コマッキオサイクリング前半

イタリア好きの皆さん、いかがお過ごしでしょうか?
今年は日本のゴールデンウィークも、大変長いお休みと聞いています。ここイタリアも、復活祭から、フェスタデラリベルタ(終戦記念日)、地域によってはメーデーまで長い連休に入っています。
パスクエッタと呼ばれる復活祭の後の月曜日、
イタリア最大の河川、ポー川のデルタ地帯の一部にある、デルタ・デル・ポーエミリアロマーニャ公園をご存知でしょうか?
この公園は水鳥、魚介類の生息地として、ユネスコ世界遺産に登録されており、40万ヘクタールという大きな湿地帯を形成しています。
今回はフェラーラ県のコマッキオ市リード デリ エステンセという町からから湿地帯の中を通り、コマッキオ市街をめぐる、全行程20kmのサイクリングロードを友人ファミリー大人4人、子供4人(6、10、11、12歳)で楽しんできました。
リード デリ エステンセとはエステンセ公国の浜辺といったような意味で、文字通り松林を隔てて広い遠浅の砂浜があり、リゾート地といった雰囲気です。
朝、レンタサイクルのお店に行くと、色々な種類の自転車が取り揃えてあり、自転車を借りる人で、ごった返していました。4輪サイクルは街の中限定、マウンテンバイクや、カゴや子供を乗せるママチャリなど、大人から子供まで10ユーロで、丸一日好みの自転車を貸してくれます。
街のインフォメーションでは、自転車のハンドル部分につける地図まであって、なかなか便利。

イタリア語だけでなく英語も表記されています。
街の中を通り、川のような湿地帯の入り口まで来ること約3km、両岸には水上家屋が点在しています。どの建物も水に上に杭が打たれた上に建てられてあり、どこもワイヤーにつながった網が 張り出ています。これは昔からの漁方で海水と、河川の混じり合う肥沃な環境下で育つ魚介類を、建物を起点に網を水中に下ろし、引き上げる天秤ばかりのような形から、この建物の事をビランチョーニ(大きな秤の意味)と呼ぶそうで、イタリアにおいて量、質ともに最上級のうなぎ、小魚、エビ、貝類なども豊富に水揚げされるそうです。
自転車はちょっとという方には、モーターボートに乗って塩田をはじめとする湿地帯を観光を楽しむ事もできます。
そんな河岸を走ること1km、急に広い湿地帯が現れました。
季節によっては、南からフラミンゴが渡ってくることも有名で、湿地帯を歩く観光も春から秋にかけて行われているそうです。特に塩田を歩くツアー(4km)はガイドが湿地帯の生態系や、歴史などを説明してくれるようです。
この橋の先はガイドがいないと入れず、残念ながら塩田部分には時間が合わず、入ることができませんでしたが、周りを見渡すだけでも素晴らしい景観。細い河川敷の右にも左にも大きな湿地帯がひろがり、たくさんの水鳥が飛翔しています。
こんなに豊かな水辺の風景はユネスコ世界遺産に登録されているというのも納得した次第です。

コマッキオ塩田ツアー、インフォメーション

https://www.salinadicomacchio.it/

サイクリング後半の話はまた次回

 

パスクアは春の喜びのオンパレード!マルケの復活祭のメニューと卵飾り🎵

皆さん、こんにちは!

イタリアは春爛漫、今週末のパスクアに向けて世間のマンマは大忙しの季節です。

謝肉祭であるカルネバーレが終わり、クワレージマと呼ばれる四旬節が46日間続き…そして復活祭が訪れる、というカトリック教会の習慣行事であることは既に知られていますが、キリスト生誕以前にも、もちろん春は来ていたわけですから、古くは春の訪れ=新しい生命の誕生を祝う土着的な民族風習が、キリストの復活という出来事と重ね合わせて祝われるようになったと言われています。

確かに、春の訪れは、冬に解体した豚のサルーミ熟成が完了し食べ始められる、ニワトリは卵を生み始める、ソラマメにえんどう豆といった春の旬を楽しみ始める…といった、食べ物がとても豊かになる季節でもありますね!

