあればできるおいしいレモンのスパゲッティ。そのカギは、エッセンシャルオイルを多く含む有機栽培のレモンの「皮」なのだとか。タルト生地にも、レモンソースのメインディッシュにも、黄色い皮を薄くピーリングしたものが大活躍なので、アマルフィの台所ではピール済みの白いレモンを見かけることも多いのです。
最後に、ジョヴァンナさんからのメッセージ。
「訪日経験のある主人から、日本には手先が器用でデリケートな感覚を持った人が多く、この国らしい無農薬柑橘類がたくさんあったと聞いています。無農薬レモンを、愛情を込めて優しくピールしたレモンスパゲッティをぜひ楽しんでみてください」
作り方
- スパゲッティ用の鍋に湯を沸かし、沸いたら塩を加える。
- フライパンにみじん切りにしたニンニクと、エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイルをいれる。(写真a 参照)
- レモンの皮2個分をピールする。盛り付け時にレモンピールを飾るので、1個のレモンは手をつけず残しておく。(写真b 参照)
- ピールした2個のレモンを搾る。(レモンの大きさによってピールやジュースの量が異なるが、レモンの搾り汁は約70mlが目安。)(写真c,d 参照)
- イタリアンパセリをみじん切りにする。(写真e 参照)
- ニンニクの入っているフライパンを弱火にかけ、同時にスパゲッティをゆで始める。ニンニクの香りが出てきたらレモンの搾り汁を加え、火が通ったら塩を加える。(写真f 参照)
- スパゲッティは芯にうっすら白さが残る程度のアルデンテにゆでる。ゆであがったらフライパンにうつす。(スパゲッティのゆで汁に含まれるアミド質が麺とソースをよく絡めてくれるので、スパゲッティは湯切りせず、写真のように直接すくう。)(写真g 参照)
- イタリアンパセリとレモンピールを加えたら、火を中火にしソースとスパゲッティをよくからめる。(盛り付け時に必要なイタリアンパセリを少し残しておく。)(写真h 参照)
- 調理道具のフォルケットーネを使ってお皿に盛りつけたら、1個分のレモンをたっぷり直接ピールし、イタリアンパセリも加えて完成。(写真i 参照)