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ワインを理解する上での心得とは?

皆さんこんにちは、

シエナの鈴木です。

今回は、イタリアでワインを仕事にしている立場の自分から、ワインに興味のある皆さんのお役に立てるようなコラムにしたいと思います。


『イタリア好き』をフォローされてる皆さんの中には、ワインに興味があって勉強したい、もっと知りたい、でも難しい、と思っている方も多いことでしょう。

中にはワイン関係のご職業で、ワインを説明する立場にいる方もいらっしゃるかもしれません。

自分の考えるワインの世界への入門、ワインを理解していくためのコツをお伝えできればと思います。

 

なるべく簡潔に考える

まず、ワインを学ぶ上で一番重要なことは、その人にとって『わかりやすいかどうか』『理解できるか』です。

イタリアワイン。まずは海外の生産品という時点で言語や文化の違いから、少し壁を感じてしまう部分があります。

というのも、当然イタリアワインのラベルはイタリア語で表記されていますし、日本は近年、ワインが一般生活にも馴染む飲み物になってきたとはいえ、イタリアのように家族・親戚がワインを作っているとか、食卓にはいつもワインがある、というような文化ではありません。

そして何より、イタリアワインは全国20州で生産され、多種多様のブドウ品種、製法があることで複雑な体系をもっています。

つまり、なかなか馴染みのないワインを理解していくためには、最初は可能な限りシンプルな情報だけを学ぶべき、ということになります。

そしてどうにか工夫をして、イタリアワインとの間に距離や壁がないように感じることが必要です。

距離や壁を感じた情報というのは、覚え難いですし、仮に覚えられても残念ながらすぐに忘れてしまいます。

物事の輪郭を捉えること

ワインに限ったことではありませんが、最初に理解するべきことというのは物事の輪郭。

大枠の最も重要な情報のことです。そのあとにディティールを学ぶという流れが理想です。

それはどういうことか、一つ例えをしましょう。

 

推理小説や刑事ドラマの中で、とある事件が起こるとします。

犯人を見たという人物が一人。

重要参考人として調書をとり、モンタージュを作成することになりました。

証言内容。

目は二重だった。

鼻はきりっと高い。

Tシャツを着ていた。

靴はサンダルを履いていた。

 

皆さんはこの情報で犯人のイメージを作ることができるでしょうか?

正確で細かい情報ですが、これらは本質を捉えている情報とはいえません。

まずは最初に必要なのは、大枠の情報。

この場合は犯人が

男性だったのか女性だったのか

背や体形が大きいのか、小さいのかが大枠の情報となり重要です。

まつげが何本あろうが、それを知っても意味がありません。

つまり、これらの細かな情報というのはそれぞれカウントすると1つずつの情報ですが、大枠を捉えた情報と比べその本質に近づくための重要度は全く違うのです。

サンダルを履いていたのは覚えていたけど性別はわからないというのは、テストでは2問中1問正解で半分点数をもらえるかもしれませんが、実践力という部分では0点に近いです。

ソムリエの方であれば、これはワインのテイスティング表現のコメントにも同様にいえることです。

赤系果実と黒系果実の言い回しのニュアンスの違いよりも、

まずは、若々しいワインと熟成感のあるワインの明確な違いなどを理解する必要があります。

細かいテイスティングのコメントよりも、そのワインを一番特徴づけている本質を理解することが最も必要なことです。

つまり、より大枠の基本的な情報から、段階を踏んで、より深い詳細の情報を知っていくということが重要です。


それではなるべく簡潔に大枠を理解するということを踏まえて、トスカーナ州のキァンティワインにまつわるいくつかの情報をピックアップして学んでいきましょう。

1 トスカーナ州の6県でキァンティは作られる。

2 キャンティのワインは基本的に赤である。

3 キァンティには70%以上、サンジョヴェーゼ種を使用しなければならない。

4 キァンティ発祥のオリジナルのエリアはフィレンツェとシエナの間の丘陵地帯で、キァンティ・クラッシコDOCGという銘柄が作られる。

5 キァンティ・クラッシコDOCGの認定地区では、キァンティDOCGを作ることができない。

6 トスカーナ州のブドウ栽培面積の6割以上はサンジョヴェーゼ種である。

7 シエナの町では、7月2日と8月16日にパリオという伝統行事が行われる。


 


1 トスカーナ州の6県でキァンティは作られる。

この情報では6という数字自体はさほど重要ではなく、まずはトスカーナ州にはいくつの県があるのか、という好奇心を持つことが大事です。

州の中には県があるということは理解しておくことの一つです。

トスカーナ州は10の県からできています。つまりトスカーナ州の大部分でキァンティは生産される、このことを簡潔に理解することが重要です。要はキァンティは生産地域が広い=生産量が多いということです。

