マンマのレシピ

マンマの紹介

  • ジョバンナ・アガッツァーニ(Giovanna Agazzani) さん
  • エミリア・ロマーニャ州モデナ在住
  • 得意料理:手打ちパスタ、ニョッキ、リゾットなどのプリミピアッティ

お料理説明・背景

「ラザーニャは、緑のパスタでラグーとベシャメルソースを使ったもの。そうでなければラザーニャと呼ぶことはできないの。パスタに練り込むホウレンソウかエルベッタ(ホウレンソウに似た緑の野菜)がなければ、ラザーニャはできないと言ったものだわ」。「私のお料理はエミリアのお料理。だからバターをたっぷり使うお料理にはたっぷりと、豚の脂を使わなければならないお料理にはきちんと豚の脂を使うの。味もしっかりと。カロリーが気になる?毎日食べるわけじゃないし、大丈夫。伝統的な昔からの味を教えるわよ。それを好みに変えればいいのよ」とジョバンナ。

でも試食すると美味しくて、やっぱり変えない方がいい。美味しいから伝わっていく。伝統ってそんなものなのかもしれない。

小さな頃から手打ちパスタが大好きなジョバンナ。腰が痛くなるからと言うお母さんの反対を押し切り、13歳から手打ちパスタを打っていたそう。農家に育ったジョバンナは「昔は乾燥パスタが高かったのよ。卵と小麦粉があればできる手打ちパスタは、頻繁に食卓に出たわ。そして私のラザーニャは、ラグーに豚のひき肉だけを使うの。これも私の母の実家が農家で、そうしていたから。私のお料理は“農家風”と言えるかしら。」と語る。

ジョバンナのお料理は、ジョバンナのお母さん、そして二十歳で嫁いだ夫クラウディオのお母さんの味。2つの家に代々伝わる、しっかりとした伝統料理だ。味にうるさい私の夫(コテコテのパルマ人)は、ラザーニャを何十年も前に、モデナの友達のお母さんが作ったもの(やはり緑のパスタだったそう)を食べて以来、どのラザーニャも食べられたものではないと、ほとんど口にしなかったが、このジョバンナのラザーニャは「あの幻のラザーニャに近い」と喜んで食べるのだ。ジョバンナ自身が言うように、素朴な農家風の味が、エミリアの伝統料理を食べて育ったパルマっ子には馴染むのだろう。

今回紹介してもらった「野菜のラザーニャ風」はパスタが白いし、ラグーも入っていないから、パスティッチョと呼ばれる。パスティッチョとは「色々なものが入っている」という意味らしい。

夏になると色とりどりの野菜が手に入る。その野菜をふんだんに使ったビタミン豊富な一品。野菜は時期によってアスパラガス、カルチョーフィ、キノコなどを入れて、季節の味を楽しむこともできる。ぜひお試しを。

レポート:西村明美(Akemi Nishimura)
1996年よりパルマ在住。イタリアの食に魅せられ、ワイン、ハム、チーズ等のイタリア食材を勉強中。現地で築いた人脈を生かし、一般の方からメディア向けまで、お料理教室、工場見学等のコーディネートをしている。 AISソムリエ。APRパルミジャーノ・レッジャーノチーズテイスター。ONAFチーズ鑑定士。イタリアジャーナリスト協会会員。 http://akemi-nishimura.wix.com/sapore-italiano

材料

野菜のラザーニャ風(6~10人分)

・小麦粉300g
・卵3個
・ズッキーニ500g
・ニンジン150g
・インゲン100g
・トマト1個
・タマネギ1個
・パプリカ1~2個
・グリーンピース300g缶詰でもOK
・セロリ150g
・エレメンタルチーズ250g
・パルミジャーノ・レッジャーノ80g
・エキストラ・ヴァージン・オリーヴオイル適量
・塩適量

