マンマのレシピ

マンマの紹介

  • マリーサ・ビッファレッラ(Marisa Biffarella)さん
  • カンパーニア州ナポリ在住
  • 得意料理:魚料理、肉料理、手打ちパスタなど

お料理説明・背景

いよいよカーニバルの季節ですね!カーニバル、イースターともに移動祝祭日ですので、今年は過去になく遅い3月5日がMartedi Grossoですが、通年2月の中頃です。

さて、まだ記憶の中に、楽しかった年末年始の大晩餐会の事が刻まれてませんか? えっ?今ダイエットでミネストローネしか食べてない。そんな人結構多いかもしれませんが、イタリアって本当にダイエットのタイミングがつかめない国です。

カーニバル=謝肉祭ですから、思いっきり肉を詰め込むわけです。
一般的にイタリア全土で見ると、ラザーニャ、そして各地特有の揚げ菓子が食卓を飾ります。ナポリのラザーニャはエミリアのものとは少し違いラグーソースを使ってベシャメルの代わりにリコッタで仕上げていくちょっと変わったものです。

ラグーは、ナポリの代表的な肉出汁トマトソースとでも言いましょうか? 映画などにラグーソースづくりのシーンは非常に多く出てきます。赤いトマトソースが黒くなるまで三日三晩煮込むのがコツとか色々なこだわりがありますが、今回は少しライトに肉を一種類しか使っていません。ラグーは牛1、豚2の部位で構成するのが一般的です。つまり、お肉の種類も場所もミックスして肉汁をしっかりソースに落とし込む。お肉も高級部位ではなく、どちらかというと、脂身の多い部位を好んで使います(特に豚)。 ソフィア・ローレン主演映画『Sabato,Domenica e Lunedì』(1990年)ラグーについて、肉屋でのシーン↓
https://www.youtube.com/watch?v=tQMHV0rnl8o
こちらを見ると、もっと沢山の種類を入れていますが、各家庭によって違いますね。

さて、トマトソースにしっかり肉汁を落とし、なおかつ、ポルペッティーニ(ミートボール)をラザーニャの中に入れます。この辺りが伝統的なエミリアのラザーニャと一線を画すところです。ポルペッティーニはもちろん素揚げしますし、加えて溶かしチーズもたっぷりなので、おいしくないわけがありません。そしてチャーミングなゆで卵も入り、とてもゴージャスな一皿なのです。

このラザーニャは1700年代ブルボン王朝期より既に存在しているもので、フェルディナンド王は、「ラザーニャ王」というあだ名がつくほど好んで食べたそうです。 正に、王室御用達のおいしさです。

レポート:祝 美也子(Iwai.Miyako)
カンパーニア州在住。イタリアの家庭料理に憧れ渡伊。1997年よりナポリ在住。日本での情報誌編集制作勤務経験を活かし、2005年スローフード協会公式ブック”Slow”日本版の現地取材コーディネーションを始め、様々なコーディネート、執筆を多々手がける。1995年より南イタリア情報サイトPiazzaItalia設立。ナポリにてマンマに習うナポリの家庭料理教室などを主宰。ブログ「ナポリのテラスから」で日々の生活をを綴る。

材料

ナポリ風ラザーニャ(6~8人分)

・ラザーニャ250g
・フィオル・ディ・ラッテ250g
・リコッタ・ロマーナ300g
・ペコリーノチーズ100g
・ゆで卵3個

ラグーソース

・パッサータ・トマトソース1.5lトマトを裏ごしして濃縮したピューレー
・オリーヴオイル50g
・調理用ワイン100g
・タマネギ1個
・ニンジン1本
・セロリ1茎
・サルシッチャ250g

ポルペッティーニ(ミートボール)

