シエナの伝統行事パリオ!
皆さん、こんにちは!シエナの鈴木です。
イタリアでも暑い日々が始まりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
さて、いよいよ今回は自分が住むトスカーナ州シエナの町の伝統行事『パリオ』についてご案内したいと思います。
パリオとは?
パリオは年に2回、夏季の7月2日と8月16日に開催される伝統行事です。シエナの中心街のカンポ広場で開催され、伝統衣装に身をまとったパレードの後、メインに競馬のレースが行われます。
約4万人を動員。その模様はイタリア全国に生中継され、また毎回、イタリアや国外のVIPもシエナ市に招待され観戦します。
パリオとは、毎回国内外のアーティストによってデザインされる絹の旗織物で競馬の優勝賞品のことを指します。
パリオは伝統そのもの
世界中に伝統的なお祭り・行事は数知れど、パリオほどユニークなイベントはありません。7月のパリオは、シエナ中心街のプロヴェンツァーノ教会(1604年)の聖母マリアを讃えるために17世紀に創設されましたが、8月のパリオの起源はなんと12世紀まで遡り、聖母マリアの被昇天(アッスンタ)を讃えるものとなっています。
つまり、イタリアの宗教的観点からも信仰心と結びつきの深い神聖なる現代の行事とも言えます。
特別、『競馬』のイベントとして広く知られていますが、そこにはシエナに住む人々の信仰心や伝統、誇り、名誉を賭けた戦いがあるのです。(現在のように、競馬のレースの形となったのは1644年頃とされています。)
コントラーダ
シエナの町、パリオの歴史と切っても切り離せない『コントラーダ』についてご説明しましょう。シエナの中心街は、17つの地区に分けられています。
それは13世紀頃シエナが一つの国家であった時代、軍隊を編成するために3分割した町内の線引きが基となっています。
その後、細分化、合併などがあり17世紀後半に現在の17つの地区となりました。
地区はコントラーダと呼ばれ、町内会のような機能を持っています。
パリオは、いわば、このコントラーダ同士による町内対抗戦なのです。
各コントラーダ内には、教会や本部、集会場などがあり、それぞれが独自のカラーリングと動物などのシンボルを持っています。
(※ヤマアラシ、キリン、鷲、ドラゴン、がちょう、カタツムリ、芋虫、雄羊、ユニコーン、キリン、亀、雌狼、フクロウ、塔、貝殻、波、豹、など様々なコントラーダがあります。)
各コントラーダでは人々が強い結束力を持ち、ひとつの家族のように1年を過ごします。1年を通しての大きな食事会、イベント、特に夏の時期は、パリオに向けての準備や野外フェスタなど結束力を高める行事もたくさんあります。
また、地区によっては友好関係にある地区や敵対する地区などが存在します。
そして親から子、先輩から後輩に受け継がれてきた文化が現代まで続いているのです。
パリオは、これらの伝統と血筋を受け継ぐコントラーダの人々が仲間同士の結束力を深め、栄誉を手にするための戦う伝統行事なのです。
シエナの町に来たときは、コントラーダやパリオの予備知識があると一層滞在を楽しめます!
夏の時期は、コントラーダの庭園で行われる一般参加も可能なお祭りなどもやっていますので機会があればぜひ参加してみてましょう!
今週はブルーコ(芋虫)地区のお祭り『バオベッロ』です!
来月は今年2回目のパリオ!どこのコントラーダが優勝するのでしょうか?※7月2日のパリオはドラゴ(ドラゴン)地区が優勝しました。
それでは、また次回もお楽しみに!
鈴木暢彦
パリオのルールや、観戦情報、チケット手配など、詳細はホームページまで!
ホームページ 『トッカ・ア・シエナ』https://www.toccaasiena.com