世界遺産「マテーラの洞窟住居」地区でテルマエ・ロマナエ
ご存知でしたか?世界遺産に登録された理由
“サッシ”と呼ばれるマテーラの洞窟住居地区、いったい何がすごいのでしょうか?今でこそサッシはマテーラ市の一地区ですが、もともと最初の集落はサッシの中で生まれ、ざっくり15世紀頃まで、マテーラは岩を穿って築かれた石の都市でした。
サッシは現存する最古の居住地の一つに数えられますが、都市構造そのものが、なんと有機的に雨水を集積する巨大な水甕の機能も果たしていました。雨水の集積と貯水に紐づけた都市建設の歴史は、青銅器時代に遡ります。古代ローマの水道以前の計算です。
といっても仕組みは明快で、地盤に掘っただけの側溝、雨樋、はては”段々道”など水勾配を持つ「面」ならなんでも使って、降った雨をもれなくキャッチし、最寄りの地下貯水槽に取り込むというもの。
他にも、一定以上の水位のキレイな上澄みだけを、下位の貯水槽に移し替えるオーバーフロー溝が付いた例もあります。
プリミティブなんだけれども、なかなかよく出来ています。
類似の都市にペトラ(ヨルダン)や遠くトゥラ(イエメン北部)がありますが、サッシでは少なくても1926年までは、この雨水システムが現役でした。世界最古にして保存状態も良好というわけで、世界遺産登録の大きな理由の一つになっています。
そして貯水槽が残った
というわけで、サッシの住居ならばまず貯水槽がありました。そこへ1926年、水道が引かれます。一転、貯水槽に雨が入ってこないよう、導水溝と貯水槽の切り離しが始まります。貯水槽の流入口はきっちり塞がれ、後には空っぽの貯水槽が残りました。
現在、修復工事の際には、その耐水性を生かして、ホテルやB&Bではバスルームに、大型のものになるとプールやスパにするのが今様となっています。
最大級の洞窟のスパ「テルマエ・ロマナエ」
先月、大雪の降った翌日のこと、誕生会の名目で、サッシの最古参ホテルが近年オープンしたスパを利用してきました。そうなんです、こちらは住民も、宿泊客以外の観光客も利用できるんです。しかも洞窟のスパとしてはサッシ地区で最大級です。建築上のハイライトといってもいい温水プールの広いこと!
ご存知、古代ローマの浴場「テルマエ・ロマナエ」と銘打ったスパには、上下3階層に6つのゾーンがあります。オマージュしているだけなので、歴史的な古代ローマの公衆浴場とも、あの『テルマエ・ロマエ』とも関係はありません笑。
●アポディテリウム / 脱衣室
●28℃のテピダリウム前室
●50℃のドライサウナ
●30℃のテピダリウム / 貯水槽の休息室。冷水とハーブティーのサービス有
●45℃のカリダリウム / ハマム;湿度100%のミストサウナ
●29℃のフリジダリウム / ジャグジー付き温水プール
2時間あれば、サウナ、ミストサウナ、プールを好きなだけ行ったり来たりできます。
前述のガッティーニ・ホテルでは、類似のスパコースが60分ですので、勝手な所見では、ボディ・トリートメントならスパ・ガッティーニ、サウナとプールに入り浸りたいなら、断然「テルマエ・ロマナエ」です。
更衣室が手狭で、スパ後のシャワー設備とアメニティの物足りなさもご愛敬、古代ローマの公衆浴場さながらのコスパに優れ、快適な社交場の感があります。
極寒の日、暖かい時間が過ごせるありがたさはひとしおでした。また日の短い冬季には早朝、夜の営業も嬉しい限りです。これから夏にかけては、灼熱の午後の避暑にもおすすめです。
宿泊客以外の方も利用できますが、必ず予約が必要です。
メールまたは電話で予約してお出かけください。
Locanda di San Martino
スパ営業時間 07:30 – 11:30/14:00 – 21:30
料金 20€/2時間/お一人(バスローブ、プール用キャップの使用料 込み)
◆①水着、②プール用サンダル、③必要の際はバスタオル持参。
◆公衆衛生法により、プールの中では必ずキャップを着用してください。
◆温泉ではありません。
◆18歳未満の方のご利用はお断りしています。予めご了承ください。