ベシャメルソース

・小麦粉50g
・牛乳750g
・バター75g
・塩少々

作り方

具材を作る

  1. タマネギ、ニンジン、パプリカ、セロリ、インゲン、ズッキーニ、トマトを小口切りにする。
  2. フライパンにオリーヴオイルを入れ、タマネギ、ニンジン、パプリカ、セロリ、インゲン、ズッキーニ、トマトの順番で強火で炒めていく。最後にグリンピース缶を入れる。生のグリンピースを使う場合は、インゲンの後に入れる。(写真a 参照)
  3. 全体にしんなりしたら、塩を入れる。塩は少し多めにしっかりと味つけする。(写真b 参照)
  4. お好みでバジル(分量外)をちぎって香りを出す。(写真c 参照)
  5. ベシャメルソースを作る。鍋にバターを入れて溶かし、小麦粉を入れて一気に炒め、黄金色になったら、室温の牛乳を加え強火にする。(写真d,e 参照)
  6. 沸騰する前に弱火にし、最後に塩少々を加え、5分ほど火を入れる。(写真f 参照)
  7. 作っておいたベシャメルソースと炒めた野菜を混ぜ合わせて味見をし、塩が足りなければ加える。(写真g 参照)
  8. エレメンタルチーズは細かく切り、パルミジャーノ・レッジャーノは削っておく。(写真h 参照)

パスタを作る

  1. 台の上に小麦粉を山型に盛り、真ん中にくぼみを作って卵3個を割り入れ、フォークで卵を溶きながら小麦粉と混ぜていく。(写真i 参照)
  2. しっかりとツヤが出るまで練ったら1つに丸めてセロハンを被せ、30分ほど休ませる。(写真j,k 参照)
  3. パスタ生地を回しながら棒でのばしていく。(写真l 参照)
  4. ある程度の薄さになったら、生地を麺棒に巻きつけながらさらにのばしていく。これを数回繰り返して、うっすらと下が透けて見えるくらいまでのばす。(写真m,n 参照)
  5. 耐熱性のラザーニャを入れるオーブン皿の大きさに合わせて5枚に切る。(写真o 参照)
  6. 湯を沸かして塩を加え、オイル大さじ半分(分量外)を入れる。
  7. その間にボウルに冷水とオイル大さじ半分(分量外)を入れたものを準備しておく。
  8. 湯が沸いたら、パスタ(端切れも)を10秒ゆで、冷水とオイルを入れたボウルに移す。(写真p 参照)

耐熱皿に重ねて仕上げる

  1. パスタが底にくっつかないように、まず野菜ソースを少しのせる。(写真q 参照)
  2. パスタをのせる。(写真r 参照)
  3. 野菜ソースを入れ、エレメンタルチーズ、パルミジャーノ・レッジャーノをかける。(写真s 参照)
  4. パスタ、野菜ソース、チーズの順番で繰り返し重ね、最後に切れ端のパスタを被せる。(写真t 参照)
  5. オーブンを180度から200度に温め、上の段で焼く。30分から40分焼いて、パスタが膨らんだらできあがり。(時間より、パスタが膨らむことが重要。パスタが膨らんだらオーブンから出す)(写真u 参照)
  6. 一番上の切れ端パスタを取り除いてから、切り分けてお皿に載せる。(写真v 参照)
  • a. 小口切りにした野菜を炒める
  • b. しんなりしたら塩で味を整える
  • c. バジルをちぎって香りを出す
  • d. バターに小麦粉を加え黄金色になるまで炒める
  • e. 室温の牛乳を加える
  • f. 沸騰直前で弱火にし5分ほど火を入れる
  • g. ベシャメルソースと炒めた野菜を混ぜる
  • h. エメンタルチーズを細かく切る
  • i. 卵を溶きながら小麦粉と混ぜる
  • j. ツヤが出るまでしっかりと練る
  • k. セロハンを被せて30分ほど休ませる
  • l. 生地を回しながら棒で伸ばしていく
  • m. 生地を綿棒に巻き付けながらのばす
  • n. うっすら透けて見えるくらい
  • o. オーブン皿に合わせて5枚に切る
  • p. パスタをゆでる
  • q. 野菜ソースを少しのせる
  • r. パスタをのせる
  • s. 野菜ソース、チーズの順でかける
  • t. パスタから繰り返し、最後に切れ端のパスタを被せる
  • u. オーブンで焼く
  • v. 切れ端パスタを取り除いて完成

お料理ポイント

「しっとり仕上げる秘密は、ゆでて冷水を入れたボウルから取り出したパスタは、さっと水を切ってお皿に載せること。布巾などで水分を取って(乾かして)しまわないように。パサパサになってしまうから。」
「一番上に被せた端切れパスタは、チーズが焦げないようにするためのもの。焼いた後は別にとって、お煎餅のように食べるの。今はアルミ箔で代用するレシピが多いけれど、私はこの端切れパスタが好きで、子供の頃は取り合いして食べたわ。今でも息子と取り合いするけど……」とジョバンナはお茶目な笑顔でお皿に取り分けてくれた。