寒く長い冬が終わり、春のみずみずしい野菜を思い切り味わえるこの季節は、農家の人々にとってそれはそれは喜ばしい季節であったことに違いありませんよね。だからこそパスクアは明るく喜びに満ちた雰囲気があるのだな、と思います。

マルケ州では復活祭のメニューはきっちりお決まりがあり、それは昔の人であればあるほど変わりません!笑。

そして我が家も食については伝統色が強い方。復活祭と言えば…羊、そして羊の内臓料理であるコラテッラ!


この、一見写真映えしないベージュの食べ物…でもこの1皿に、色々な家族や農家の台所の歴史が詰まっているのです!!

しかも以外と手間がかかるこの1皿…内蔵の肺、レバー、腸、心臓やその他諸々を全て綺麗に洗い、切り分け、じっくりとラルド(精製ラードではなく豚の背脂を挽いたもの)で炒めてゆく…これでもか!というほど羊の香りがキッチンに立ちこめ(私は北海道生まれなので平気🎵)、最後にニンニクの若葉を刻んだものをたっぷりと入れる..そんな土着的な料理なんです。初めて食べた時はすぐにその魅力が分からなかった私。今はこのコラッテラが大好物です!

そしてマルケを代表するパスクアの食べ物と言えば…卵とペコリーノチーズをたっぷり入れて焼いた塩味のパン、クレッシャ•デイ•パスクア。


伝統的なのはこういうバケツ型のテッラコッタの型で焼いたもの。もちろんテッラコッタもマルケのもの💕

これはピッツア•サラータと呼ばれたり、クレッシャ•ブルスカと呼ばれたり、場所が変わると呼び名も変わりますが、大体は同じようなもの。天然酵母で焼くと美味しさもひとしおです。


外はさっくり、中はしっとりが上手く焼けた証拠。ほど良いチーズの塩味が旨みたっぷりで、この季節どのパン屋さんでも出回るパンなのです。


そして、この素朴な焼き菓子も、この季節の風物詩。チャンベッラ•デイ•パスクアと呼ばれるさっくりした焼き菓子で、アニスの種が爽やかなアクセント。上に塗ったアイシングがお菓子感をグッと引き上げてくれます。

最後にご紹介したいのは….パスクアの日の朝ごはんに欠かせないゆで卵!!

これは、ただのゆで卵ではありません!このお祭りの日のために事前に教会で卵に祝詞をいただいておき、それを茹でたものです。

祝詞を受けたあと、ただ茹でるだけでもいいのですが、せっかくのお祭り、できるだけ華やかにしたいものですよね🎵昔の人は色々工夫をしてこの卵を綺麗にデコレーションしていました。そんなデコレーションの中でも私が特に好きなのが、自然の野菜の色で染める方法。

卵にハーブや花を貼りつけ、それをガーゼなどでしっかりくるみ、野菜から抽出した色の液で茹でる、という方法です。


これがそうやって染められた卵たち。青は紫キャベツ、ピンクは黒ビーツ、水色はウコンと紫キャベツ…と自然の色でこんなにカラフルな色が楽しめるんですよ!とっても可憐だと思いませんか?🌼🍀🌸

もともとは昔東ヨーロッパから入ってきた方法だそうで、イタリアでも一昔までは色々な家庭で染められていたそうです。今では消えつつある習慣ですが、こんな素敵な風習が消えてしまうのは残念..と思い、ここ数年私も毎年染めています。


こうやってハーブをぴったりと濡らした卵にくっつけて(くっつきにくい場合は薄くのばしたでんぷんのりを使う)、ガーゼやストッキングで密着させます。

これを煮出して抽出しておいた野菜の色液に少々のお酢と茹でて冷めるまで置いておくだけ。簡単でしょう?


