お料理説明・背景
マルタリアーティは、「適当に切った、きれいに切れていない」というお茶目な名前の通り、手打ちの卵無しパスタ生地をのばしたものをざくざく大雑把な長方形やひし形に切ったもの。マルケやロマーニャといった中部イタリアで作られる家庭的なパスタです。ぶきっちょさんでも簡単に作れること、早くできること、手元にある材料で色々アレンジが利くことから、昔から”農家の簡単お昼ご飯”的な存在でした。
ここマルケ州北部のウルバーニアでもそれは同じ。卵入りのパスタは日曜日だけの贅沢な料理だったので、生地には卵は入りません。たとえ農家で鶏を飼っていて卵がふんだんにあったとしても、それは市場で売ったり、砂糖と交換したり、と大切な資源の一つだったんです。そこで今回はウルバーニアの料理上手なマンマ、アンナさんに彼女のおすすめの作り方を紹介していただきます。
このレシピは、彼女の開催する料理教室の大ファンになったドイツ人のお客様が、アンナさんとコラボして作った料理本にも載っており、豆と野菜たっぷりの健康的なレシピ。昔の農家では肉や魚はごちそうだったので、普段は畑にある野菜、豆類で経済的にしかも栄養価のある食事がマンマたちの工夫で作られていました。全粒粉を使ったマルタリアーティからは田舎の香りが漂い、パンチのある食感は、スパイスのコリアンダーとぴったり。やさしい野菜の味と豆のしっとりとしたソースがパスタに絡んで、次々と食べれてしまいます♪
ベジタリアンの方にもぴったりで、しかも食べ応え十分!
アンナさんは、ウルバーニアの田舎で昔の粉引き小屋を改造して作られた建物を宿泊施設にした”MULINO DELLA RICAVATA”というB&Bを旦那さまと一緒に経営されています。ここの暖炉のあるキッチンが、訪れる人々を幸せにしてくれる空気が溢れていて本当に素敵!自家菜園の野菜やハーブをたっぷり使った料理には定評があり、メタウロ川のほとりにあるこの歴史的な建物では、メタウロ川の水力によって小麦粉挽き、オリーヴオイルのためのオリーヴ挽きが行われており、村中の小さな農家がここへ収穫物を持ち込み、列を作って自分たちの分が挽き終るのを待っていたそうです。この粉引き小屋のある空間は、半鍾乳洞のような岩と同居しており、独特の雰囲気のある文化財としても色々なメディアに取り上げられた歴史深い場所、アンナさんの作るおいしいご飯と歴史的な建造物を堪能できるという一度で二度おいしい滞在が楽しめる、マルケの小さな楽園なのです。
ウルバーニアのB&B”MULINO DELLA RICAVATA”webサイトはこちら
マルケ州、ウルビーノ近郊のカーイ(Cagli)在住。1999年渡伊、ファエンツァの国立美術陶芸学校の陶彫刻科を卒業後、現代美術アーティストBertozzi&Casoniのもとでアシスタントとして12年に渡ってコラボする。2003年にマルケ在住のイタリア人と結婚したのをきっかけに、マルケ州の郷土料理や工芸、美術文化に強く惹かれ、自らも陶芸家として活動する中、ウルビーノを中心とするマルケ北部や県境近郊の食文化、美術工芸文化を発信する(ラファエロの丘から)を立ち上げ、現地アテンドや料理教室、工芸体験などのオーガナイスや、ウルビーノを紹介する記事などを執筆。生産者や工芸家との友人の輪を生かし、食文化とアートが一体となる現地のイベントに進んで参加している。一児の母としても、マンマの料理の腕を上げようと奮闘中! ホームページ:「ラファエロの丘から」
フェースブックページ:「フェースブック ラファエロの丘から 」
材料
マルタリアーティの材料(4~5人分)
・全粒粉の軟質小麦粉 | 300g | |
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・ぬるま湯 | 150~180ml | 小麦粉によって水分の吸い方が変わるので調整しながら手にくっつかずしっかり練れるくらいの量で |
