アブルッツォ州(保坂 優子)

ナヴェッリ特産、サフランの収穫体験!

実はアブルッツォ州ラクイラ県のNavelli(ナヴェッリ)地方はイタリアでも有数のサフランの産地で、「Zafferano dell’Aquila」の名前でDOP(原産地名称保護制度)の認定も受け、良質なサフランを生産し続けています。

今年の夏、当サイトの「マンマのレシピ」コーナーで、アブルッツォの郷土料理としてサフランを使ったレシピを紹介したのですが、そこでDOPサフランの生産者組合の方々と出会えたこともあり、遂に念願が叶いサフラン収穫から製品になるまでの作業をお手伝いする機会に恵まれました。

念願というのも、サフランの収穫は1年の中でもほんの数週間、ナヴェッリでは毎年10月下旬から11月初旬の期間だけに行われているため、これまでナヴェッリには何度も訪れていましたが、作業はおろか畑に咲くサフランの花さえ見たことがなかったのです。

早朝、太陽の光を浴びて花が開いてしまう前に収穫するため、前日から知り合いのB&Bに泊まり作業に備えます。


広いベッド独り占めの幸せ★

翌朝、雨で太陽が出ていなかったため少しゆっくり目に収穫がスタート。収穫のタイミングがあるため雨でも作業は決行です。


サフランはクロッカスの一種で薄紫の可憐な花を咲かせます。


この花の部分を一つひとつ手で摘み取っていきます。


カゴに集めたつぼみを持ち帰り次の作業へ。


この時点でその日に摘んだ花の数をおおよそ把握しておきます。

そのため、この時期になると地元の人達の間では

「今日はいくつ摘めたの?」が、お決まりの挨拶。

その年の生産量を知る大切な目安となるだけでなく、収穫の量によってはお互いの家に作業を手伝いに行くことも。


この日も家族や親戚、近所の人が収穫したサフランを待っていました。

皆でテーブルを囲み、ここから花を赤い雌しべ、黄色い雄しべ、花びらへと手で分ける作業が始まります。


一般的にサフランと呼ばれているのは赤い雌しべの部分。

ひとつの花に3本しかない雌しべを、こうして丁寧に手作業でサフランにするので高価になるのもうなずけます。

初めてだと皆さんとお喋りしながらの楽しい作業ですが、やはり根気のいる仕事です。


指で花びらをポンと弾いて雌しべ、雄しべ、花びらを分けやすくする仕草が独特です。

ここで雨が止んだので、もうひとつ別の畑の収穫にも付いていきました。


雨が上がったのを見て、近所の人が一緒に収穫を手伝ってくれます。


こちらのお宅でも仕分け作業の真っ只中でした。


最初のお宅へ戻ると、「次の工程に移るから」と準備をして待ってくれていました。

次は、仕分けした赤い雌しべの部分を”Staccio”と呼ばれる網目の細かいザルの様な容器に並べ、オークやアーモンドといった匂いや煙の少ない木で燻して乾燥させます。


小一時間でしっかり水分を飛ばしてようやく出来上がり。

このまま瓶詰めにしたり、粉末にしたりして商品にします。


また、黄色い雄しべの部分は染料に、花びらはジャムなどに加工するので、こちらもきれいに分けてそれぞれに乾燥させます。

気がつくとちょうどお昼どき。「普段の食事でよかったら」とお昼ご飯に誘って頂き、「待ってました」とばかりに2つ返事でご一緒させてもらうことに。


豆や芋など野菜たっぷり、スープ仕立てのパスタ!

冷たい雨の中での収穫や、細かい手作業で凝り固まっていた体に温かいスープが沁み渡っていきます。至福・・!

「少しだけ。。」とか言いながら、あまりに美味しかったので結局大盛り2杯頂いて大満足^^

さらにデザートには予め用意してくれていたサフランの入ったケーキも。


甘みと共に鼻腔にサフラン独特の香りがフワッと抜けていきます。

数時間一緒に作業をしただけですが、ずっと前からここで一緒に仕事をしていたような居心地のよさと、達成感を伴った疲労感に包まれ温かい気持ちで満たされます。

せめてもの感謝の気持ちを込めて、お土産には彼らが製品化しているサフランをいくつか買って帰りました。


前回の取材で教えてもらったのですが、サフランはお料理はもちろん、お湯に溶かせばリラックス効果や整腸効果もある薬茶としても重宝するとのこと。

これを機にいろいろ試してみたいものです。

改めて、サフラン生産者組合の皆様、どうもありがとうございました!!!Grazie mille!!

・サフラン生産者組合(Copperatiba Altopiano di Navelli)→

・B&B Abruzzo Segreto→

 

 

 

 

雄大な自然の中で育まれてきたアブルッツォ独自の文化や四季のくらしをご紹介します。
保坂 優子(Yuko Hosaka) 地域ブランディングを主とした都市計画コンサルタント。2002年、イタリアの暮らしにどっぷり浸りたいとアブルッツォ州に1年間留学。以降、大阪とアブルッツォを行き来する生活を続けている。2009年のラクイラ地震を機にアブルッツォ州紹介サイト「Abruzzo piu’」 を立ち上げる。2016年4月からはフリーペーパー「アブルッツォ通信」の共同発行者として、トークショーへの登壇や独自イベントの企画・開催、PRツールの作成、コラムの寄稿などプロモーションにも携わっている。

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    ヴェネトおよびフリウリを中心に、通訳、翻訳、地元マンマの料理レッスン及び生産者訪問コーディネイト、そして野菜を中心とする農産品の輸出業などの活動を行う。各種生産者との繋がりをとても大切に、ヴェネト州の驚くほど豊かな食文化を知ってもらうべく、ブログ『パドヴァのとっておき』では料理や季節のおいしい情報を中心に発信するなど活動中。