こんなに綺麗に柄が出るんです!

この色は紫キャベツからですが、お酢との反応できれいなブルーに🎵

お子さんと一緒に作っても本当に楽しい作業なので、皆さんも挑戦されてみて下さいね!

お祭りの時はなぜだか浮かれて楽しい気持ちになりますが、お祭りは食や風習といった伝統を残してゆく大切な行事だという事も忘れてはいけないな、と近年ひしひしと感じ…。こうして家庭の中から、少しずつでいいので子供たちにも伝えていければ、お祭りの意義も深まるのでは、と思います。

皆さんも、良いパスクアをお迎え下さいね。

Buona Pasqua!

 

 

 

 

緑が綺麗です!

緑の季節になりました。緑が美味しい季節になりました!

ジェノヴァの市場は様々なトーンの緑で溢れています。
今回、マンマのレシピにも登場し「ソラマメのマロ・栗粉入りトロフィエ」を紹介してくれたルイーザさんとジェノヴァで一番有名な市場に買い物に来ました。
オリエンターレ市場と名前がついているこの市場は街のメインストリートであるVia XX Settembre(ヴェンティ・セッテンブレ通り) に位置しています。

内部は二重の円形型になっていて、内側には八百屋と魚屋が、外側にはチーズやパン屋、そして肉屋が並んでいます。
何も買う必要がない時でもこの市場の前を通ると引き寄せられるように中に入ってしまいます。色鮮やかな野菜や果物、店員とお客の間で交わされる活気のあるやり取りを見ていると気分が高揚してきます。

市場で買い物をする一番の楽しみは店の人と交わすお喋りだと思います。今日仕入れた新鮮な商品について話をしてくれたり、時にはレシピを交換したりと、ちょっと得した気分になります。
この市場の輪の真ん中の部分にフードマーケットがオープンすることとなり、現在改装中となっています。バールは勿論、ストリートフードを中心としたリグーリア料理が楽しめるようになるんだそうです。営業は夜11時までと頼もしく、しかも、クッキングスクールまで開校予定。ジェノヴァの街は「食」を中心とした街に生まれ変わりつつあります。

工事が着々と進んでいます


今年の秋にオープン予定だったのが、なんと5月に一部営業開始ということで次回詳しいニュースをお伝えできることが出来ると思います。

上部の部分にフードマーケットが出来る予定です。


ルイーザさんはこのプロジェクトに関わっているので、この市場では有名人です。

おかげで、八百屋さんで沢山味見させて頂きました!

ジェノヴァの名物、生そら豆はとても柔らかく、私の大好物のひとつです。しかし、今回、初めて生のグリーンピースというのを食べさせて貰い、その歯ごたえ、甘みに感動しました。

一番右のが生で食べられるそら豆。一番左のそら豆は茹でて食べるもの。真ん中のが生食用のグリーンピースです。


リグーリア産のカルチョフィもオリーブオイルとビネガーだけで、生で食べることが出来ます。本当に自然を食べているような気分になれます。

ここにフードマーケットが出来たら、ショッピングや仕事の合間に美味しいものを食べて、美味しいものを飲んで、お買い物をして帰って、とワクワクしてきました。
ところで、イタリアでは「緑を着る人は自分の美貌に自身がある人だ」という諺がありあります。今年の流行りの緑色はちょうどカルチョフィとそら豆の色だそうです。

