モデナのパルミジャーノレッジャーノチーズ
すっかり晩秋のエミリアロマーニャ州はモデナ。ずいぶんと気温が下がり、今朝は遠くに見えるアッペンニン山脈の頂が真っ白になっていました。庭の木々も随分と紅葉して、花材も色とりどりの葉っぱや実がたくさん。
食欲の秋にふさわしいチーズの王様パルミジャーノレッジャーノチーズの工場をご紹介します。
その歴史は古く、1250年にジェノバ共和国の公文書においてcaso parmesi(パルマのチーズの意)の購入記録などが発見されており、ずいぶん古くから存在していたようです。
日本ではパルマ県というイメージが強いと思いますが、パルミジャーノチーズはポー川の南西に位置するパルマ県、レッジョエミリア県、モデナ県、ボローニャ県、マントバ県の5県にわたって作られており、現在パルミジャーノレッジャーノチーズを作る工場は330軒、そのうち61軒はモデナ県にあります。うちのご近所にもBio製法で作られているパルミジャーノレッジャーノチーズ農場があり、冬のために刈られた沢山の干し草のロールを積み上げた倉庫があるレッジャーニさんのチーズ工場へお邪魔しました。
こちらは37年前、たった5頭の牛から始めた小さな酪農農家だったレッジャーニさんのチーズ工場。今では1200頭の牛から毎日牛乳を絞り、パルミジャーノレッジャーノチーズを作っています。奥さんマリアテレーザ(通称テリー)さん、が案内して下さいました。
パルミジャーノレッジャーノチーズは朝晩2回絞った牛乳で作ります。前日絞った牛乳はすぐに18度以下に冷却し、次の朝まで置くと、上部に脂肪分(生クリーム)がたまります。生クリームを取り除いた牛乳に、その日の朝に絞った牛乳を混ぜ合わせ、1000L入る銅なべにいれます。36度まで温度を上げた後、前日にチーズを作った残りのホエー(乳清とも呼ばれ牛乳の脂肪分とカゼインを取り除いた残りの黄色味がかった液体)をバケツ一杯、レンネット(凝乳酵素)を入れ50度まで加熱し、4分間経つとプディング状に固まります。それを10分後にスピーノと呼ばれる道具で細かく壊し、約一時間後ホエーと、チーズに分けます。鍋の底の固形分を麻布に入れて引き上げ、スパッと二つに分け二つのパルミジャーノレッジャーノチーズの大元が出来上がります。これをまた麻布に入れて、木の大ベラに引っ掛けて、水分を切ります。
それをファッシエーラと呼ばれる型に入れ、夕方まで上下をひっくり返すこと3回、木の重石を置きながらしっかり水切りをした後、パルミジャーノレッジャーノチーズの刻印の元になる帯を巻いて一晩置くとしっかりパルミジャーノレッジャーノチーズの文字がチーズに刻印されます。これを上下を返しながら乾かす事3日間、次は塩水プールへ
パルミジャーノレッジャーノチーズの唯一の保存料は塩のみ。2/3が塩、1/3が水のこのプールで20日間しっかりと塩を染み込ませます。表面を洗浄し、いよいよ熟成庫へこの時点でのチーズの重量は50kg。
気温17度、湿度75%の熟成庫で裏表を返しながら、週に一回表面に浮いた脂肪分をブラシで擦って綺麗に保ちます。一年経った時点で、パルミジャーノレッジャーノ協会の監査員が専門の金槌で、一つづつ丹念にチェックをし、検査が通ったものについては、パルミジャーノレッジャーノチーズの刻印が押されます。通らなかったものはすぐにパルミジャーノレッジャーノの刻印が削り取られます。どんなに熟練のチーズ職人が作っても最低5%は検査に通らないと言われています。
その後また熟成させること一年あまり。この時点の重量は40kg
チーズがこの部屋にあるだけで、こんなに痩せるんだから、私だって痩せるはず!と思ったけど、この部屋でいくら作業しても痩せないのよねーと笑うテリーさん。
待った無しの生き物相手に365日間、休みなく毎日チーズを作り続け、牛の飼料となる干し草ももちろんBio農法で作った牧草から作り、抗生物質などの薬や、保存添加物一切なし、また、牛舎で出たし尿、チーズ造りで出るホエーや、チーズの表面の削りカスを利用して、ビオガスから発電をしており、工場で必要な全ての電力をまかない、ビオガスを取った残りのカスは畑へ肥料として使う完全循環型の環境に優しい。そんなこだわりのチーズ工場。
この度イタリアはベルガモで行われたチーズ品評会Word cheese awards 2019年で、全世界3500種類以上のチーズが出品された中、レッジャーニさんの18〜22ヶ月熟成のパルミジャーノレッジャーノチーズが11位にランクインしました!
出品されたパルミジャーノレッジャーノチーズの中で最高位!
本当におめでとうございます!
レッジャーニさんのパルミジャーノレッジャーノ工場
見学は事前に要予約(イタリア語のみ)
https://www.bioreggiani.com/
パルミジャーノレッジャーノチーズ工場の見学、バルサミコ酢の醸造室見学、バルサミコ酢を使ったモデナの郷土料理お食事会、料理教室、モデナもシェフを呼んでスペシャルな一日を過ごしたい、などお問い合わせはこちらまで。同行通訳をいたします。
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皆さんも一度、モデナに足を運んでみませんか?