読者の皆様の中には『コルヴォ』というワインを御存じの方も多いのではないだろうか。世界的に最も有名なイタリアワインの一つであり、日本に30年以上前から輸入されるシチリアを代表するワインだ。
コルヴォを生産するワイナリーはドゥーカ・ディ・サラパルータ社。1824年創業のシチリア屈指の有名ワイナリーで、シチリア中に広く自社畑を所有している。特に近年、大規模なワイナリーだからこそできる様々な改革を行っており、目覚ましい程の品質改善に成功している。
シチリアの州都パレルモから車に乗って南に約2時間走ると、コルヴォの赤ワイン『コルヴォ・ロッソ』に使われるブドウ畑が見えてくる。畑では、この15年間畑管理を任される同社のアグロノモ(農学士)フランチェスコさんが出迎えてくれた。
「この15年の我が社の畑改革は大変大規模なものです。今回来て頂いたこちらの畑はほとんどが2000年~2001年に植えられたもので、その際に大きな投資をしました。」
優しい面持ちで話し始めたフランチェスコさんに具体的な内容を伺うと、
「畑を作る際にまずは土壌を調べました。すると数メートル移動するだけで土壌の構成が大きく違うことが分かったのです。高い品質のブドウを平均的に収穫するためには、このバラツキは好ましくありません。そこで土壌を一度掘り起こし、土を混ぜ合わせてもう一度畑に撒き直すことにしました。こうすることで土壌を均一にしたんです。」
聞くだけでもなかなか大変そうな作業だが、彼らの改革はそれだけにとどまらない。
「灌漑設備も工夫しました。シチリアは夏非常に暑く雨が少ない。そのため本当に必要な時だけブドウの木に水を与えられるように、水を垂らすチューブを設置する生産者が多いんです。一般的にはブドウの木の列に沿って1m弱の高さにチューブを設置しますね。しかし、本当に水が必要な時期のシチリアはとても日差しが強い。地表に水を垂らしても、ブドウの根まで浸みこんでいく前に蒸発したり、水が根まで届くのに時間がかかり、最も必要なタイミングでブドウの木が水を得られない。そこで、私達は畑を作る際にチューブを地中のブドウの木の根近くに埋め込んでおきました。もちろんコストは高いですが…樹齢が上がってもブドウの木が元気なのが効果を証明してくれていますね。」
やはりシチリアの暑さは想像以上のようだ。
「ここ数年での一番の変化は収穫期のブドウの温度管理です。シチリアは収穫期が8月中から始まり、やはり非常に暑い。収穫したブドウの温度が上がってしまうとフレッシュさが失われ、すぐに酸化が始まってしまいます。」
「そこで畑のすぐ近くに冷却機を設置しました。収穫されたブドウはすぐに冷却機の中で6℃程まで温度を下げてから輸送します。設置したのは3年前ですが、この数年でコルヴォ、とくに白のコルヴォ・ビアンコの香りや味わいのフレッシュさは格段にアップしました。」
柔和な表情で穏やかな語り口。だがその言葉や表現には真摯なブドウ作りへの強い自負が感じられる。
「コルヴォをただリーズナブルなだけのワインだと思われるのは正直残念です。ブドウの収量も、I.G.P.*(コルヴォはテッレ・シチリアーネI.G.P.)の規定に対して20%程少ない量にしています。また、シチリアは伝統的にベースワインでも赤ワインを長く木樽熟成させます。コルヴォ・ロッソもこの伝統を守り、18~24ヶ月の大樽熟成。コルヴォの価格と品質のバランスには、圧倒的な自信を持っているんです。私達は誇りを持ってコルヴォを作っていますから。」
日本でも長く売られているコルヴォだが、近年の出来は特に素晴らしい。しばらくコルヴォを飲んでいない方にこそ、是非もう一度改めて味わってみて頂きたい。きっと彼らの飽くなき努力で実現した品質向上を存分に感じて頂けることだろう。
* I.G.P. /I.G.T.=地理的表示付きワイン(I.G.P.は、その地域のブドウを85%以上使うことなど、ワインの原料や生産方法について定めた規定)
モンテ物産
http://www.montebussan.co.jp/
▼ドゥーカ・ディ・サラパルータ社の商品詳細はこちら▼