着こなしにくいイメージのある色ですが、実は日本人の黒髪や肌を引き立ててくれる頼もしい色なんです。

今年イタリアで流行りそうなグリーンカラーのアイテムをご紹介します。


https://www.ikrix.com/jp/fuxia-degrade-pleated-dress-max-mara-114620?utm_source=referral&utm_medium=italiazuki


https://www.ikrix.com/jp/desio-silk-cotton-voile-midi-dress-max-mara-117749?utm_source=referral&utm_medium=italiazuki


https://www.ikrix.com/jp/patterned-green-silk-tie-kiton-115443


https://www.ikrix.com/jp/faded-army-green-printed-t-shirt-dsquared2-113607

緑を食べて、緑色を纏って元気にこの季節をエンジョイしましょう。

駅チカ!海が一望できる!レトロなトロッコで山の上へ。

Genova Piazza Principe駅から徒歩すぐ、山の上へ続くロープウェイ乗り場があります。

大型クルーズ船の停船する船着き場 Stazione Marittima の目と鼻の先の距離。


ロープウェイというより、トロッコのような乗り物。

バスや地下鉄と同じチケットで乗ることができます。(乗車前に刻印を忘れずに!)

1901年に開通。

中心地と山頂のGranarolo地区を繋ぐために作られた路線です。

途中に停車駅があり、全部で9駅です。

地元の人たちがバスのような感覚で日常的に使用している乗り物です。


レトロな木製の車内。こちらは1929年製。

西暦の横の VII はファシスト時代7年目という事。


この乗り物は斜めに坂を登るので、席に座っているとお尻が滑ってしまいます。横のおばさんの方へ体が斜めに下がっていき、ごめんなさい!と謝りましたが、気にしないで〜と言われました。


細い坂道をどんどん登って、だんだん高台へ…!

初めは住宅街の中を進んでいきます。

色んな人のバスコニーや洗濯物などがすぐそばに見え、不思議な風景です。

見て良いのやら…と思いながらもチラチラ見えるので見てしまいます。(白は白、黒は黒だけで洗っていて、関心。)

 

時々駅の壁の上で猫が気持ちよさそうにお昼寝をしています。

この日は4匹も目撃しました。猫好きにはたまりません。

次第に見晴らしが良くなっていきます。

 


頂上の駅に到着!

空気が澄んでいてとても気持ちいい〜!

トロッコに乗る前は車のクラクションや電車の音など騒がしかったのですが、こちらでは鳥のさえずりや木々の葉の音しか聞こえません。

駅の上からジェノヴァの街が見下ろす事が出来ます。

 

山頂のGranaroloは小さなボルゴ(古い地区)があり、

昔の街並みが今でも丁寧に残されています。

残念ながらこちらにレストランやバールがあるわけではないので、ここで何かをして楽しむ…ということは出来ませんが、古い田舎の景色やかわいい住宅が続くので、少し歩いて回ってみると楽しいです。

この日、二駅分だけ小さな小道を下ってみました。

時々坂道を登っていくお年寄りの方たちとすれ違いました。

みなさん、足腰が丈夫です。


このような乗り物がいくつもあるのがジェノヴァの特徴!

乗り物好きの方や高台のパノラマがお好きな方はぜひ挑戦してみてくださいね。

本数が少ないので、時刻表をチェックすることをお勧めします。

深夜まで動いているので、一度夜景を見に訪れたいと思います。

二人の女性シェフのユニット「アケーニ」が仕掛ける 旅する人にもとっておきの食体験/中編

料理も、テーブルセッティングも、畑もつくる

 

(前編はこちらから)

 

「…わたしたち、全然SNS向きじゃないし…スマホをいじってる時間もほとんどない…実際問題、いつも手がよごれてるから。小麦粉で、卵で、土で、いろいろな発酵液で…」

2019年3月27日ACHENI公式facebookより

さらりとこんなことを書いちゃうあたりもぐっときちゃいますが、え、土?! 土?! クールビューティーなアケーニの二人は、自ら畑まで耕していました。

ACHENIのエレーネ(左)とフランチェスカ(右) 。くわえてミラノでインテリアデザイナーの顔まで持つフランチェスカ。びっくりの度合いとしては、農業>インテリアデザイナー


アケーニの料理には、手塩にかけた自前の作物が使われていた、とフランチェスカの口から聞いて、なんというか広々と澄んだ感動を覚えました。

 

