マンマのレシピ

マンマの紹介

  • ジンネア・シギノルフィ(Ginnea Sighinolfi)
  • エミリア・ロマーニャ州モデナ県ノナントラ市在住
  • 得意料理:モデナの家庭料理

お料理説明・背景

ジンネア さんは 、ドイツ語の翻訳や、観光通訳の資格を持つ働くマンマ。2人の男の子のお母さんです。料理は彼女にとって仕事の息抜きも兼ねているそう。

このレシピはジンネアさんの母方のおばあさん、レアさんのレシピをアレンジ(特に量)を少し変えたものです。というのもおばあさんは家族が一同に会する特別な日に、今回の倍ほどの大きなトルタを作っていたそうです。

このトルタ、ノナントラのどの家庭にも独自のレシピがあって、バターを控える家庭、逆に増やす家庭、ココアの量や、アマレッティというアーモンドプードルで作ったクッキーを入れる家庭などさまざまです。今回使用した土台のクッキー生地はモデナの伝統的なお菓子ベンソーネ(写真)にも使えます。

タリアテッレのトルタにココアを入れるのはノナントラの街だけで、この小さな街を少し出ると、ココアを入れた物は見当たりません。
有名なのはおそらくココアが入っていない白いタリアテッレのトルタで、リッチョリーナと呼ばれることもあります。この白い方はフェラーラが起源と言われており、ボローニャでもよく食べられています。「ノナントラの家庭ではココアを入れた物がタリアテッレのトルタなんです!」とジンネアさん。

タリアテッレはこのトルタのためにわざわざ作るわけではなく、食事のために打ったパスタを多めに作り、このトルタを作るのが一般的。ラザニアや、タリアテッレなど手打ちパスタはフェスタの主役。今回も少し多めに打ったタリアテッレは乾燥させてスープの浮実にと、無駄がありません。さすがタマゴ入り手打ちパスタのお膝元、だからドルチェ(デザート)にも手打ちパスタを使う文化が生まれたのでしょう。

タリアテッレと呼ぶのはあまりにも幅が狭いため、厳密にはタリアテッリーネと呼ぶ方が妥当かもしれませんが、このトルタに関しては、タリアテッレと呼ばれています。

手打ちパスタをのばすのは、まるでダンスをしているように優雅でないといけないとか、お尻に汗をかくくらい腰を使ってのばせ……なんていうそうです。胸とお尻の重さでバランスをとりながらパスタをのばすなんて話もさもありなん。こちらのご婦人方は皆さま豊満なボディーをお持ちです。

薄く上手にのばせると「おー手が透けて見えるじゃないか!」とか、「あれ、サンクチュアリが見えるじゃないか!」なんて褒め言葉が出るようですよ。 もちろんパスタマシーンを使ってのばすのも、最近では一般的ですし、手打ちパスタを上手に打てるようになるには、最低でも週一回はやらないとなかなか上手にできないんだ。というお話でした。

レポート:堂内 あかね(Akane Douchi)
エミリア・ロマーニャ州在住。日本で企業の管理栄養士として5年間勤務後、2005年渡伊。2007年、モデナ屈指の旧家に嫁ぎ、一族に継承されていたバルサミコ酢の樽の管理を夫と共に引き継ぐ。2009年よりスピランベルト市にある「伝統的なバルサミコ酢 愛好者協会」(Consorteria dell’aceto balsamico tradizionale di Modena)に所属し、バルサミコ酢マエストロ試飲鑑定士資格を目指し、研鑽を重ねている。バルサミコ酢の醸造の傍ら、イタリア人向け日本家庭料理教室の講座を北イタリア各所に持つ。また、自宅にて醸造室の試飲見学会、バルサミコ酢を使った食事会、料理教室を主宰。バルサミコ酢醸造のエピソード、見学会などは Facebook Akane in balsamiclandにて紹介中。

材料

クッキー生地(直径26cmの底が抜けるケーキ型一台分)