 

2 キャンティのワインは基本的に赤である。

この情報では、キァンティワインになじみのない方は、まず

キァンティは赤ワインという認識を作ることが重要です。

その後、理解ができたら、何故『基本的に』なのかと考えましょう。

 

キァンティには、ヴィン・サントという甘口ワインが存在します。(1)

正確にはヴィンサント・デル・キァンティというものになりますが、キァンティの名が付く以上、キァンティ地方のワインの一種と理解することが必要です。(2)

この甘口ワインは基本的には白ブドウ、トレッビアーノ種やマルヴァジア種という土着品種から作られます。(3)

黒ブドウのサンジョヴェーゼ種のみを使う『オッキオ・ディ・ペルニーチェ』という種類のヴィン・サントもあります。(4)

また、キァンティ・クラッシコのヴィンサントも同じように生産がありますが、キァンティとキァンティ・クラッシコのヴィンサントはDOCG認定ではなく、ともにDOC銘柄となります。(5)

またキァンティ・クラッシコのシンボルである、黒い雄鶏マークはヴィンサント・デル・キァンティクラッシコに使用することができませんが、キァンティ・クラッシコエリアのDOPオリーブオイルには使用が認められています。(6)

(1)から(6)は上から順に覚えていくべき情報です。

3 キァンティには70%以上、サンジョヴェーゼ種を使用しなければならない。

ここでも、まずはキァンティのベースのブドウ品種はサンジョヴェーゼ種という基本を覚えてください。

その後、ブレンド認可のパーセンテージを記憶していきましょう。

キァンティは70%以上、キァンティ・クラッシコは80%以上となります。

そして理解する上で重要なのはDOC・DOCG銘柄は規定があり、使用許可品種、ブレンド配合のレシピのようなものが存在するということです。

4 キァンティ発祥のオリジナルのエリアはフィレンツェとシエナの間の丘陵地帯で、キァンティ・クラッシコDOCGという銘柄が作られる。

現代のワイン規定では、キァンティとキァンティ・クラッシコの差別化が進んでいます。

発祥のエリアと生産品を保護し、より価値とクオリティーを高めようとする動きがあるからです。

ですので、キァンティの中の1つの種類がキァンティ・クラッシコというよりは、2つの別のDOCGという認識になります。

ヴァルポリチェッラやソアーヴェ、ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエジなどのワイン銘柄のクラッシコ表記とはまた一線を画す規定といえます。

→過去の記事 キァンティとキァンティクラッシコ

5 キァンティ・クラッシコDOCGの認定地区では、キァンティDOCGを作ることができない。

これも、また差別化をするための特別な規定です。キァンティとキァンティ・クラッシコの基本情報を理解してから、こういった細かい詳細を知識として知っておきましょう。

6 トスカーナ州のブドウ栽培面積の6割以上はサンジョヴェーゼ種である。

トスカーナ州はサンジョヴェーゼの土地で、赤ワインが生産を占めているということを理解しましょう。

サンジョヴェーゼ種はトスカーナ州をはじめ、エミリア=ロマーニャ州、ウンブリア州やマルケ州などの中部イタリアを中心に多く栽培されている品種ですが、南のプーリア州でも広く栽培されている品種となります。

7 シエナの町では、7月2日と8月16日にパリオという伝統行事が行われる。

シエナは自分が住んでいる街です。シエナ県には、キァンティ発祥の村々、ガイオーレ・イン・キァンティ、ラッダ・イン・キァンティ、カステリーナ・イン・キァンティがあります。

また伝統行事であるパリオ7月2日8月16日という日付は非常に重要ですので必ず覚えましょう。笑

ぜひシエナの歴史を体感しに来てください!


ワインを学んでいくというのは、膨大な情報を記憶していくこととも言えます。

今回の1~7の情報は、この記事を読まれた方それぞれに感じ方、印象が違うと思います。

皆さんご自身の情報の優先順位を考えて、

自分のペースでゆっくり楽しみながらワインを知っていきましょう。

最後に

キァンティというワインは、イタリアのトスカーナ州の赤ワインの銘柄である。

トスカーナ州の代表的なブドウ品種であるサンジョヴェーゼ種が使用され、非常に需要のある人気のワインである。(生産量が多く国内外での市場がある)

甘口のヴィンサントワインもある。

まずはこのことが分かれば初めの一歩が踏み出せたといえますね!

それでは、また次回もお楽しみに!

鈴木暢彦

ホームページ 『トッカ・ア・シエナ』https://www.toccaasiena.com

Territorio

イタリア最大のワイン展示会ヴィーニタリー攻略!

