最新号

ジェノヴァの夏

本誌創刊号の取材先にリグーリアを選び、2010年2月に取材に行ったのはもう8年前のことで、それ以来のリグーリア特集である。

今度は夏だ。陽差しは強く、透き通る海、パラソルはカラフルに広がり、バカンツァに訪れる人たちで溢れ、野外イベントも開かれるなど賑わう一方で、ジェノヴァの街中は意外と静かだ。そう、イタリア人の営む昔ながらの店は、シャッターが降り、こちらもバカンツァ中である。まあ、これもイタリアらしい。

ジェノヴァ・ピアッツァ・プリンチペ駅は、8年前とはずいぶん様子が変わり、明るくきれいに改装され、カフェ以外にも、寿司と中国料理の店、オーガニック料理店などもテナントとして入り、トイレは有料になっていた。駅前のコロンブス像だけは変わらず健在だ。
取材は駅から徒歩5分ほどのアパルタメントの1室を拠点として、ジェノヴァ県を中心に回った。リグーリア、ジェノヴァも何度か訪れているが、ジェノヴァ市内に腰を据えて滞在するのは初めてだ。

海洋都市として大きく栄えたジェノヴァには、多くの物資が海を渡ってやってきた。ここで育ち独自の文化として発展したものもある。ペストもその一つだろう。アフリカ系、中東系、アジア系と多くの人種が行き交い、さまざまな国の文字で書かれた看板が目立つ。その様子はパレルモや、ナポリともまた違う。

旧市街の一角には、昼間でも娼婦が立っている。その昔、長い船旅を終えた船員を待っていた名残だ。でも、路地裏を歩いていると思わぬ歴史的建造物や、古い逸話のある場所に出くわすのがおもしろい。言うまでもなく、それだけ長く、深いストーリーのある街なのだ。しかし、ピアッツァ・デ・フェッラーリに面したパラツッオに大きく「SUSHI」と書かれた看板を見た時にはかなり愕然としたが……。

そんなジェノヴァでの長い滞在を苦にさせないのは、新鮮な魚貝、特に好物のイワシをたんと食べられることだ。フリットにしても、オイル煮にしても、塩漬けをサラダ仕立てやパニーノにしても、これが実にうまい! 当然、フリットなどはよく冷えた白ワインと一緒に食べればこの上なく幸せだが、トラットリアのハウスワインは意外にもこれがヴェネトのソアヴェだったりする。それだけリグーリアは狭小で山がちな土地柄、生産量も少なく、希少なために、ハウスワインで安くたくさん提供するものではないのだ。これもリグーリアの特性を表しているだろう。

そういえばここ横浜にも、港町の文化があるなあと改めて考えた。
さあ、リグーリア、ジェノヴァの旅へどうぞ!

マッシモ松本
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