縁あって、ソムリエとマテーラ最高のワインを飲む/後 編
マテーラで最も優れたカンティーナのひとつ
(前編につづき)ソムリエがそう称えるのが、マッセリア・カルディッロです。「ワインにするに足る」ブドウだけを選って、8銘柄をリリースしています。
ブドウ畑の近くでは、夢のように甘いミカンが生る土壌にしてなお、選果を通過するのは、収穫量全体の60%に満たないという厳格さです。
「マテーラでは、そうありたくても、経済的に許されないカンティーナがほとんど」と、側にいたソムリエが耳打ちしてくれました。
家族経営で農業主体の兼業カンティーナでは、大切に育てたブドウは、できるだけワインにして売る必要があります。銘ワインを世に出すみたいな事は、いつも後回しにされてきたわけです。
紀元前7世紀にまで遡るワイン造りの歴史がありながら、格付けワインがなかったマテーラで、D.O.Cの認定に尽力したのが、カルディッロでした。
実際、ワイン造りのどの工程を切り取っても、マテーラD.O.C.全体を見据え、背負って、牽引するカンティーナの矜持をビシビシ感じました。
鉄壁は「マランドリーナ」 マテーラ・モーロD.O.C.
カルディッロはマランドリーナという赤で知られます。例のマテーラ・モーロ D.O.C.の1本で、土着品種のプリミティーヴォに、国際品種のカヴェルネとメルローをブレンド。世界の愛飲家を見据えた野心的な一本は、数年来、AISバジリカータのワイン評で「エクセレント」を取り続けています。
侯爵夫人の「バルック」 マテーラ・プリミティーヴォD.O.C.
カルディッロをマテーラで最も優れたカンティーナ足らしめているのが、バルックという赤です。何を隠そう、この7月に極秘にマテーラを訪れた英ウェストミンスター侯爵夫人から、うちうちの依頼を受けたAISマテーラ支部の代表のサムエーレ氏が、侯爵夫人のテイスティングのために選んだ2本のうちの1本が、このバルックでした。
もう1本は、州を代表するアリアーニコ・デル・ヴルトゥレD.O.C.G.のこちらも名高い赤でしたが、レディ・ナタリアは、バルックをことのほかお気に召したとのこと。
バルックは土着品種のプリミティーヴォだけで造る、カルディッロのとっておき、いわば最高峰ワインです。
それをあえてアメリカ産のオーク樽で熟成させることで、きどらない、こなれたワインに仕上げているんだとか。
ソムリエになろうという地元のワイン好きにもバルックがぶっちぎりの人気でした。
【おまけ】カルディッロによる、ソムリエのためのランチ
テイスティングには、マランドリーナ、バルックを含めた7銘柄がずらりと並びました。それに合わせ、この日、カルディッロが組み立てたメニューは、ザ・マテーラ料理で、奇をてらったものは何もないのですが、それぞれが美味しかったこと!
ワインにまつわる四方山話が聞けるのも、ソムリエと一緒なればこそ。
マテーラに限らず、イタリア各地にAISの支部がありますので、ソムリエと一緒にカンティーナ見学、かなりおすすめです。
伊ソムリエ協会マテーラ支部では、下記のサービスを提供しています。
駆け足でマテーラを巡る人には
侯爵夫人も利用した
【テイスティングの出張サービス】
ソムリエがご要望にかなう州ワインを厳選、テイスティングサービスに伺います。
マテーラ市内の:
・ご希望のレストランで(ランチ、ディナーに合わせて)
・お泊りのホテル、B&Bで(お食事前のアペリティ―ヴォに)
※ダイニングルームとキッチンを備えた宿泊施設に限ります。
生産者に会いに
【ソムリエとカンティーナ見学】
アリア―ニコ・デル・ヴルトゥレD.O.C.G.地方
マテーラD.O.C.地方
【ご予約・お問合せはメールで】
Associazione Italiana Sommelier Basillicata
Delegazione di Matera
伊ソムリエ協会 マテーラ支部
e-mail: aismatera@gmail.com(英語可)