http://www.montebussan.co.jp/wine/dds.html
コルヴォを生産するワイナリーはドゥーカ・ディ・サラパルータ社。1824年創業のシチリア屈指の有名ワイナリーで、シチリア中に広く自社畑を所有している。特に近年、大規模なワイナリーだからこそできる様々な改革を行っており、目覚ましい程の品質改善に成功している。
シチリアの州都パレルモから車に乗って南に約2時間走ると、コルヴォの赤ワイン『コルヴォ・ロッソ』に使われるブドウ畑が見えてくる。畑では、この15年間畑管理を任される同社のアグロノモ(農学士)フランチェスコさんが出迎えてくれた。
「この15年の我が社の畑改革は大変大規模なものです。今回来て頂いたこちらの畑はほとんどが2000年~2001年に植えられたもので、その際に大きな投資をしました。」
優しい面持ちで話し始めたフランチェスコさんに具体的な内容を伺うと、
「畑を作る際にまずは土壌を調べました。すると数メートル移動するだけで土壌の構成が大きく違うことが分かったのです。高い品質のブドウを平均的に収穫するためには、このバラツキは好ましくありません。そこで土壌を一度掘り起こし、土を混ぜ合わせてもう一度畑に撒き直すことにしました。こうすることで土壌を均一にしたんです。」
聞くだけでもなかなか大変そうな作業だが、彼らの改革はそれだけにとどまらない。
「灌漑設備も工夫しました。シチリアは夏非常に暑く雨が少ない。そのため本当に必要な時だけブドウの木に水を与えられるように、水を垂らすチューブを設置する生産者が多いんです。一般的にはブドウの木の列に沿って1m弱の高さにチューブを設置しますね。しかし、本当に水が必要な時期のシチリアはとても日差しが強い。地表に水を垂らしても、ブドウの根まで浸みこんでいく前に蒸発したり、水が根まで届くのに時間がかかり、最も必要なタイミングでブドウの木が水を得られない。そこで、私達は畑を作る際にチューブを地中のブドウの木の根近くに埋め込んでおきました。もちろんコストは高いですが…樹齢が上がってもブドウの木が元気なのが効果を証明してくれていますね。」
やはりシチリアの暑さは想像以上のようだ。
「ここ数年での一番の変化は収穫期のブドウの温度管理です。シチリアは収穫期が8月中から始まり、やはり非常に暑い。収穫したブドウの温度が上がってしまうとフレッシュさが失われ、すぐに酸化が始まってしまいます。」
「そこで畑のすぐ近くに冷却機を設置しました。収穫されたブドウはすぐに冷却機の中で6℃程まで温度を下げてから輸送します。設置したのは3年前ですが、この数年でコルヴォ、とくに白のコルヴォ・ビアンコの香りや味わいのフレッシュさは格段にアップしました。」
柔和な表情で穏やかな語り口。だがその言葉や表現には真摯なブドウ作りへの強い自負が感じられる。
「コルヴォをただリーズナブルなだけのワインだと思われるのは正直残念です。ブドウの収量も、I.G.P.*(コルヴォはテッレ・シチリアーネI.G.P.)の規定に対して20%程少ない量にしています。また、シチリアは伝統的にベースワインでも赤ワインを長く木樽熟成させます。コルヴォ・ロッソもこの伝統を守り、18~24ヶ月の大樽熟成。コルヴォの価格と品質のバランスには、圧倒的な自信を持っているんです。私達は誇りを持ってコルヴォを作っていますから。」
日本でも長く売られているコルヴォだが、近年の出来は特に素晴らしい。しばらくコルヴォを飲んでいない方にこそ、是非もう一度改めて味わってみて頂きたい。きっと彼らの飽くなき努力で実現した品質向上を存分に感じて頂けることだろう。
* I.G.P. /I.G.T.=地理的表示付きワイン(I.G.P.は、その地域のブドウを85%以上使うことなど、ワインの原料や生産方法について定めた規定)
http://www.montebussan.co.jp/
▼ドゥーカ・ディ・サラパルータ社の商品詳細はこちら▼
http://www.montebussan.co.jp/wine/dds.html