マンマの紹介
- マリア カルメッラ メレウ(Maria Carmela Mereu)さん
- サルデーニャ州カリアリ県アッセミーニ市在住
- 得意料理:アッセミーニの郷土料理"サ パナーダ" 料理が大好きで常に何か作っては人に振る舞う明るいマンマ。 得意料理はアッセミーニの郷土料理"サ パナーダ" お祭りやイベントのときには必ず呼び出されては腕を振るっている。
お料理説明・背景
サルデーニャ島の中でもいくつかの村で郷土料理として作られているサ パナーダだがそれぞれの村によって、または人によって材料も作り方も少しずつ異なる。
要は鍋に見立てた生地に具を入れてオーブンで焼き上げられた一皿料理であるが、おそらくオリジナルはスペイン料理のエンパナーダだろうと言われている。
近くの池沼でウナギが獲れるからだろうか、ウナギを入れるのはアッセミーニ独特だがその他、ウナギの代わりに羊肉を入れるバージョンもある。 アッセミーニでは普通大きめなものが作られ、これで4人分(日本人なら6人分かも)。フタの部分の生地に切り込みを入れひっくり返して中身を出し、生地の部分とは別にして食べる。具が美味しいのはもちろんであるが、生地は具の旨味を吸っているので さらに美味しい!魚または肉、野菜、パン、と一皿で味わえる完全食?である。
初めて作るとちょっとびっくりするのが、具を全部生で入れるということ。生地を鍋に見立てている、と聞けば納得。オーブンで約1時間焼くので先に具を調理していると火が通り過ぎるということ。ただし、パナーダを小さくして焼いたパナディーナは別、先に具に火を通しておかないと生地は焼けても中まで火が通らない、とちょっとややこしい。
カルメッラは地元でもパナーダ作りの名人!ということで友人に頼まれて作ったり、郷土料理を残したいということから開催されるパナーダ祭りなどさまざまなお祭りに駆り出される。確かに彼女の作ったものと他の人が作ったものとを見比べると断然カルメッラの方が見栄えがして美味しそうだ。
またここ数年、パナーダを伝統料理として残していこうと地元のTVに取り上げられたり、子供たちに向けてパナーダ料理教室を開くこともあり、その度にお声がかかるので大忙し、しかし常にスイスイッと料理を仕上げていく笑顔のチャーミングなカルメッラマンマである。
Delizie主宰。大阪でイタリア家庭料理店を経営後、’00年にイタリアに渡りピエモンテを拠点に各地のアグリツーリズモで料理修業。’03年よりサルデーニャに移住し、家庭料理や食材の探求を続ける傍ら”食”をテーマに現地の旅行、視察、料理教室などをコーディネー ト。著書に"家庭で作れるサルデーニャ料理"(河出書房新社)。
作り方
- ボウルにセモリナ粉と小麦粉、ラードを入れる。(写真a 参照)
- ぬるま湯+塩を少しずつ入れて捏ね、生地をボウルから台に移して手の平を使ってよく捏ね、生地がツルツルして耳たぶ程度になったらひとまとめにし、布巾やビニール袋等で包んで約30分休ませておく。(写真b,c,d,e 参照)
生地
中身
- ウナギは頭と尾、内蔵を取り除き、よく洗って水気を切り、一口大のぶつ切りにする。
- ジャガイモは皮をむき、厚めにスライスする。(写真f 参照)
- ニンニク、イタリアンパセリ、ドライトマトはそれぞれみじん切り。
成形
- 生地を3:7ぐらいの大小ふたつに分け、先に大きい方を丸く4mm位の厚さに伸ばす。(写真g,h 参照)
- 少し高さのある丸い型に生地を貼り付けるように置き、塩、コショウし、ドライ トマト・イタリアンパセリ・ニンニクをのせてその上にジャガイモを並べる。これを2回繰り返す。(写真i,j,k 参照)
- 2のジャガイモの上にウナギを並べ、塩、コショウし、再びジャガイモ・ドライトマト・イタリアンパセリ・ニンニクをのせる。(写真l,m 参照)
- 生地に4か所ほどタックを寄せて器(鍋)の形にし、オリーヴオイルを注ぐ。(写真n,o 参照)
- 1で残した生地を同様に伸ばしてフタにし、上にのせて器の生地と生地をくっつけて少し上に引っ張るようにする。(写真p 参照)
- 引っ張って2重になった生地を親指と人差し指でつまんでねじるように中側に織り込み、クルッと縁を一周して閉じる (上にウナギ等の飾りをつける)。(写真q 参照)
- 180℃のオーブンに入れて50分~1時間、途中で焼き色が付いたら上にアルミ箔などをかぶせて中まで火が通るまで焼く。(写真r 参照)
- 焼きあがったら上のフタの部分をカットしてひっくり返し、中身を出して生地と具を別々に盛る。(写真s,t,u 参照)