マンマのレシピ

マンマの紹介

  • アンナマリア デッリーコ(Annamaria D’Errico)さん
  • プーリア州チステルニーノ在住
  • 得意料理:プーレディファーヴェ

お料理説明・背景

プーリアでソラマメと言えばまず採りたてを生で食べるか、乾燥させたものをピューレにするかのどちらか。一つの食材でこれほど違った味わい方ができるのかと驚くほどの振り幅である。これは土に近いところで生きるプーリア人が味わう旬の喜びと農閑期の保存食作りの忍耐の振り幅でもある。

初夏の一時が旬の生はファーヴェ ノヴェッレと呼ばれ、小さめの若いものがサヤごと山のようにテーブルにどどっと出される。それを各自でサヤを割り塩をちょっとつけて口に放り込む。微かな苦味と青い香りが熟成されたカチョカヴァッロと赤ワインによく合う。畑からその日食べる分だけ収穫して採りたてをすぐに食べるのがプーリア流。これはプリモかセコンドの後、デザートの前に出てくる。これを食べなくては夏が始まらない。

一方、プーリア人のソウルフードとも言えるのがピューレディファーヴェ。サヤがカラカラになるまで畑に放置したソラマメを収穫し、茶紫色になった硬い外皮をナイフで切り開くと中から薄黄色の平べったい豆の芯の部分が出てくる。これをジャガイモと一緒にピューレ状になるまでゆでたもの。こちらは保存食なのでいつでも食べられる。レストランなどのメニューにはパスタやリゾットと同じプリモピアットのカテゴリーに入っていることが多いが、プーリア名物の前菜オンパレードの一品として出てくることもある。一見マッシュドポテトのようだか、つけあわせの一品としてではなく、あくまで主役として扱われる。
と言ってもそれだけで供されることはなく必ず数種類のコントルノが用意される。欠かせない定番中の定番はペペローニ フリッティ。これは京野菜の万願寺唐辛子に似た緑色の細長く辛くない唐辛子を、素揚げにしトマト和えにしたもの。素揚げのままで出てくることもある。

もう一つはチコリエッレと呼ばれる西洋タンポポの葉に似た苦味のある野草をゆでたもの。季節的には秋から冬にかけて花が咲く前の葉が柔らかい時期のものが好まれる。初秋には炒めるだけで食べられるオリーヴェドルチェも苦味と甘い香りが絶妙に合う。
その他赤タマネギのスライスやパールオニオンの酢漬けなど酸味も欠かせない。トマトのサラダを一緒に食べても美味しい。

ソラマメ独特のコクと甘みがそれぞれのコントルノの味に引き立てられて、飽きることがない。ソラマメはタンパク質やミネラル分を多く含んでいるし、コントルノも野菜中心で栄養バランスもバッチリ。プーリア人の自慢でもある美味しいオリーヴオイルがたっぷり使われていてしっかり食べた満足感もある。

料理好きなアンナマリアさんにとってたくさんのコントルノを作るのは楽しいことでしかないと言う。キッチンが一番落ち着く場所。一昔前にはホテル学校に進むことを選んだ息子と一緒に家庭料理の店を開くことを真剣に考えたこともある。彼女のファーヴェはジャガイモ多めのチステルニーノ風。子供の頃は週に一度は必ずピューレディファーヴェがテーブルにのった。今は月に1.2度ぐらい家族が集まる日に作る。 冬場は朝からピニャータと呼ばれるテラコッタの壺に仕込んで暖炉の火のそばに置いておく。時間はかかるが準備さえしておけば手はかからず他の仕事をしていても昼には丁度よく出来上がる。コントルノにしても季節ごとの保存食を常備してあれば有り合わせでもテーブル狭しと賑やかなご馳走になる。どこをとっても至極プーリアらしい一品。

レポート:大橋 美奈子(Minako Ohashi)
プーリア州在住。1999年プーリアと日本の架け橋になるべく(有)ダプーリア設立。2008年子育てのため夫の故郷Valle d’Itriaへ移住。スローライフを実践しながらプーリア仲間増殖活動中。

材料

プレ ディ ファーヴェ(4人分)

・乾燥ソラマメ250g
・ジャガイモ200g
・塩大1
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル 適量
・パン適量お好みで

コントルノ #1 ペペローニ フリッティ

・甘長青唐辛子200g
・オリーヴオイル100cc
・チェリートマト約10個
・塩小1

コントルノ #2 ズッキーネ レッセ

・ズッキーネ3本
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル適量
・塩適量
・ミントの葉お好みで

コントルノ #3 チコリエッレ レッセ

・チコリエッレ一束小松菜やからし菜などの青菜で代用可
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル適量
・塩適量

