イタリア好きVol.13:シチリア特集

vol.13 シチリア州 (5月20日発行)

おやじの粋なはからいと
シチリア美人


キリット晴れた雲ひとつない青空。
強い風は、波を防波堤に打ち寄せ、
海からの風を小路に流していく。
冷たい空気と潮の香り。

8年ぶりに訪れた、シラクーサ・オルティージャ島。
記憶を辿って、早朝の散歩に出かけた。
蘇る記憶と匂い。

前日の夕方ここに到着した。

パスクアを翌週に控え、町は浮かれ、そわそわして、例えるなら日本の年末、忘年会シーズンのようだった。

ドゥオーモ前の広場は賑わい、小さな子供はバルーン片手に走り回り、久しぶりに再会する地元の友人たちは談笑し、ショーウインドウには卵型のチョコが飾られ、おじいさんの持つ大きな荷物はきっと孫へのプレゼントだろう。

映画『マレーナ』は、壮麗なバロック様式のドゥオーモ前の広場を歩く、モニカ・ベルッチの美しさが印象的だった。このシーンの舞台となったのは、オルティージャ島だと、8年前シラクーサを訪れた時に、フォトジャーナリストの篠さんに教えてもらった。その時は、真夏の太陽がジリジリと刺すように照りつける昼下がりで、広場は静まり返っていた。歩いているのは、ポツポツと観光客くらい。地元の人は、夏の暑い昼間には外に出ない。

オルティージャ島の市場には今回初めて行った。やはり魚屋が目立つ。
早朝の開店したてとあって、まだ人はまばらだが、その土地で暮らす人々の生活が見える市場はいつも気分があがる。
魚屋のおやじアンジェロは、まな板の上に乗せられ、解体されようとしているサメの説明をまくし立てるように始めた。

小柄だががっちりした体格に、だみ声に髭、彫の深い顔。
その振る舞いからは、市場を仕切る親分のようだ。
どうやって食べるのかと思い、一所懸命に聞いていたのに、「いや、食べない」なんだ損した。
そうかと思うと、タンバリンを持ち出し歌い始める。
タンバリンは小気味よく、おやじの渋い声と絡み合い、どこか物憂げなシチリア独特の旋律は、早朝の市場にはあまり似つかわしくなかったように思うけれど、おやじのサービス精神は嬉しかった。

アンドレアは、パニーノをつくり続ける。
彼のパニーノはひとつのアートだ。
同じ市場内のチーズのお店。店先に並んだ焼いたリコッタが、僕の心を惹きつけた。
買い物に来たお客さんに創作パニーノを振る舞う。
自家製チーズは売っているんだからたくさんある。
ひとつつくってはまたひとつ。
チーズ、ハム、トマト、オリーヴ、チポッラ、店にあるものは何でも挟む。
パニーノのアイディアがどんどん溢れていく。
パニーノをつくるアンドレアの手先はまるで、マジシャンのよう。
次に何が出てくるのかが楽しみだ。
ワインも出てきた。
こんな店、日本にもないかなーと考えながら、パニーノをほおばる。
市場だから毎日来る顔がいる。
だけどサービス品だけを食べて帰る客はいない。
アンドレアの心意気と気さくな振る舞いは、お客を惹きつけて離さない。
損して得取れ。

僕にとってシラクーサは、とても思い出深いところだ。
この『イタリア好き』を発想した起点となったところと言ってもいい。

8年前ここで偶然出会った家族とのひと時。
真夏の昼下がり、汗をタラタラ流して歩いていたところ、外の日陰で昼食をしている家族がいた。
篠さんがカメラを向けると、快く撮影に応じてくれ、撮った写真を見せると盛り上がり、ワインやフルーツをご馳走になった。
そして、篠さんがやおらカンツォーネを歌い出すと、隣に座っていたおばさんが、
「あんたはダメ」と言って、
今までの話し声とは全く別の声で、歌い出した。歌は路地に響き、僕の心は高鳴った。
“イタリア”面白いぞ!
ここから僕は、イタリアという国の懐の深さと、大らかさを感じ、その魅力にはまっていった。

今回もまた、イタリアおやじの粋な魅力に心を奪われてしまったのだけれど、
実はそれ以上に心を奪われたのは、マレーナならぬマリリーナ(本誌4ページ)だった。

イタリア好き委員会 松本浩明

バジリカータ特集は8月1日発行

『イタリア好き』vol.14バジリカータ特集は8月1日発行です。 編集作業も先週終わり、今は印刷段階。 バジリカータ州、かなり魅力的でした。 取材は3月終わりから4月にかけて。 丘陵地帯に広がる小麦畑は、鮮やかな緑で我々を迎えてくれました。 なにか心に沁みる、居心地のよいところです。 またひとつ帰りたくなる場所が増えてしまいました。 お楽しみに! 【重要なお知らせ】 ズッキーニクラブ会員の方、ズッキーニパートナーズ会員の方で、 購読の継続をご希望の方は、更新手続きを26日までにしてください。 それ以降に手続きをされますと、発行日にはお届けできません。 ご理解とご協力よろしくお願いします。 写真:萬田康文  
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イタリア好き委員会 松本浩明

