お料理説明・背景
グラッツィエッラさんの山の家に行くには、林の中の未舗装道路を300メートルほど歩きます。到着すると、まずは庭の入り口で彼女お手製のジャムたちが出迎えてくれます。一瓶4ユーロ。これは、彼女がボランティアをしているマラウイ共和国への支援活動のための資金集め。彼女を慕う心優しい人たちが、そっとお金を箱に入れていくのです。 とはいえ味はお墨付き。彼女の畑で採れる果物、苺、プラム、ラバーブなどから作られたもの。夏はそれを楽しみに林の中を歩いてやってくる人が絶えません。
今回紹介してくれた料理で使うズッキーニも、もちろん彼女の畑で収穫されたもの。ピズガーナ氷河の麓で日当たりがよいため、大きな葉っぱの陰に隠れて育ったズッキーニを取り忘れると、すぐにヘチマほどの大きさになってしまうそうです。 ズッキーニは、パン粉をつけて焼いても、フリッタータに入れても、衣をつけて揚げても、もちろんオーブンで焼いてもおいしい。年中食べられる万能野菜です。早速数あるレシピの中でも一番のお気に入り、ズッキーニを使ったポルペッテを教えてくれることに。「いくらでも食べれちゃうわよ」と言いながらお料理を始めることに。
「ズッキーニは時々苦味が強いこともあるから気をつけて! まずは生のままでちょっとかじってみて甘いかどうか確かめてね」と言われ、生のズッキーニを食べる羽目に・・・・・・食べてみると、意外にも甘くてパリパリ。マンマの畑で収穫されたばかりなので、とってもみずみずしいんですね。
ここで少し、彼女がどれほどお料理好きかをご紹介しましょう。「タマネギを刻まなくちゃっ」と言って彼女が手にしたのは、なんと手動のフードプロセッサー! 初めて見ました。あっという間に簡単にみじん切りになるのです。「洋服には無頓着だけど、キッチン用品を探すのが大好きなのよ」と。続けて「このオリーヴオイル入れ(写真右)は、シチリアで見つけたの。何の変哲もないように見えるかもしれないけど、少しだけ使いたいときにとても便利。このあたりでは売ってないのよ」と話してくれた。
さらに、ご主人が弟さんと二人で建てたという山の家は、キッチンがとても広くて料理好きなことがすぐに分かります。年季の入った薪のキッチンは、料理もできるし、オーブンもついているので、部屋を暖めるのにも役立ちます。上に載っている使い込んだやかんが、より愛着を感じませんか?
さて、料理も終盤、ポルペッテは、揚げないでフライパンで焼くのがマンマのこだわり。汚れものが少なくて、これなら簡単だし、ヘルシー。冷めてもおいしくお弁当にぴったりの一品。 いつの間にか外の日差しが落ちて、ちょっと冷え込んできました。ここは標高1,200メートル。寒くなってきたわね・・・・・・さっ暖炉をつけましょう。
1986年よりイタリア在住。ミラノに住んでいるが、週末になるとイタリアで一番大きいステルヴィオ国立公園内にある山小屋へ逃避。日本で農学部を卒業。イタリアで手にしたチーズティスター・マエストロ、公認ワインティスターの資格を活かし、通訳、コーディネーターとして活躍中。
作り方
- タマネギをみじん切りする。(写真a 参照)
- ジャガイモを角切りにする。(写真b 参照)
- ズッキーニも一口大に切る。(写真c 参照)
- 少し深めのフライパンにオリーヴオイルを入れ、1をいためる。(写真d 参照)
- タマネギがしんなりしてきたら、ジャガイモとズッキーニを加え、塩コショウをしてゆっくりいため続ける。(写真e 参照)
- 5を火からおろしボールに移して冷ましてから、バーミックスでペースト状にする(フードプロセッサーで代用可能)。(写真f 参照)
- 6と粉チーズ、卵を混ぜ合わせる。(写真g 参照)
- 2本のスプーンを使って楕円形に形成したらパン粉をまぶす。(写真h 参照)
- フライパンにオリーヴオイルを入れポルペッテを並べ入れたら、表面がきつね色になるまで中火で焼く。(写真i 参照)