例えば、洞窟のダイニングルームでシークレット・サパー

春まだ浅き3月15日、アケーニが仕掛ける食体験のひとつシークレット・サパー・クラブに出かけてきました。

毎回、場所を変え、趣向を変えて仕掛けられる秘密の宴は、SNSに日時と例えば「マテーラのサッシ地区」などと開催「地」だけが告知され、気に入れば誰でも予約できます。席数は毎回12席のみ(場所により10席)。

予約した人にだけ通知される会場もメニューもサプライズなら、自分たち以外は誰が来るのかも、当日まで分かりません。

会場は、世界遺産「サッシ(洞窟住居)」地区のオープン間もないホテルPalazzo del Ducaのダイニングだった。普段は宿泊者専用の朝食ルーム


シークレット・サパーの趣旨に嬉々として乗ってきた面々は;

マテーラでバカンス中だったドイツ人ご夫妻
プーリアとカラブリアからの2人組
マテーラ人4名
マテーラ在住アメリカ人1と日本人1

私とマテーラ人1名以外の全員が、英語で楽しく社交ができるという南イタリアにあっては奇跡のテーブルでした。笑

 

弥生三月のシークレット・サパー そのメニューは…

専ら「マテーラ」そして「春」を意識したメニューは、一皿ごとにテーブルを沸かせました。アケーニの料理が畑作りから始まっていたと知るのは、後になってからですが。以下、*印はバジリカータ特産です。

スターター
プンタレッレのバーニャカウダ

インド北部のパーニ・プーリ生地で、バーニャカウダ・オイルを包んだ


前菜
塩バター仕立ての子羊の内臓と、2つの食感のアーティチョーク

旬のアーティチョークを定番のフリットと、生(クレーマ仕立て)で


プリモ
セモリナ粉の生パスタ 野生のビターラーペとセニーゼ産IGPクルスキピーマン*、モリテルニ産カネストラートチーズ*のクリーム 添え

青物を練りこんだ手打ちパスタはよくあるが、こんなに「苦みの走ったいい生パスタ」があるものかと驚く


メイン
山野草風味の子羊、西洋わさびのソース添え

この日、胃袋をつかまれてしまったのが、子羊肉とミルフィーユにしてブロードで煮込んだという春の山野草。ほろほろと柔らかい子羊もイケてましたが、脇を固める付け合わせの方です。


土地柄、野生のアスパラをはじめ、チコリ、ボリージ(ルリヂシャ)などなど山野草を摘んできて食べる習慣が、まだまだ健在です。

義母の家でも、レストランやアグリでも、うまいうまいと言いながら食べてきたハズなのに…。エレーネがキュートに鼻にしわを寄せながら「ムルジャ渓谷の所有地で摘んで来た!」という、野生のチコリとフィンネルの香ばしさときたら。

プレ・ドルチェ
ヤギ乳のカプリ―ノチーズ、くるみとアマレーナのコンフィチュール 添え

ドルチェ
メタポント産レモン*のレモンカードのタルト

加齢によるあれやこれやで、白砂糖を自主規制しているにもかかわらず、美味しさのあまり完食。笑


パッシート(デザートワイン)
11フィラリ/プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアD.O.C.G.(プーリア州)

各お皿に合わせて選ばれたワインの3銘柄にも唸りましたが、本日の1本は、断然こちら。ドルチェと甘美に引き立て合う


焼き菓子
メレンゲ
つきを運ぶと信じて、食事の最後にアケーニが必ず供しているのが、フランチェスカのマンマ手ずからの焼き菓子です。

中にキャラメルソースの雫をしのばせたメレンゲは、これだけ平らげた後でも、1つ2つとつまんでしまう


シークレット・サパー熱が冷めないまま、ちょっと言葉にならないあの澄んだ感動が、一体どこから来るのか…ずっと考えています。

二人が一心に向き合っているもの、畑づくりから始まる料理、郷土と大地、時間に育まれた食習慣、エレーネとフランチェスカの家族のストーリー、もてなしと客として招かれるということ、場所と人、人と人、人と人のあいだ…

