冬の風物詩・豚仕事。カラブリア州はンドゥイヤも作ります。
12月の末からカラブリア州一帯で始まるのが「豚仕事」。春生まれの豚さんを〆て、サラミに加工する一連の作業です。
サラミ工房でも豚を持っている一般家庭でも普通に行われる豚仕事。豚を飼う伝統のある地域の風物詩ともいえる「豚仕事」ですが、カラブリア州の一部では特産サラミ・ンドゥイヤ(’nduja)も一緒に作られます。
ンドゥイヤはカラブリア州を代表する辛くて塗れるほど柔らかいサラミ。州を代表する有名サラミなんですが・・実はつい数年前まで、州中西部のある地域でしか作られていませんでした。
ある地域とは、カラブリア州最大の観光地・トロペア(Tropea)近郊の小さな村、スピーリンガ(Spillinga)周辺。
ンドゥイヤがこの地域特産サラミと言われているのは、この辺りの独特な地形と気候がンドゥイヤ作りに欠かせないものだったからで、現在でもスピーリンガの物が最上級品とされています。
作り方はカラブリア州の一般的なサラミとほぼ同様。大きく異なるのは「ほぼ脂身じゃない?」っていうぐらい脂身が多く使われること。
※ちなみに、コゼンツァ市で同様に作ろうと思うと上手にできません
本物のンドゥイヤは、乾燥パプリカを石引したものを使います。パプリカは甘口・辛口があり、それぞれの工房・家庭がオリジナルブレンドをして辛味を調節しています。晩秋に工房を訪問すると、乾燥パプリカを石引する作業を見ることが出来ますよ♪
また脂分が多いので、数か月の熟成を経て後もそのまま塗れるほどの柔らかさを保てるんですね。
そして、ンドゥイヤを作る地域の最大の特徴がこの燻製作業! これは、一般家庭の燻製小屋の様子です。一般家庭に燻製小屋がある事自体が驚きですが・・まぁカラブリア州ですんで(笑
私の住むカラブリア州コゼンツァ県では、サラミを作ったら屋根裏部屋などで乾燥させ、たまに煙を掛ける程度で「燻製」作業は行いません。なので・・・コゼンツァ界隈では燻製小屋を見かけません。
スピーリンガ村界隈ではサラミ作りをするには温暖すぎるため、出来上がったサラミは即・燻製室へ! なので、普通の家庭にも豚仕事スペース脇に燻製小屋があるという訳。
もちろんンドゥイヤも最初に燻製作業が行われます。
一言に「カラブリア州のサラミ」といっても、これだけ豊かな地域差があるのが面白いですね♪
こちら、農家さんの「豚仕事」の様子。今年から紐かけ作業を任された、若手さんが頑張っています。
腸詰作業用の機械にンドゥイヤの中身がスタンバイされ、あまりの量に「やっとサルシッチャが終わったのに~」と苦笑い中(笑
豚一頭はだいたい200㎏ぐらい。解体するのも一苦労ですが、様々なサラミに加工するのも1日掛かりです。
豚を持っている家では、1日1頭のスペースで冬の間を通して豚仕事を行います。カラブリア州ではだいたい12月末から1月末がシーズン。
祝祭日はちびっこ達にも積極的にお手伝いさせ、家族総出で行う「豚仕事」は世代を超えて確実に受け継がれている模様ですよ♪
~おまけ~
私がご案内している工房では、自家製豚使用のこだわりのサラミ製品を作っていて、もちろん工房見学後に試食会があります♪
ンドゥイヤだけでなく魅惑のサラミの数々は、自家製赤ワインと一緒にご試食ください♡