バジリカータのアクティビティ

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Volo dell’Angeloヴォーロ・デッランジェロ

発着ステーション&チケット販売

Castelmezzanoカステルメッツァーノ(PZ)側: Tel. + 39 0971 986020

Pietrapertosaピエトラメルトーサ(PZ)側: Tel. + 39 0971 983110

2013年営:4/29~9/29、8:30~17:30(毎時30分スタート)。月休。

往復料金 平日シングル35€、カップル63€/休日シングル40€、カップル72€

下記HPの営業日カレンダーから、日時、スタート地を選択して、予約のこと。

http://www.volodellangelo.com/

 

(注意事項)

・体重の下限制限があります。

・2人飛行の場合、2人の体重の合計は150㎏以下、体重差は40Kg以下、

親権者と二人飛行の場合でも12歳以上であること。

・体重と同じ重さのウェイトで停止します。正確な体重を伝えてください。

・目の保護のため、サングラス、眼鏡を着用してください。

・気象条件に影響を受けます。

 

(問い合わせ)

Volo dell’Angelo S.c.a r.l.

Via Maestri del Lavoro, 19 – Potenza

Tel. +39 334 7880084 (担当Donatello Caivano)
Email: info@volodellangelo.com

イタリアCINEMA好き 「Viva! イタリア」



過去の「イタリア映画祭」で好評だった作品3本が一挙上映される『イタリア映画祭傑作選 Viva!イタリア』が6月29日(土)から始まりました。

その中の1本、マルゲリータ・ブイ、シルヴィオ・オルランドというイタリアを代表する二人の俳優が主演した映画

『もうひとつの世界』(1998)のジュゼッペ・ピッチョーニ監督に話を聞きました。

この作品は、生涯を修道生活に捧げる儀式を控えた女性カテリーナが捨て子を拾ったことがきっかけで、

クリーニング店を経営する独身の中年男性エルネストと出会います。

ともに捨て子の母親を探すうちに、やがて二人の間にも微妙な感情が芽生えていく、といったストーリー。

ピッチョーニ監督は「こういった企画上映は、日本の人がイタリア人の生活を知るのに一役買っているようで、大変興味深いし、

私の作品が選ばれたことを光栄に思います。

『もうひとつの世界』は、私にとっては新たな出発点となった、自分のキャリアを豊かにしてくれた作品です。

これを撮ったことによって私もより意識して自分自身を表現できるようになった、いわば私の署名を得ることができた、

そんな作品なんです」と思い入れと作品の出来への自信のほどを語ります。

マルゲリータ・ブイにとっても『もうひとつの世界』は女優としての転機となった作品で、

彼女は生まれた子供にこの映画の役名である「カテリーナ」と名付け、

ピッチョーニ監督を“ゴッドファーザー(名づけ親)”と呼んでいる、というエピソードも明かしてくれました。

『もうひとつの世界』の舞台はミラノですが、それについては「尼僧がでてくる物語で

(キリスト教の中心地である)ローマが舞台だったらいかにもという感じになってしまう、ということと、

ミラノはイタリアの産業の中心地であり、ローマなどとくらべるとちょっと厳しい世界、そういう対比があります。

なので、この物語にはミラノの方があっていると思いました」

さらに、もう一方の主人公、名優シルヴィオ・オルランドが演じるエルネストは、

内気でバカンスや楽しいイベントへの誘いも意味なく断ってしまう、どこか人生を楽しむことをあきらめているようなキャラクターですが、

ピッチョーニ監督はこのエルネストを「メランコリックで少年のような心を持っているけれど自分の人生と距離がある、

ガラスの向こうに立っているような男性」と表現します。

「エルネストの人生に、いきなりカテリーナがアグレッシブに入ってくることで彼は非常に戸惑います。

私は、自分の周りを囲んでいるガラスがあるなら、それを壊して、より自分の人生の真ん中に立つ、それが愛の意味だと思います。

この映画は尼僧とクリーニング店主のラブストーリーから、ちがった人生を生きる可能性、

そんなチャンスは誰にでもあるということを力強く語っている、そんな愛の物語なんです」


ジュゼッペ・ピッチョーニ監督

『イタリア映画祭傑作選 Viva!イタリア』では、

イケメン俳優、キム・ロッシ・スチュアート主演『ハートの問題』、

ハリウッドでも活躍するガブリエレ・ムッチーノ監督の『最後のキス』も同時に上映されています。

いずれも名作揃いなので、ぜひお見逃しなく!

『イタリア映画祭傑作選 Viva!イタリア』概要

『ハートの問題』
監督:フランチェスカ・アルキアージ 主演 アントニオ・アルバネーゼ、キム・ロッシ・スチュアート

『最後のキス』
監督:ガブリエレ・ムッチーノ 主演 ステファノ・アッコルシ、ジョヴァンナ・メッゾジョルノ

『もうひとつの世界』
監督:ジュゼッペ・ピッチョーニ 主演 マルゲリータ・ブイ、シルヴィオ・オルランド

配給:パンドラ
■6月29日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか、全国順次公開
*大阪では8月に公開される予定です。
http://www.vivaitaly-cinema.com/
渡辺いさ子/Isako Watanabe