マンマのレシピ

マンマの紹介

  • パトリッツィア・リッツォ(Patrizia Rizzo)さん
  • シチリア州トラーパニ市在住
  • 得意料理:トラーパニ伝統料理全般

お料理説明・背景

「トラーパニ風」と名が付いたこのペースト。 どこがトラーパニ風なのかというと、トラーパニ近郊で作られている「赤ニンニク」をたっぷりと使ったペーストだから。地元の人達はトラーパニ風、なんて洒落た呼び方はせずに、「ニンニクペースト」と呼び、トラーパニを代表する料理の一つです。

「ニンニクはヌビア村以外のものは使わないわ。」というのは、今回料理を教えてくれたパトリッツィア。トラーパニの街から車で15分ほど走ったところにあるヌビア村。ここで育てられている名産物がヌビア村の赤ニンニク。塩田のすぐ近くで育ったヌビア村の赤ニンニクは、とっても香りがよくてピリッと辛いのが特徴。そして消化もよいため、ニンニク特有の嫌な臭いが残ることもないのです。

でも、この赤ニンニクも一時は絶滅の危機に陥りました。何故なら、中国から安価なニンニクがたくさん輸入されてきたから。 その時に立ち上がったのがスローフード協会トラーパニ支部。地元で作られているおいしい赤ニンニクを救おう! と、ノアの箱舟ならぬ、「味の箱舟作戦」でヌビア村の赤ニンニクの普及活動を行った結果、現在はトラーパニで中国産のニンニクを見かけることはほとんどなくなりました。そしてその立役者がパトリッツィアの旦那さんのフランコだったのです。

パトリッツァもフランコも食べることが大好き! 家の中には代々伝わる古い料理道具がたくさん。「これはフランコのおばあちゃんが使っていたモルタイオ(すり鉢)よ。」トラーパニ風ペーストを作る時には必ずこのモルタイオを使うというパトリッツィア。年季の入ったこのモルタイオはトラーパニ風ペーストをおいしくしてくれるそうです。

トラーパニ風ペーストは冷蔵庫で1週間程度保存ができるので、少し多めに作っておくと、とっても便利。 トラーパニで一番よく使われるのはパスタソースとして。トラーパニ伝統のグルグル巻き手打ちパスタ、ブジアーテに絡めます。セモリナ粉で作ったブジアーテの食感はモッチモチ。ピリっとニンニクの辛みがきいたトラーパニ風ペーストと相性抜群。こんがりと焼いたパンに乗せてブルスケッタにすれば、急なお客様が来た時にも簡単にアンティパストができあがり。更に、白身のお魚のソースとして、鶏肉のソースとして、色々な料理に活用できます。上にはカリカリに焼いたアーモンドをかけて召しあがれ。いずれの料理にも、フライパンでカリカリに焼いたアーモンドを乗せると香ばしくておいしさが倍増!

是非あなたのおいしい食べ方を見つけてみてくださいね!

レポート:佐藤 礼子(Sato Reiko)
2005年よりイタリアの南の島、シチリア島在住。力強い大地の恵みと美しい大自 然にすっかり魅せられ、シチリアに残ることを心に決める。現在、シチリア食文化を研究しつつ、トラーパニでシチリア料理教室を開催。また、シチリア美食の旅をコーディネートする「ラ ターボラ シチリアーナ」の代表&コーディネーターとしてトラーパニで活動中。 シチリア美食の旅をコーディネート「ラ ターボラ シチリアーナ」

材料

トラーパニ風ペースト(4人分)

・赤ニンニク3片
・バジリコの葉約8枚ほど
・完熟トマト5~6個(約300g)
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル大さじ5
・皮なしアーモンド(生)20個
・塩適宜

作り方

下ごしらえ

  1. バジリコは洗ってキッチンペーパーでふいて水気をよく切る。
  2. トマトを湯むきし、種の部分を半分くらい取り除く。
  3. 皮付アーモンド(生)を使用する場合は、熱湯に15分浸して皮を剥いてキッチンペーパーで水気を拭きとる。

作り方

  1. ニンニクの皮をむく。(写真a 参照)
  2. すり鉢に、塩、バジリコ、ニンニクを入れすりつぶす。(写真b 参照)
  3. ニンニクがペースト状になってきたらトマトを加え、更につぶし、最後にオリーヴオイルを加えてよく混ぜたらペーストのできあがり。(写真c 参照)
  4. トッピング用のアーモンドを作る。フライパンにオリーヴオイルを入れアーモンドをこんがりと焼いたら粗みじん切りにする。(写真d 参照)
  • a. ニンニクの皮をむく
  • b. すり鉢でニンニクをつぶす
  • c. トマトを加えてさらにつぶす
  • d. アーモンドをローストする

お料理ポイント

ニンニクは、ペースト状になるまで、しっかりとすりつぶすこと!火を通さないペーストなので、大きなニンニクの塊があると口の中に臭みが残ってしまいます。