コントルノ #4 インサラータディチポッレ ロッセ

・赤玉ねぎ3個
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル適量
・塩適量
・白ワインヴィネガー適宜

コントルノ #5 オリーヴェドルチェのソテー

・オリーヴェドルチェ500g
・エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル少々
・ニンニク1片
・ローリエ1枚

作り方

プレ ディ ファーヴェの下ごしらえ

  1. 乾燥ソラマメは2時間ほど水に浸す。(写真a 参照)
  2. ジャガイモは皮をむき一口サイズの乱切りにする。

作り方

  1. 鍋にファーヴェとジャガイモを入れ半分ぐらいの高さまで水を入れる。(写真b 参照)
  2. 沸騰して白い泡が湧き上がってきたらお湯を捨てる。(写真c,d 参照)
  3. ファーヴェとじゃがいもを鍋に戻して塩を加え、もう一度ひたひたまで水を入れて中火で形がなくなるぐらいまで1時間ほど煮る。(写真e 参照)
  4. 大きめのボールに移し木製の棒で円を描くように力強く混ぜる。(写真f 参照)
  5. 滑らかになったらオリーヴオイルをたっぷり加えさらに混ぜる。(写真g 参照)
  6. お好みでパンを一口大にちぎって加える。(写真h 参照)

コントルノ #1 ペペローニ フリッティ(Peperoni fritti)

  1. 鍋にオリーヴオイルをたっぷりめに入れる。(写真i 参照)
  2. ペペローニを入れて蓋をして中火で蒸し煮にする。(写真j 参照)
  3. ペペローニがしんなりしたら取り出し、二つに切ったチェリートマトを入れトマトが柔らかくなるまで煮る。(写真k,l 参照)
  4. ペペローニをトマトに加え、塩を加えて和えるように弱火で5分ほど煮る。(写真m 参照)

コントルノ #2 ズッキーネ レッセ(Zucchine lesse)

  1. ズッキーネを5mm程度の半月切りにして塩ゆでする。(写真n 参照)
  2. オリーヴオイルを回しかける。(写真o 参照)
  3. ミントの葉をお好み量ちらす。(写真p 参照)

コントルノ #3 チコリエッレ レッセ(Cicorielle lesse)

  1. チコリエッレは水で洗い下処理をしておく。(写真q 参照)
  2. 苦みがあるため、たっぷりのお湯で10分ほど柔らかめに塩ゆでにする。
  3. 冷めたら絞ってオリーブオイルで和える。(写真r 参照)

コントルノ #4 インサラータディチポッレ ロッセ(Insalat di cipolle rosse)

  1. 生の赤タマネギを薄めに輪切りにする。(写真s 参照)
  2. 塩をして、白ワインヴィネガー、オリーヴオイルをお好み量回しかける。(写真t 参照)

コントルノ #5 オリーヴェドルチェのソテー(Olive dolce soffitto)

  1. 少量のオリーヴオイルにニンニク、ローリエの香りを移しオリーヴェドルチェを炒め、最後に塩で味をととのえる。(写真u 参照)
  • a. ソラマメを水に浸す
  • b. 鍋にファーヴェとジャガイモを入れる
  • c. 白い泡が沸き上がったら
  • d. お湯を捨てる
  • e. ファーヴェとジャガイモを鍋に戻し塩を加える
  • f. 大きめのボールに移し力強く混ぜる
  • g. 滑らかになったらオイルを加える更によく混ぜる
  • h. お好みでパンを加える
  • i. コントルノ#1 鍋にオイルを入れる
  • j. ペペローニを入れて蒸し煮にする
  • k. しんなりしたら取り出す
  • l. 半分に切ったトマトを柔らかくなるまで煮る
  • m. ペペローニを戻し入れ塩を加えて煮る
  • n. コントルノ#2 ズッキーネを塩ゆでする
  • o. オリーヴオイルを回しかける
  • p. ミントの葉をちらす
  • q. コントルノ#3 チコリエッレの下処理をする
  • r. 塩ゆでにしてオイルで和える
  • s. コントルノ#4 タマネギを薄切りにする
  • t. 塩、白ワインヴィネガーなどで味付けをする
  • u. コントルノ#5 オイルでオリーヴェドルチェを炒める

お料理ポイント

ファーヴェとジャガイモをゆでる時の水の量が肝心。2度目はゆでこぼさずにちょうど吸収する程度が適量。ファーヴェとジャガイモの分量はお好みで変えても良い。ファーヴェのみでジャガイモを全くいれない人もいる。 最後にオリーヴオイルをたっぷりとかけて空気を含ませるように木のヘラで素早く力強くかき混ぜる。フードプロセッサーだとぼてっと重たい感じになってしまう。 コントルノは野菜の酢漬けなどの保存食、クルトン、グリーンサラダなどお好きなものを。