・豚ひき肉150g
・卵1個
・パンみじん切り50g食パンなら中の部分だけ、半分程度
・パルミジャーノ・レッジャーノ20g
・塩少々
・フライ用オイル適量

作り方

(前日に用意)ラグーソースとポルペッティーニの作り方

  1. タマネギとニンジンは皮をむき、セロリと一緒にフードプロセッサーでみじん切りにする。(写真a 参照)
  2. 鍋にオリーヴオイルを入れ、1のみじん切り野菜を中火で5分程いためる。(写真b 参照)
  3. 野菜に火が通ったら、鍋にサルシッチャを入れていためる。(写真c 参照)
  4. 3分程度いため、肉色が変わってきたら、白ワインを半分注ぎ、きちんと蒸発させてから、 また残りをつぎ足し蒸発させ更に5分程度いためる。(写真d 参照)
  5. 4に、パッサータ・トマトソースを入れ、時々混ぜながら極弱火にかけて約3~4時間煮込む。時間がない場合は最低2時間程度でもOK。(写真e 参照)
  6. ラグーソースの表面には、プツプツと小さな穴がたくさんできて飛び跳ねるので、このような道具を使いよく水分を飛ばす。(写真f 参照)
  7. ポルペッティーニ用の材料を全部ボールに入れ、しっかりとこねる。(写真g 参照)
  8. 直径1cm程度に小さく円形にまるめる。(写真h 参照)
  9. お互いがくっつかないように小麦粉をまぶす。なくてもOK。(写真i 参照)
  10. 小さいので揚げすぎに注意しながら、フライ用オイルで素揚げする。(写真j 参照)

ラザーニャの作り方

  1. ゆで卵、フィオル・ディ・ラッテチーズはカットし、ペコリーノは削って準備をしておく。(写真k 参照)
  2. リコッタチーズの中に前日用意したラグーソースの300cc程度を加え、色合い的にオレンジ色になるまでよく混ぜる。(写真l,m 参照)
  3. ラザーニャをゆでる。鍋に水を張り、沸騰したらオリーヴオイルを数滴たらす。(写真n 参照)
  4. ゆで時間はメーカーによって異なるが、長ゆで禁物。鍋から出したらすぐキッチンクロスに広げて余計な水分を吸収させる。(写真o,p 参照)
  5. オーブン用皿の底にはラグーソースをしっかりと塗り込む。(写真q 参照)
  6. ゆでたラザーニャを敷き、2のリコッタ+ラグーのソースを敷く。(写真r 参照)
  7. 素揚げしたポルペッティーニの半分の量をその上に置き、カットしたフィオル・ディ・ラッテチーズの半分の量も置く。(写真s 参照)
  8. さらに、カットしたゆで卵の半分の量をその上に置き、粉状ペコリーノチーズの35gを上からふりかける。(写真t 参照)
  9. 2のリコッタ+ラグーのソースを少しだけつぎ足す(ティースプーン4~5杯をポンポンと上からかける感じ)。(写真u 参照)
  10. 少し押して平らにしながら、ゆでたラザーニャをかぶせる。ここから二層目を作成。6~9をもう一度繰り返す。(写真v 参照)
  11. 一番上の段の最後ゆでたラザーニャの上にラグーソースをしっかりと塗る。(写真w 参照)
  12. 残りのペコリーノチーズをふりかける。(写真x 参照)
  13. ソースが均一になるように、オーブン用の皿をどんと少し叩いてからオーブンへ。180度で30分程度で焼き上がり。(写真y 参照)
  • a. 野菜をみじん切りにする
  • b. 野菜をいためる
  • c. サルシッチャを加える
  • d. 白ワインを加えながら5分程いためる
  • e. トマトソースを入れて煮込む
  • f. 飛び跳ね防止で使う道具
  • g. ポルペッティーニ用の材料をよくこねる
  • h. 直径1cm程度にまるめる
  • i. お好みでくっつき防止に粉をまぶす
  • j.素揚げする
  • k. ゆで卵、チーズなど準備をする
  • l. リコッタチーズの中にラグーソースを加える
  • m. オレンジの色になるまでよく混ぜる
  • n. お湯にオイルを数滴たらす
  • o. ラザーニャをゆでる
  • p. キッチンクロスに広げ余計な水分をとる
  • q. オーブン皿にラグーソースを塗る
  • r. ラザーニャとリコッタソースを敷く
  • s. ポルペッティーニとフィオル・ディ・ラッテチーズの半量を置く
  • t. ゆで卵をおきペコリーノをふりかける
  • u. リコッタのソースを少し足す
  • v. ラザーニャをのせ、二層目を作成。もう一度繰り返す
  • w. 最後はラザーニャの上にラグーソースを塗る
  • x. ペコリーノをまんべなくかける
  • y. オーブン皿をどんと少したたきオーブンで焼く

お料理ポイント

ラグーソースの野菜類は、鍋底に沈殿して焦げやすいので弱火で混ぜながら水分をとばしていく。 手間と時間はかかるが難しくはない。ラグーは前日に作っておくと味もしっくりくるし、肉団子も時間がかかるので前日に作ることをおすすめ。 材料はほとんど火が通っているので、焼き過ぎには注意。あまり焼き過ぎると、トマトソースが焦げるので注意してくださいね。 もう一層加えて3層構造にする家庭も多いのですが、かなり具のボリュームがあるので、おすすめは2層。焼いた後は冷凍も可能。材料はお好みで調整し、最後にトマトソースが残ればパスタとしてどうぞ。