二人の女性シェフのユニット「アケーニ」が仕掛ける 旅する人にもとっておきの食体験/前編
神出鬼没 二人の女性シェフの出張料理ユニット「アケーニ」
2017年8月、マテーラの食のシーンに、ちょっと贅沢でちょっとかっこよすぎる料理ユニットが現れました。アケーニ・クチーナは、店は構えない出張料理のスタイルで、マテーラとローマを拠点に、クールな食体験を提供しています。食事会の趣旨と会場、メニューに合わせて、クリスタルやアンティークガラスのグラス類、器、銀製のカトラリーから、いかにも上等なリネン類、アンティークのキャンドルホルダーや生花に至るまで、テーブルに載る物いっさいを持ち込んでセッティングする美しいテーブルも、アケーニの魅力です。
友人を招いてのホームパーティーは楽しい。が、素面にもどって直面するのが、後片付け問題です。そこでアケーニの魅力その2。翌日の指定の時間に、よごれものは汚れごと(!)回収していってくれるんです。
ということで去年の暮れ、友人の一人が「そうだ、大晦日はアケーニに出張してもらおう」という、途方もないアイデアを思いつきました(笑)。
アケーニの魅力その3は、もちろんその料理です。
イギリス人、スウェーデン人、日本人、パヴィア人、ローマ人、マテーラ人、マテーラ近郊の村民、と雑多な集団の大晦日のディナーのため、アケーニが組み立ててくれたメニューは;
前菜
牡蠣バリッジ・グラン・クリュと赤玉ねぎのグラニータ
セニーゼ産IGPクルスキピーマンのカンノーロ、塩鱈のクレーマ仕立て入り
アボカドとシチリア産赤エビのサブレー(写真)
エンダイブ、バニラと卵黄、カチョリコッタ、ハーブのソース
プリモ
アクエレッロ米使用 雲丹のリゾット
レモンのジェルとトーストピーナッツ風味のバター 添え
メイン
蒸しダコ、ローストハーブ風味の蜂蜜の艶出し
ベークドポテトのクレーマ、ラーペのマリネ 添え(写真)
口直し
ヤギ乳のカプリ―ノチーズ、柿とカルダモンのソース 添え
ドルチェ
ホワイトチョコレートのガナッシュと塩キャラメルのシュー
アンゴストゥーラ酒の香りのレッドベリーソース 添え(写真)
ディナーの終わりに
アマレーナとキャラメリゼしたヘーゼルナッツのタルト
大晦日のお約束
自家製コテキーノ、レンズ豆添え
大晦日にふさわしい料理を作らなくては!と気をもむこともなく、後片付けの憂いもなく、さらにはマテーラ首都イヤーによる混雑と通行規制も受けず、大よそ行きを着て、ひたすら出された料理に溺れるだけです。
小さな面倒も体にこたえるナイスミドルには(笑)、いいこと尽くしの新鮮な食体験でした。
次回、中編と後編にわたって、アケーニが仕掛けるシークレット・サパー・クラブに、ムルジャ渓谷のエクスカーション&ワイルドランチ、スカイプでの料理レッスンと、旅する人にもとっておきの食体験をご紹介します。