繊細な表現者 マリオ・コッリーナ

ロンバルディアの取材以来だから2年振りになる。
ミラノから車で1時間とちょっと、ベルガモの小高い丘の上にある、「リストランテ・コリーナ」
オーナーシェフのマリオ・コリーナは、料理人としての高いプライドと共に、
生産者への尊敬の念を忘れない、素晴らしいシェフだ。
久しぶりの再会をお互いに喜んだ。
当時より少しふっくらした印象だったが、握手を交わした手は、あの時に感じたままだった。
僕らは新しくできた部屋に案内された。
前面は総ガラス張りで、パノラマの景色が広がり、
明るくゆとりのある店内には、日曜日のランチを楽しもうとテーブルは満席だ。
料理はお任せでお願いした。
季節を意識した洗練されたスローな料理が次々に運ばれてくる。

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一見クリエイティブな印象の皿だが、食べてみれば機を衒わない、素材を存分に活かした料理に心が躍る。
そしてどのテーブルにも彼は、一皿ひと皿丁寧に料理の説明にやって来る。
ここに彼が生産者や、素材にこだわる理由がある。

IMG_615112時半過ぎに店に入ってから、ディジェスティーボのグラッパを飲んで気がつくと、客はもう僕らだけだった。

最後に御礼を言うと、彼は御礼を言うのは僕のほうだと言う。
本誌『イタリア好き』の読者がちょこちょこと訪れてくれているらしい。
彼もそれを喜んでいて、僕にとってもそれは同じ気持ちだった。
こうやって繋がっていることに感謝した。
店を出るころには、既に時計は4時半を回っていた。
とても豊で、良い時間を過ごすことができた。
ありがとう。