カラブリア州の隠れた特産物・ベルガモット
カラブリア州の特産品の一つ、ベルガモット。レモンに似たかんきつ類で、特産品と言ってもカラブリア州の南部地域・レッジョカラブリア県のさらにごく一部でしか取れない、とにかく地域限定の特産品。もちろんDOP食材です。
「大きさはオレンジの様で、熟して黄色くなるとレモンの様、でもその香りは唯一」と言われ、豊かな香りの皮が香油の原料として古くから珍重されてきました。
イタリア語ですが、こちらのサイトに写真の説明詳細が出ています。
写真は20世紀初頭頃のベルガモット加工工場の様子。1900年代中ごろに近代的な機械が登場するまで、村総出で収穫し、手作業で皮を剥き、香油原料を得ていました。
香油原料は主にヨーロッパの大都市圏に輸出されていて、フランスが最大の輸出先だったとか。
大きな産業の無かったカラブリア州南部地域では、ベルガモットが村全体の生活を支えていた場所が少なく、そういった村々に収穫の際にのみ歌われる民謡などが伝わっています。
大切な大切な収入源だったベルガモット畑は、現在でも「場所は秘密♡」という生産者が少なくありません。盗まれちゃったら大変ですから!
中には畑の見学を許可してくれる生産者もいますが・・・本当にごく一部の生産者のみ。それほど地域にとっては無くてはならない、大切な農作物でした。
12月~2月が収穫・加工作業の最盛期です。
現在でも豊かな風味を逃さないよう、収穫後すぐに加工が始まります。香油原料としては新鮮さが命。収穫から約5時間以内に加工を始めるのが普通のようで、収穫時期はとにかく忙しい農家さんが殺気立ちます(笑
香油原料としては冬に収穫される完熟が、香水としてはまだ実が小さい夏のうちに収穫したものが使われるとか。
ちなみに、私の住むカラブリア州北部コゼンツァ県では別の特産かんきつ類があるため、そもそも店頭にすら並びません。もしかしたら、ベルガモットがカラブリア州内で耕作されている事すら知らない人がいるかもしれない、ぐらいのレアな農作物なんですよ。
カラブリア州に住んでいても滅多にお目にかかれない、そんなレア感漂わせるベルガモット。最近では、この豊かな香りを食卓で楽しもうというムーブメントの中からベルガモット製品が登場、州内の旨いモノ好きの間で人気があります。
その筆頭が、ベルガモットの皮と晩生のオリーブの実を一緒に粉砕させて作られるベルガモット風味のオリーブオイル。
そして、苦味が強くて生食に向かないフルーツも使ったコンフェットゥーラです。
柚子とライムに似た香りは日本人の私でも使いやすく、我が家は「Frantoio del Borgo」社のものがお気に入りで、ベルガモット風味のオイルとコンフェットゥーラを常備しています。
※コンフェットゥーラとは・・果肉が全体の35%以上を占めるジャムのこと
かんきつ類なので魚を使ったお料理と相性が良いのはもちろん、ただ煮ただけのほうれん草にまわしかけたり、重めのお肉料理を盛り付けた後に使ったりしています。
少量でもしっかりと香るので、コスパが良いのも嬉しい♡
数滴ちらすだけで、ふわりとベルガモットが香り、簡単なお料理も少し違った雰囲気になるので重宝です。お料理上手産の間では、色々なお料理の隠し味などにも使われているベルガモットのコンフェットゥーラ。私はベルガモット自体の苦味が結構好きなので、そのままパンに乗せて朝食のお供に使うことが多いかな。
香油を得るために、すなわち「外」に売るために作られていたベルガモットが、カラブリア州内の食卓を豊かにする製品に加工されるようになったのは嬉しい限り。
食品に加工されるようになって、州内でもベルガモットに対する認知度も上がり、合わせて世界からもこの知られざる「食用」かんきつ類が注目されている昨今です。
あまり聞きなれないかんきつ類かもしれませんが・・カラブリア州にベルガモットという、なんだか珍しい果物があるんだなと覚えていただけると嬉しいです♪
カラブリア州内には特産のかんきつ類がまだまだあるので、今後少しずつご紹介しますね。
■カラブリア州:ベルガモットのコンフィチュールとオリーヴオイル
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