 

次回後編は、ムルジャ渓谷のエクスカーション&ワイルドランチ、スカイプでの料理レッスンと、さらなるアケーニの食体験をご紹介します。

ACHENI
シークレット・サパー・クラブ
料金の目安:70€/人~
席数:12席(会場により増減)
告知はアケーニ公式Facebookにて
インフォ&予約 achenicucina@gmail.com(英語可)

3月25日はフィレンツェの新年&ネプチューン噴水の修復完了

フィレンツェの”新年”は3月25日

Capodanno Fiorentino(フィレンツェの新年)は、1749年に1月1日が公式な新年と定められるまで、3月25日とされていました。1582年にグレゴリオ暦が発効され1月1日が年始と年の初めは1月1日と定められた際も、フィレンツェは3月25日を新年と定め続けていました。



そして2000年以来毎年、フィレンツェの自治体は3月25日をフィレンツェの新年の祝いの日とし、イベントや展覧会、コンサートが市内各地で開催しています。

この日は今では祝日ではなく仕事も学校も休みではなく、今年の3月25日はあいにく平日の月曜でしたが、多くの市民や観光客らに見守られる中、歴史的な衣装に身を包んだcorteo storico della repubblica fiorentina(フィレンツェ共和国の行列)が演奏しながら中心街を練り歩きました。




 

ネプチューンの噴水の修復完了のお披露目会も開催

この日はフィレンツェの新年を祝うとともに、2年の期間を経て修復が完了したFontana del Nettuno(ネプチューンの噴水)のお披露目を兼ねたイベントがシニョリーア広場で開かれました。ネプチューンの噴水はシニョリーア広場にあるバルトロメオ・アッマンナーティによって作られた噴水です。


ヴェッキオ宮殿前で行われたお祝いイベントではフィレンツェのダリオ・ナルデッラ市長とフェラガモの会長フェルッチョ・フェラガモ氏が挨拶をし「Buon Anno!(新年おめでとう)!」と言うと、市民たちから大きな歓声が沸き起こりました。


イベントではクラシック音楽が流れ、ベッキオ宮殿がイルミネーションで彩られる中、アクロバティックショーや俳優がネプチューン像がつくられた経緯を演じながら説明しました。




会場となったシニョリーア広場には広場を埋め尽くすほどの観客が訪れ、みんなでフィレンツェの新年を祝っていました。


さて、日本はもうすぐ新年度が始まりますね。イタリアに住んでいると日本の新年度の感覚が薄れがちになりますが、3月末のフィレンツェ新年のおかげでなんとなく新年度が始まるような気持ちになりました。フィレンツェもすっかり春の陽気で暖かくなり、これからますます多くの観光客で賑わうようになります。

〜イタリアの新色バッグ入荷しました〜

私がフィレンツェで経営しているイタリア製レザーバッグのオンラインショップにイタリア2019春夏の新色が入荷しました。持つだけで気分まで明るくなるような綺麗な色のイタリアレザーのバッグを持って春を迎えてみてはいかがでしょうか。

フィレンツェを旅行されたというお客様から、先日こんなご感想を頂きました。イタリアを旅行された方にもご愛用頂いております。

「以前フィレンツェへ旅行した時に、上質なレザーバッグを購入し、あんな素敵なバッグが日本でも買えたらいいのになぁ…と思っていたところで、たまたまAmicaMakoさんのバッグを見つけました。箱を開けてみてビックリ、上質なレザーのとっても良い香りが広がって、フィレンツェの空気まで詰まっているようでした☆色も日本にはないような素敵な色で、鮮やかなのに大人にぴったりの上品な色でとっても気に入りました。作りもしっかりしているし、デザインも質感もサイズ感もまさに私の欲しかった理想の形で、大満足です!また利用させていただきます☆」
カーフレザーの2WAYバッグ NAUSICA:Brandy】ご購入の神奈川県のお客様より
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集まれ! イタリア好き マンマの料理フェスタ2019代官山 開催!

