マンマの紹介
- ピエリーナ ペス(Pierina Pes)さん
- サルデーニャ州サッサリ県アルゲーロ市在住
- 得意料理:魚介を使った料理全般 陽気で明るく、歌や踊りが大好き。鼻歌交じりで踊りながら料理するチャーミングなマンマ。 家族においしい料理を食べてもらおうと毎日朝からいろいろ工夫しながら料理の腕をふるっている(こちらは昼食が一日のうちの主要な食事) 社交的な彼女には友達ならずとも顔見知りが多く、買い物に行くとあちこちで声をかけられてなかなか前に進めない……(笑) ”袖振り合うも多少の縁”を地で行っている。
お料理説明・背景
ピエリーナマンマの得意料理のひとつ、アリアータ。
アリアータというのはニンニクをたっぷり使ったソースのこと。マンマのはピリッと唐辛子を効かせ、旨みを凝縮させた塩漬けのドライトマト(もちろん自家製)とワインビネガーでちょっと酸味をつけたニンニクトマトソース。これを新鮮な魚介にかけたアルゲーロの郷土料理である。
このソース、今回はエイを使ったけれど、ゆでたタコやホシザメを使うことも多い。その他、小魚のフライが残った時(いや、もちろんこの料理のためにわざわざ作ってもいいけど)にこのソースをかけるとググッとおいしくなること間違いなし!とマンマは言う。
アンティパストにしても良し、セコンドとして出しても良し。またこのソースは煮沸した瓶に密閉して保存することもできるので、一度に多めに作れば重宝する。
さて、今回がサルデーニャのマンマの味をご紹介するのが最後なのでサルデーニャ料理の魅力を少し…… サルデーニャのマンマたちの作る料理のレシピはどれも驚くほど簡単、シンプル、だけどとびっきりおいしい。それはおそらくマンマの家庭で育てた野菜や果物、さらには家畜、または直接知り合いの酪農家や漁師から手に入れた食材のフレッシュさ、ナチュラルさにあるのだと思う。今回の料理もそうだ。それは素材の味を最大限に引き出す、という日本料理にも通じること。それをマンマが愛情を込めて料理するのだからおいしくないわけがない。
それに加えて古くからいろいろな国に侵略されてきた歴史があり、それぞれの時代のそれぞれの国の食文化のいいところが集まり、それらが島の伝統となり、愛着となって残っている。しかもそれがサルデーニャの地域によっても異なるのでシンプルとは言え、多種多様な料理がある。機会があれば、またそれらをご紹介出来れば幸いだ。
Delizie主宰。大阪でイタリア家庭料理店を経営後、’00年にイタリアに渡りピエモンテを拠点に各地のアグリツーリズモで料理修業。’03年よりサルデーニャに移住し、家庭料理や食材の探求を続ける傍ら”食”をテーマに現地の旅行、視察、料理教室などをコーディネー ト。著書に『家庭で作れるサルデーニャ料理』(河出書房新社)。
作り方
- 沸騰したお湯に塩少々とエイを入れ中火で15分ほどゆでる。
- ゆで上がったエイは熱いうちに包丁の背などで皮をこそげとるようにきれいに取り除き、大ぶりにカットしておく。1尾の場合は頭の部分は取り除き、骨ごとぶつ切り。ヒレの部分は特においしい!(写真a 参照)
- ソースを作る。ドライトマトは塩気を取り、イタリアンパセリと一緒にみじん切り、タカノツメは輪切り、ニンニクは半分に切っておく。(写真b 参照)
- 鍋にオリーヴオイルとニンニク、タカノツメを入れて火にかけ、香りが出たらニンニクのみ取り出す。(写真c 参照)
- 4にドライトマトとイタリアンパセリを入れ、白ワインを足してアルコール分を飛ばす。(写真d 参照)
- 5に裏ごししたトマトの水煮とワインビネガーを入れて20分ほど弱火で煮込む。途中で味を見て塩気が足りない場合は足す。(写真e 参照)
- お皿に2のエイを並べ、上から粗熱が取れた6のソースをかけ、マリネするように2時間~一晩時間をおく。(写真f 参照)
- サービスする前にレモンやイタリアンパセリを飾る。