・薄力粉500g
・グラニュー糖200g
・ベーキングパウダー15g
・塩ひとつまみ
・卵3個
・溶かしバター150g室温に冷ましておく

タリアテッレ

・強力粉200g
・塩ひとつまみ
・卵2個

フィリング

・皮付きアーモンド200g
・砂糖入りココア200gない場合はココア130gと粉糖70gを合わせておく
・モデナのアマレッティ50gアーモンドプードルで作ったクッキー(あれば加える)
・グラニュー糖200g
・バター170g室温に戻して軟らかくしたもの
・サッソリーノ100mlアニスの入ったリキュール

作り方

    下ごしらえ

  1. クッキー生地を作る。ボールに薄力粉、グラニュー糖、塩、ベーキングパウダーを混ぜ合わせる。(写真a 参照)
  2. 中央にくぼみを作り、卵と冷ました溶かしバターを加えひとまとめにする。(写真b 参照)
  3. ラップで包み冷蔵庫で、30分以上寝かせる。(写真c 参照)
  4. タリアテッレを作る。強力粉を捏ね台に盛り、中央にくぼみを作る
  5. 卵を割り入れ、塩をひとつまみ入れたら、フォークで少しずつ小麦粉と混ぜ合わせていく。(写真d 参照)
  6. よく捏ねたら、ひとまとめにしラップやビニール袋をかけて30分室温で休ませる。(写真e,f 参照)
  7. 台の上に綿棒を使ってのばしていき、持ち上げて手が透けて見えるくらいまでのばす。(写真g 参照)
  8. 椅子と綿棒を利用し少し乾かす。(写真h 参照)
  9. 生地を1/3の幅に切り、5cm幅に巻き込み出来るだけ細く切る。少し乾いているのですぐに麺がほぐれる。(写真i,j 参照)
  10. オーブンを180度に温めておき、型にはバターを塗り、小麦粉をまぶしておく。下が抜けない型の場合はオーブンペーパーを型に敷いておく。

作り方

  1. アーモンドを150度で5分間ローストし、フードプロセッサーで細かくする。
  2. アーモンドと、砂糖入りのココア、グラニュー糖、細かく砕いたアマレッティをよく混ぜ合わせてフィリングを作る。(写真k 参照)
  3. 型にのばしたクッキー生地を敷き、フィリングの1/3量をひく。(写真l 参照)
  4. 3にタリアテッレの半量を均一にのせ、1/3のフィリングをかける。(写真m,n 参照)
  5. 残りのタリアテッレをのせ、またフィリングの残りを上からかける。(写真o 参照)
  6. 室温で軟らかくしたバターを手でちぎって上にのせる。(写真q 参照)
  7. 180度で温めておいたオーブンで35分焼く。
  8. 熱いうちに型から出し、上にサッソリーノを半量染み込ませ、また1時間後にも染み込ませる。(写真r 参照)
  • a. 粉、グラニュー糖、塩を混ぜ合わせる
  • b. くぼみに卵、溶かしバターを加える
  • c. 捏ねてひとまめにして寝かせる
  • d. タリアテッレを作る
  • e. 生地をよく捏ねる
  • f. ひとまとめにして室温で休ませる
  • g. 薄く棒で手が透けるほどの薄さにのばす
  • h. 少し乾かす
  • i. 5cm幅に巻き込み細く切る
  • j. 細く切った麺をほぐす
  • k. アーモンド、ココア、アマレッティなどを混ぜ合わせる
  • l. 型にクッキー生地を敷きフィリングをひく
  • m. タリアテッレ半量をのせる
  • n. 1/3のフィリングをかける
  • o. 残りのタリアテッレ、フィリングをのせていく
  • p. バターを手でちぎって上にのせる
  • q. 焼いた後熱いうちにサッソリーノを染み込ませる

お料理ポイント

アニスのリキュール、サッソリーノはモデナのリキュールです。子供たちが食べるので、今回はたくさんは染み込ませません出したが、3~4回染み込ませると、次の日にしっとりとした食感に変わりそれもまたおいしいので、大人だけの場合は量を変えてみてくださいね。