日本中がピンクに染まる春、桜の季節に、ヒルサイドパントリー代官山と代官山ヒルサイドスクエアにて「マンマの料理フェスタ2019」を開催します。

カラブリア州の小さな村ブラッティロに暮らすマンマ、アンナさん(本誌vol.34登場)が、自慢の料理をひっさげて来日! 郷土を愛する気持ち、土地の食を大切にする精神を、彼女の作る料理を通じて、おいしく、楽しく感じてもらえたら幸いです。
多くの〝イタリア好き〟の皆さんの来場をお待ちしています。(入場無料)
(写真左)来日するアンナ・ロンボラさん
仲良し3世代勢揃い!
アンナさんと一緒に来日する兄のコジモさん
両親、兄妹とも皆仲良しの明るい家族。
お母さんのティーナさんと小さなマンマ娘のアウローラちゃんのサポートもかわいい、笑顔の絶えない家族。今回はお父さんとワイン造りをしている兄のコジモさんとやってきます。
唐辛子入りの辛いペースト状のサラミ、ンドゥイア。
トロペアの町には、赤タマネギを販売する三輪車をよく見かける
海の美しさはイタリアでも有数。トロペア岬からの眺め
ブラテッロ村は、人口600人ほどの小さな村。ンドゥィア(唐辛子入りのペーシト状のサラミ)の産地スピリンガや、赤タマネギの産地トロペアが近く、そんな産物を使った料理も披露してくれる予定です。
ポテトとペペローニの炒めは、まさにカラブリアマンマの味
ナスの肉詰め。ナスのレシピは数知れず

◆+◆+開催概要+◆+◆

■日時:3月29日(金)~3月31(日) 10:00~19:00
*29日(金)より、ヒルサイドパントリーのデリカテッセンがアンナマンマのお料理で埋め尽くされます。そして17時~は“アペリティーヴォ好き”として、つまみとワイン、カクテルも楽しんでいただけます。
*30日、31日は、代官山ヒルサイドスクエアにてイタリアを感じる食材、飲料、雑貨などの屋台が並ぶメルカートも開催します。フェスタ初出店の関西のあのお店も!また29日同様、地下のヒルサイドパントリー代官山店内では、引き続きアンナさんの料理をはじめ、生ハムやサラミの切り売りや、イタリア食材も豊富に揃っています。バールではイタリアワイン、カクテル、カフェも本格的に楽しめます。
■会場:ヒルサイドパントリー代官山 代官山ヒルサイドスクエア
東京都渋谷区猿楽町18-12
■主催:イタリア好き委員会
■共催:ヒルサイドパントリー代官山
■協力:代官山ヒルサイドテラス

本誌バックナンバーVol.34はこちらから購入できます。

【アンナマンマのお料理紹介】

3/29~31の3日間、ヒルサイドパントリーのデリカテッセンがアンナマンマのお料理で埋め尽くされます!
《 惣菜(前菜) 》
・Virasciole di Patate(ジャガイモのフリット)
・Frittata di Úduja(タマネギの卵焼きンドィア入り)
・Verdure a Dadini al Forno(ゴロゴロ野菜のオーブン焼きチーズ風味)
・Verdure Ripiene al Forno(詰め物野菜のオーブン焼き)
《 パスタ 》
・Filei alla ‘Nduja(手打ちパスタ・フィレイのンドウィヤソース)
・Spaghetti alla Cipolla Rossa(赤タマネギのスパゲッティ)
・Pasta e Fagioli(インゲン豆のパスタ)
・Pasta al Forno di Anna (パスタのオーブン焼きアンナ風)
《 メイン 》
・Polpettone di Carne Ripieno(農家のポルペットーネ)
・Baccala in Umido(バカラ〈塩鱈〉の煮込み)
・Tortino di Alici(イワシのトルティーノ)
《 ドルチェ 》
・Torta al Vino Rosso(赤ワインのトルタ)
・Chiacchiere(キアッケレ=復活祭のお菓子)