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル | 大1 | |
・塩 | 少々 |
野菜とウズラ豆のソースの材料(4~5人分)
・ポロネギ | 1/2本 | |
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・ズッキーニ | 2本 | |
・セロリ | 1/2本 | |
・ニンジン | 1本 | |
・完熟のミニトマト | 10個前後 | |
・ウズラ豆 | 350g | 軟らかくゆでて塩味を付けたもの、または水煮の缶詰め(水を切った状態の重さ) |
・コリアンダーのホール | 少々 | |
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル | 大5 | |
・パプリカパウダー | 適量 | |
・塩、コショウ | 適量 | コショウはお好みで |
作り方
- 乾燥した豆を使う場合は前日に豆を水で戻して、軟らかくゆでておく。塩は最後に豆が軟らかくなってから加える。調理の時まで煮汁に浸けたままにしておく。
- パスタは当日時間が有ればソースを作る前に用意してソースの調理時間で休ませてもいいが、時間が無い場合は前日に練っておき、ビニール袋に入れて冷蔵庫で一晩休ませる。
下ごしらえ
パスタを作る
- 打ち台に、全粒粉と塩ひとつまみをあわせて山型にふるう。ふるいに残ったふすまは最後に加える。中心にくぼみを作り、オリーヴオイルを入れ、ぬるま湯を量を調節しながら加えて手で混ぜながら一つにまとめる。(ここまでの作業はボウルの中でしてもよい)(写真a,b 参照)
- 1の生地を木の台の上で少々の打ち粉と一緒に生地の表面がスベスベになるまで練る。ラップに包み、涼しいときは常温、夏は冷蔵庫で約1時間休ませるか、前日に生地を練る場合は冷蔵庫で一晩休ませる。(写真c,d,e 参照)
- 休ませた生地を台の上で打ち粉を少々と一緒に麺棒で2mmくらいの薄さに広げる。4cm前後の帯状に生地を切り、さらに反対側からパスタが長方形になるように切る。形は大まかで十分。互いがくっつきあわないように、打ち粉をした紙のプレートやお盆などに広げておく。(写真f,g,h 参照)
ソースを作り仕上げる
- 各野菜(ポロネギ、ズッキーニ、セロリ、ニンジン、トマト)を洗い、ニンジンは皮をむき、それぞれ写真のように小さく切る。(写真i 参照)
- 大きめのフライパンにオリーヴオイルを注ぎ、オイルが熱くなったらまずポロネギを入れて中火で2~3分ほどいため、少量のぬるま湯を注ぐ。次にセロリ、ニンジンを入れしんなりするまで3~4分中火で焦がさないようにいため、塩を2つまみほど加える。(写真j,k 参照)
- 2にトマトとズッキーニを入れ、さらに4~5分いため、全体がしんなりしたら、パプリカパウダーを小さじ1ほど振り入れてなじませ、火をとめる。(写真l 参照)
- ウズラ豆とゆで汁を予め分けておき、ウズラ豆全体の1/3ほどと、3のいためた野菜の1/3、豆のゆで汁を200mlほど一緒にブレンダーにかけてなめらかなクリーム状にし、3に戻す。残りのゆでたウズラ豆も合わせる。塩味を見て、味をととのえ、ソース全体がぼってりしすぎているようなら豆のゆで汁を少々加える。さらっとクリーミーな感じが理想。(写真m,n 参照)
- 鍋にたっぷりの湯を沸かし、適量の塩を入れてマルタリアーティをゆでる。生パスタはすぐに火が通るので、湯から浮かんできたらゆで上がった証拠。(写真o 参照)
- 全部が浮かんだところで、小さなザルなどですくいながら水分を切り過ぎないように4のソースに入れていく。全体をなじませて皿に盛り付け、コリアンダーの粒を振りかける。粒の食感が苦手な人は挽いたものでもよい。仕上げにたっぷりのオリーヴオイルと好みで黒コショウを振りかけ、熱々のうちに食べる。(写真p 参照)