お料理説明・背景
♪ヴィーヴァッラパッパッパッパーコルポポポポポポポモドーロ♪(翻訳:トマト粥バンザイ!)で始まる歌まで存在するほどイタリアでは有名な料理、パッパ・アル・ポモドーロ(トマトのパン粥)。1965年にリタ・パヴォーネが歌い、軽快なリズムが耳に残るこの歌”VIVA LA PAPPA COL POMODORO”はYOUTUBEなどで楽しむことができるので、作る前にご視聴あれ。
「マンマのレシピ」で紹介したvol.56リボッリータがトスカーナの冬の代表料理なら、パッパ・アル・ポモドーロは夏の代表料理。トマトが旬の夏に食べられるトマトのパン粥だ。冷やしても食べられる一品なので、夏バテしそうなほど暑いトスカーナの夏でもさらりと食べられる。リボッリータと同様、古くなり固くなったパンを利用するエコロジーな料理でもある。
料理名のPappa(パッパ)とは、赤ちゃん用語のご飯のことで、日本語でいうと「まんま」のようなイメージ。お粥のような状態の食べ物のことを意味し、流動食や赤ちゃんの離乳食などもパッパと呼ばれる。実際にトスカーナではパッパ・アル・ポモドーロは赤ちゃんの離乳食にもなっている。
「私も離乳食として初めて食べたのがパッパ・アル・ポモドーロだったのよ!」と言うのは、今回レシピを紹介してくれたアリアンナだ。生粋のトスカーナっ子である母親のもとで育ち、自身もトスカーナで生まれ育ったアリアンナは乳離れの時からパッパ・アル・ポモドーロを味わってきた。「今回紹介するのも母から教えてもらったレシピ。昔から親しんできた我が家のパッパ・アル・ポモドーロよ」
現在、ディエゴ(1歳)とアントニオ(3歳半)のわんぱく盛りの二人の男の子の子育てに奮闘中のアリアンナ。いつもスリムで美脚の持ち主のマンマなのだがアリアンナ曰く、「二人の男の子の子育てはジム通いに匹敵するほどの運動量。だから子育てしているだけで、体型を維持できるの」
取材に訪れたこの日は次男ディエゴにとって記念すべき「パッパ・アル・ポモドーロ」デビューの日となった。長男アントニオは離乳食としてすぐにパッパ・アル・ポモドーロを好んで食べたが、ディエゴはトマトが苦手気味なので1歳になった今でもまだパッパ・アル・ポモドーロを食べたことが無かったのだ。
「ディエゴは嫌いな食べ物の時は、すぐに吐き出したり、口をつぐんで食べようとしないのだけど、パッパ・アル・ポモドーロはどんな反応をするかなあ~」と少々不安気味なアリアンナだったが、さてディエゴの反応はいかに?結果はなんとお皿3杯おかわりするというほど気に入った様子。「すごいわ、大人が食べるくらいの量をあっという間に平らげちゃった!」とアリアンナもびっくりするほどの食べっぷりを披露したディエゴ。この夏、アリアンナの家族たちはパッパ・アル・ポモドーロを何杯も食べることになりそうだ。
フィレンツェ在住。テレビ局報道記者を経て2011年渡伊。2012年からフィレンツェ在局FMラジオに出演中。イタリア製本革バッグのオンラインショップ「アミーカ・マコ」をフィレンツェで起業・経営しながら、週刊誌等でイタリア関連記事のライター活動も。これまでに世界30ヶ国200都市以上旅行。ブログ:AmicaMakoイタリアンスタイル
作り方
- トスカーナの無塩パンを厚さ1cm程に切っておく。(写真a 参照)
- トマトの皮を湯むきする。(写真b 参照)
- 湯むきしたトマトを1cm角程に切る 。(写真c 参照)
- お鍋一つで調理できるように、大きめの鍋を用意。最初にオリーヴオイル大さじ12杯とニンニク8片を炒める。お好みで唐辛子を少し入れたい場合は、ここに加える。(写真d 参照)
- 4の鍋にトマトとバジルを加えてかき混ぜ、中火で5分程煮込む。同時にお湯または野菜ブロードを沸かしておく。(写真e 参照)
- 沸騰したお湯または野菜ブロードを5の鍋に加えてさらに中火で煮込む。(写真f 参照)
- 再び沸騰したら適量の塩とトスカーナパンを加える。パンで鍋がいっぱいになってもパンは水分を吸ってスープに馴染むのでこぼれる心配はない。(写真g 参照)
- パンがスープに浸ったら全体をかき混ぜ、さらに5分煮込む。(写真h 参照)
- 火を止め、鍋に蓋をして1時間程そのまま置いておく。(写真i 参照)
- 冷やして食べたい場合は、さらにそのまま置いて冷ます。温かくして食べたい場合は食べる前に再び煮て温める。仕上げに生バジル、エクストラ・ヴァージン・オリーヴオイル、好みでコショウをかけてできあがり。(写真j 参照)