最新号

Sempre amore 〜いつでも愛を〜

2020年が始まった。日本ではオリンピックイヤーとなり、開会までの準備を整えるために世の中は忙しい。
 いっぽうで、新年早々米国のイランへの攻撃や、イギリスのEU撤退、地球温暖化による気候変動によるさまざまな影響など。経済を中心にこれまで人類がしてきたことが、今少しずつずれて、崩れてきている、そんなことさえ思える最近の出来事が多い。
 ビジネス、ファッョン、モード、デザインなどイタリアの産業、経済の中心地のミラノ。スターバックスやユニクロもオープンし連日賑わいを見せている。どこに行ってもある店は、安心感の代わりに、その街の個性を失わせてしまうように思う。僕はどこかでイタリアはそうなって欲しくないと願っている。町の小さなバールや、肉屋や魚屋、八百屋や食料品店など魅力的な店をたくさん見てきた。それらもだんだんと数を減らしている様子とはいえ、そのスピードは日本よりずっと遅く感じる。そう、引き継がれてきた伝統を誇りに、無理をせず、客のニーズに合わせて緩やかに変化させることはあっても骨格は失わず、安心と信頼を得ている店。そんな店がここミラノにも数多くあった。
 出発直前のトラブルからほぼ白紙の状態でのミラノ入りだった。もともと〝暮らし〟をテーマにしたかった取材。前々日入りした僕が、滞在先のホテル周辺の少しの情報を元にリサーチに回り、地元の人たちが溜まっている、立ち寄っている店を巡り、取材先を決めていった。そこからは飛び込み取材を敢行。どの店も思いのほかあたたかく迎えてくれて、とてもいい取材ができた。滞在中何度も通った店も少なくない。
 それらの店に共通していたことは実にシンプル。誠実さと謙虚さだった。そして老舗でも、新店でも、そういう店には必ず客が並んでいる。客もまた店をきちんと守ろうとする。当たり前に聞こえるが、これが意外にそうでもないのは皆さんもよくご存知であろう。
 ビートルズは「all you need is love」と唄い、清志郎はある歌の中で、「愛が欲しいなんてただの口癖」と皮肉って唄っていたけど、やっぱりイタリア、根底には「アモーレ」が溢れているのだ。
 目先に囚われずに、本質を見据え、根っこをしっかり踏みしめることこそ今の我々にとっては大切なのではないかと、オリンピック後のニッポンを憂慮しながらパニーノをほおばっていた。

発行編集人 マッシモ松本
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