Vol.4 冬号
『イタリア好き』第4号は
サルデーニャ州特集。
そこは、イタリアであってイタリアではなかった。真夏のサルデーニャを、東から西北から南へと約1600kmを走った。
山間の町ビッティでチェレスティーナおばさんは、40年間パーネ・カラザウを作り続ける。最初は家族のために作り始めたものが、評判になり今では各地に輸出されるほどに。
サルデーニャには美味しいトッローネがあると聞いていた。ジョゼッピーナおばさんは、毎日自慢のハチミツを丁寧に練り上げる。口の中に入れると、堅いトッローネがゆっくり溶け出し、自然の甘味と香りが広がる。ナッツ類の苦味と食感と相まって本当においしい。
山間の町を抜け、アリゲーロへ。スペイン統治時代の名残を残す旧市街は、観光客も多く賑わうとても雰囲気のいい町。そこでもう5代続くオリーブ農家の兄弟、アレッサンドロとアントネッロ。弟のアントネッロは広報担当。少し業界に憧れる今風の若い青年だ。輝かしい賞の数々を自信満々に説明する。
タロッスにつくと、星の輝きで読書ができそうなくらい空は星でいっぱいだった。コンティーニのパオロは、その暗闇の中で我々をご機嫌に迎えてくれた。海は暗く静かだったが、翌日、目前の海を見て、その透明な青、きっと世の中できれいな青だけをここに集めてきた、そんな海の素晴らしさに、思わず飛び込んだ。
フォルッチョおじいさんは、毎朝4時に出社して、チーズの味見をする。やさしい笑顔の向こうに、厳しいビジネスマンの顔をのぞかせる。
夜も更けてくると、カリアリのトラットリアに歌声が響く。カメリエーレのジャンパオロは、ギターを弾き、歌い、大いに盛り上げる。料理もワインもいちだんとおいしくなる。サルデーニャ島最後の夜は、最高のエンタテインメントで締めくくられた。そのめまぐるしく変化する景色に感動し、行く先々で出会う人がそれぞれの独自性を持つ、全てこの島の歴史に育まれた豊かなところだった。
そんなサルデーニャ島の旅をお楽しみください。
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