マンマの紹介
- ピエリーナ ペス(Pierina Pes)さん
- サルデーニャ州サッサリ県アルゲーロ市在住
- 得意料理:魚介を使った料理全般 陽気で明るく、歌や踊りが大好き。鼻歌交じりで踊りながら料理するチャーミングなマンマ。 家族においしい料理を食べてもらおうと毎日朝からいろいろ工夫しながら料理の腕をふるっている(こちらは昼食が一日のうちの主要な食事) 社交的な彼女には友達ならずとも顔見知りが多く、買い物に行くとあちこちで声をかけられてなかなか前に進めない……(笑) ”袖振り合うも多少の縁”を地で行っている。
お料理説明・背景
2世紀にジェノバ人によってつくられたアルゲーロは14世紀にアラゴン・カタルーニャが侵略、原住民はカタルーニャ人たちに追い出される形になり、未だに真のアルゲーロ人は少ないらしい(尤も時代を経てアルゲーロで生まれた人達は真のアルゲーロ人だと思うが……)
今もなお20%程の人達はカタルーニャ語を話し、旧市街のあちこちにカタルーニャの風情がある。と言っても私はカタルーニャに行ったことがないのでわからないけれど。
漁師町アルゲーロで獲れるものの中で有名なのがアラゴスタすなわちイセエビである。アルゲーロに属する集落サンタ マリア ラ パルマのワイン協同組合でも”アラゴスタ”という名のワインがあるぐらい。
ここで少しこのワインについて。ラベルにアラゴスタが描かれたこのワイン、ご存知な方も多いでしょうが、魚介類、特に名前通りに甲殻類との相性は抜群!ほのかに熟成したリンゴのような香りを持ち、後味に軽くアーモンドの風味が残る。味と香りのバランスが取れたこの辛口の白ワイン、今回の料理と合わせても間違いなし!
さて、話は戻って、その獲れたてのイセエビを使った極々シンプル、でもとびっきりおいしい料理がイセエビのカタルーニャ風。カタルーニャ人たちが始めた料理かどうかは定かではないけれど。ちなみにタマネギがいっぱい入っているのはカタルーニャ風で、ピエリーナマンマによると、アルゲーロ風になるとタマネギは入れないのよ、とのこと……
日本でイセエビが高級品なのと同様にこちらでもやはりアラゴスタは高級品で普段はなかなか口に入らない。特別なお客さまのときや、特別な日のご馳走である。ちょっと手頃な冷凍品を使うこともあるけれど、全然味わいが違う。
やっぱり新鮮な素材ありき、のシンプルな料理。その上、ピエリーナマンマのところではレモンもオリーヴオイルも自家製、美味しいのは当然!
ちなみにテーブルに乗ったイセエビを専用のハサミでバキバキっと割るのはパパ・アントニオの役目。それをお皿に取り分けてもらい豪快に手で食べると、それはそれは至極の味である。
Delizie主宰。大阪でイタリア家庭料理店を経営後、’00年にイタリアに渡りピエモンテを拠点に各地のアグリツーリズモで料理修業。’03年よりサルデーニャに移住し、家庭料理や食材の探求を続ける傍ら”食”をテーマに現地の旅行、視察、料理教室などをコーディネー ト。著書に『家庭で作れるサルデーニャ料理』(河出書房新社)。
作り方
- 沸騰した湯に塩を少々入れてイセエビを15分程ゆでる。(写真a 参照)
- イセエビを茹でている間にタマネギを薄くスライスし、ワインビネガーとレモン1/2量でマリネしておく。(写真b 参照)
- トマトは4/1にカットする。(写真c 参照)
- 1)のイセエビが茹で上がったら引き上げて粗熱を取り、縦に半分に切る。(写真d,e,f 参照)
- 味噌の部分を取り出して残りのレモン汁とオリーヴオイルを合わせてドロッとするまでよく混ぜる。味を見て薄いようなら少し塩を足す。(写真g,h 参照)
- お皿に2)のタマネギを敷き、3)のトマトも乗せて、タマネギの上にイセエビを並べる。(写真i 参照)
- 5)のソースをイセエビの上にかけて味が染み込むまで少し置く。(写真j 参照)
- カットしたレモン(分量外)を飾り、お好みで残ったソースを添える。
*マンマは黒オリーブをイセエビの頭に置いて”目!”と言っていた 。(笑)(写真k 参照)