二人の女性シェフのユニット「アケーニ」が仕掛ける 旅する人にもとっておきの食体験/前編

神出鬼没 二人の女性シェフの出張料理ユニット「アケーニ」

2017年8月、マテーラの食のシーンに、ちょっと贅沢でちょっとかっこよすぎる料理ユニットが現れました。アケーニ・クチーナは、店は構えない出張料理のスタイルで、マテーラとローマを拠点に、クールな食体験を提供しています。

料理ユニット「アケーニ・クチーナ」のエレーネ(左)とフランチェスカ Foto©Arianna Del Grosso for ACHENI Cucina


食事会の趣旨と会場、メニューに合わせて、クリスタルやアンティークガラスのグラス類、器、銀製のカトラリーから、いかにも上等なリネン類、アンティークのキャンドルホルダーや生花に至るまで、テーブルに載る物いっさいを持ち込んでセッティングする美しいテーブルも、アケーニの魅力です。

大晦日のホームパーティーのテーブルセッティングをするフランチェスカ(奥)Foto©Arianna Del Grosso for ACHENI Cucina


友人を招いてのホームパーティーは楽しい。が、素面にもどって直面するのが、後片付け問題です。そこでアケーニの魅力その2。翌日の指定の時間に、よごれものは汚れごと(!)回収していってくれるんです。

ということで去年の暮れ、友人の一人が「そうだ、大晦日はアケーニに出張してもらおう」という、途方もないアイデアを思いつきました(笑)。

Foto©Arianna Del Grosso for ACHENI Cucina


アケーニの魅力その3は、もちろんその料理です。

イギリス人、スウェーデン人、日本人、パヴィア人、ローマ人、マテーラ人、マテーラ近郊の村民、と雑多な集団の大晦日のディナーのため、アケーニが組み立ててくれたメニューは;

 

前菜
牡蠣バリッジ・グラン・クリュと赤玉ねぎのグラニータ
セニーゼ産IGPクルスキピーマンのカンノーロ、塩鱈のクレーマ仕立て入り

アボカドとシチリア産赤エビのサブレー(写真)
エンダイブ、バニラと卵黄、カチョリコッタ、ハーブのソース

プリモ
アクエレッロ米使用 雲丹のリゾット
レモンのジェルとトーストピーナッツ風味のバター 添え

メイン

蒸しダコ、ローストハーブ風味の蜂蜜の艶出し
ベークドポテトのクレーマ、ラーペのマリネ 添え(写真)

口直し
ヤギ乳のカプリ―ノチーズ、柿とカルダモンのソース 添え

ドルチェ

ホワイトチョコレートのガナッシュと塩キャラメルのシュー
アンゴストゥーラ酒の香りのレッドベリーソース 添え(写真)

ディナーの終わりに
アマレーナとキャラメリゼしたヘーゼルナッツのタルト

大晦日のお約束
自家製コテキーノ、レンズ豆添え

 

大晦日にふさわしい料理を作らなくては!と気をもむこともなく、後片付けの憂いもなく、さらにはマテーラ首都イヤーによる混雑と通行規制も受けず、大よそ行きを着て、ひたすら出された料理に溺れるだけです。

小さな面倒も体にこたえるナイスミドルには(笑)、いいこと尽くしの新鮮な食体験でした。

Foto©Arianna Del Grosso for ACHENI Cucina


次回、中編と後編にわたって、アケーニが仕掛けるシークレット・サパー・クラブに、ムルジャ渓谷のエクスカーション&ワイルドランチ、スカイプでの料理レッスンと、旅する人にもとっておきの食体験をご紹介します。