バジリカータ州(白旗 寛子)

もし100年後にまたここを通りかかっても

イタリアの最も美しい村

9月の半ば、車を走らせカステルメッツァーノに遊びに行ってきました。

村の名前が書かれた古い道路標識


この聞き慣れない村は、かのドロミーティ渓谷になぞらえ「バジリカータの小ドロミーティ*」と称される峻峰を背後に控え、イタリアの最も美しい村のひとつにも数えられます。

米誌『Condé Nast Traveler』(2017年)は「間違いなくイタリアで最もドラマティックな村」と評した


直線距離にすればわずか2㎞ほど先のピエトラペルトーサの村とともに、「天使の滑空」の発着ポイントとしても、ヨーロッパでの知名度はなかなかのものです。天使の滑空についてはまたいずれ。

ピエトラペルトーサに続く下道。車でも30分以上の道のり


 

 マッジョ祭 9つの山の民の9つの木の信仰

なんとも運のいいことに、カステルメッツァーノでは、マッジョ祭がクライマックスを迎えていました。

マッジョは、州の2つの山岳地方の9つの村*に伝わる木の信仰です。

9村9様ながら、①恵みの山から一対の木を切り出し、②その神木を山から下ろし、③神木を村に迎え入れ、④一対を結わえて1本の木とした後、⑤男衆が力を合わせて垂直に立ち上げる
というのが、いちおうの定式です。

16頭はいただろうか。牛が曳く”マスキオ”と呼ばれる男木が、村の大通りに入ってきた。マスキオは10m近くにもなる巨木まるまる一本である


 

カルテルメッツァーノを含め小ドロミーティの村々のマッジョは、一対の木を男木と女木に見立て、木の婚礼になぞらえます。

マスキオ(転じてマッジョ)と呼ぶ男木はトルコオーク、チーマと呼ばれる女木はセイヨウヒイラギと決まっています。

”マスキオ”と呼ばれる男木の先端に、 女木”チーマ”が結わえられ、 男衆が力を合わせて木を立ち上げる。


 

ぼくらのバジリカータを言葉で表すのならば

バジリカータのマッジョ祭に魅せられた一人。フィレンツェ出身の写真家で文筆家のアンドレア・センプリチは、9つの村のマッジョを、美しい文章と写真で記録しました*。

そのなかに、写真家がたぶん魂をふるわせただろうフレーズがでてきます。

ーもし100年後に(あなたたちが)またここを通りかかっても、私たちはここでこうしているよー

今から数年前、当時たったの15歳だったアッチェットゥーラ村の少女たちが、マッジョの揃いのロゴTee用にひねり出した文言なのだといいますから、もう参っちゃいますよね。

 

もし100年後にまたバジリカータを通りかかったら?

人々はあいかわらず硬質小麦を育て、遠くから来た人に自慢のパンをすすめ、彼らのお祭に酔いしれているんじゃないかな…。

バジリカータは、そんなこともすんなり想像できてしまうところが魅力なんだと思います。

 


バジリカータの小ドロミーティ* Piccole Dolomiti Lucane
9つの村* うち1村はカラーブリア州にある
文章と写真で記録* Andrea Semplice“Alberi e Uomini”(2016) Universosud Soc. Coop

 

ちょっと旅したくなるような、マテーラまわりのとっておきをお伝えします。

白旗 寛子(Hiroko Shirahata) 2003年渡伊、同年よりマテーラ在住。取材コーディネーター、通訳、翻訳、寄稿(伊語/日本語)を軸に、地域のよろずプロモーターでありたい。

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