お料理説明・背景
古代ローマ時代から食べられていたというceci(チェーチ=ヒヨコマメ)。トスカーナ州では、ヒヨコマメをマッシュして揚げたフリッテッレとして食べるのがポピュラーだ。
そんなヒヨコマメのフリッテッレを作ってくれたのは、弁護士であり2児のマンマであるカミッラ。フィレンツェ出身のカミッラと会うのはいつもフィレンツェ市街地なので、てっきり近辺に住んでいるのかと思いきや、「うちに来たことなかった?フィレンツェから車で35分の森の中よ!」とのこと。取材に出かけたのは4月上旬、春の陽気のトスカーナの田舎はとっても気持ちがいいので、期待に胸を膨らませてカミッラの自宅を訪れた。
自宅はカミッラの言う通り、まさに森の中のおうち!森という表現がしっくりくる庭は1ヘクタール(約3000坪)もあり、サクランボやアプリコットなどの木が沢山生えている。「ここは自然が豊かで空気がいいし、子供を育てるにはいい環境だけど、平日はフィレンツェ近辺に住みたいと思うのも本音」
カミッラは保険や離婚訴訟など民事裁判を扱う弁護士だが、所属事務所も裁判所も、さらに子供たちの保育園もフィレンツェ市内なので、平日は毎日フィレンツェまで車で往復1時間以上かけて通っている。3歳と5歳の幼い2児の母でありながら、弁護士としてフルタイム勤務できるのは、家事に協力的な夫のシモーネとフィレンツェ市内に住む両親の支えがあるからだ。平日は保育園が終わると、両親が孫を迎えに行き、カミッラの仕事が終わるまで面倒を見てくれる。また、所属事務所の所長も3児のマンマで子育てに理解があるのも、カミッラが出産後も仕事を続ける大きな励みになった。出産してすぐ職場復帰したカミッラは生まれたばかりの子供を事務所に連れて仕事をしていたそうだ。
夫のシモーネはフィレンツェよりさらに遠いプラート勤務なので、車で往復1時間半かけて勤務しているが、普段から家事に協力的だ。例えばカミッラが朝食を準備している間に子供たちに洋服を着替えさせ、カミッラが夕食を料理したらシモーネが皿洗いや後片付けをする、といった具合にカミッラと家事をうまく分担し、カミッラを支えている。
多忙な毎日を過ごしているカミッラだが、いつ会っても元気いっぱいなのでその秘訣を聞いたところ、「週に一度は子供たちを両親に預けて主人とデートするか、または子供たちを主人に預けて女友達と出かけるようにしているの!子育ての息抜きになるわ」
週末は家族や友人たちと自慢の庭で一緒に食事を楽しみ、リラックスできる田舎ライフを満喫する。一度にたくさん作ることができ、大人も子供も食べられるヒヨコマメのフリッテッレは、そんな週末のランチ会に便利な料理。カミッラがフリッテッレを料理している間、彼女が何も言わなくてもシモーネは子供たちの面倒を見つつ、調理で使ったお皿を洗い、フリッテッレに添えるヨーグルトソースをつくり……と、手慣れた様子で家事をてきぱきとこなしていき、普段からいかに家事に積極的であるかが垣間見られた。そんな仲睦まじいカミッラ&シモーネ夫婦のようにアツアツのフリッテッレはビールやワインのおつまみにもピッタリな一品だ。
フィレンツェ在住。テレビ局報道記者を経て2011年渡伊。2012年からフィレンツェ在局FMラジオに出演中。イタリア製本革バッグのオンラインショップ「アミーカ・マコ」をフィレンツェで起業・経営しながら、週刊誌等でイタリア関連記事のライター活動も。これまでに世界30ヶ国200都市以上旅行。ブログ:AmicaMakoイタリアンスタイル
作り方
ヒヨコマメのフリッテッレ
- 乾燥ヒヨコマメは、一晩水につけて戻しておく。すぐに使える瓶詰や缶詰のヒヨコマメを使用してもOK。(写真a 参照)
- ヒヨコマメをミキサーにかけてペースト状にする。(写真b 参照)
- イタリアンパセリとニンニクをみじん切りにする。(写真c 参照)
- ボールに、ペーストにしたヒヨコマメ、みじん切りにしたパセリとニンニク、卵1個、パン粉大さじ2、塩コショウを入れる。(写真d 参照)
- 4を手でしっかり混ぜ合わせる。(写真e 参照)
- 直径5cm程のボール状に形を整え、溶き卵、パン粉の順に衣をつける。(写真f,g 参照)
- 中温の揚げ油で揚げる。(写真h 参照)
- 衣が色づいたらひっくりかえし、両面が色づいたら皿に移す。(写真i 参照)
- キッチンペーパーなど紙にのせて油をきってできあがり。(写真j 参照)