皆さん、こんにちは。シエナの鈴木です。

今回は、来週4月15日から18日まで4日間開催のヴィーニタリーについてお伝えします。

今年52回目を迎えるヴィーニタリーは、イタリアで最大のワインの展示会で、毎年4月にイタリア北部のヴェローナにて開催されます。


実はこのイベントは、トスカーナ州シエナの町にて1933年に始まったイタリア初の全国ワインの展示会【モストラ・メルカート ヴィーニ・ティピチ・ディタリア】を起源とし、1967年に場所をヴェローナ、名をヴィーニタリーとして新たに生まれ変わり現在に至っています。

シエナで1933年に行われた第一回『モストラ・メルカート ヴィーニ・ティピチ・ディタリア』では、16日間で約15万人が来場しました。




さて、それではヴィーニタリーの会場のご案内をしましょう。


会場VERONA FIEREのイベントスペースのマップですが、驚くべきはその規模の大きさです。

広さはなんと約31万平方メートル!(東京ドーム6、6個分、幕張メッセの約4倍!)

州ごとに分かれたイベントホール数が13もあります!

昨年は4日間で延べ12万8千人の来場を記録しました。(うち4万8千人は国外からの来場者)





 

参加ワイナリーはイタリア全国より4000社以上。(海外ワイナリーの出展、日本酒のスタンドの出展もあり)

とにかく、とてつもなく広いので全てのホールを1日で廻ることは不可能です。(4日間の全工程でも難しい)

各ホールの中では、所狭しとワイナリーのスタンドブースが立ち並び、それぞれがAから始まるアルファベットと1からの数字の組み合わせで場所が特定できるようになっています。

例えば、トレンティーノのワイナリー『FERRARI』のスタンドブースに行きたい場合は、3-C3となります。(3ホールのC3)


事前の検索 ヴィーニタリーのサイトから参加ワイナリーのスタンド番号を調べることが可能です。

初心者お勧めの廻り方

1、ある程度、目的の場所の下調べ、ワインの予習しておく。

2、マップを常に持って迷わないようにする。(効率よく試飲場所を回る、マップにスタンド番号などを記入しておく)

トスカーナ州のワインをテイスティングしたい場合


トスカーナ州のホールは【9ホール】と【Dホール】になるので、まずはここへ行けば色々なトスカーナワイナリーと出会うことができます。

しかしながら、トスカーナのホールだけでもかなりの大きさです。それもそのはず、トスカーナ州からは700社以上のワイナリーの参加。(実際イベントの期間は、ヴェローナの街中がトスカーナ人だらけになるほど。笑)

銘柄キァンティ・クラッシコやブルネッロ・ディ・モンタルチーノなど、ターゲットとなる銘柄を絞りたい場合は、その生産者たちのスタンドの場所も予め調べておくと良いでしょう。(各ホールの入り口にホール内のマップもありますが出展者が多すぎて探すのも大変です。)

ちなみに、一般的に銘柄の生産者組合と一緒に出展するワイナリーの場合は、同じエリアに集まっていることが多いです。

キァンティ・クラッシコDOCG組合 

9番ホール内(D2-D3-D4)


ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノDOCG組合

9番ホール内(D12-D13)


ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノDOCG組合

9番ホール内(C14


ブルネッロ・ディ・モンタルチーノDOCG組合

9番ホール内(B4-B5-B6-B7-B8)


こういった組合の出展ブースに行けば、かなり多くの生産者のワインを一度に味見することができます。同じブルネッロの生産者だけでも100社以上が組合と共に出展する予定ですので、貴重な経験になることでしょう。普段、トスカーナのワインを試飲する機会がない方は猶更この機会に色々と試していただければと思います。

以下銘柄ワイン、生産者の写真です。

アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラDOCG(ヴェネト州4、5、8ホール


コッリ・ディ・ルーニDOC、チンクエ・テッレDOC(リグーリア州12ホール)




コーネロ・リゼルヴァDOCG(マルケ州7ホール)


泡フランチャコルタDOCG(ロンバルディア州PALAEXPOホール



泡トレントDOC(トレンティーノ3ホールE1)


VIVIT(ヴィーニェ・ヴィナイオーリ・テロワール)(8ホール


ファッブリカ・ディ・サンマルティーノ社のマリアとポデーレ・コンコリ社のガブリエレ


コッリオDOC(フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州6ホール)


AISイタリアソムリエ協会のソムリエ専用ラウンジ


AISのソムリエならどなたでも入場可能です。


バイヤーの方の商談スペース


マルケ州に集合?の隠れワイナリー

ヴェネト州の『マージ社』、サルデーニャ州の『カピケーラ社』、トスカーナ州の『アンティノーリ社』、『コッレ・マッサーリ社』など、一部の著名ワイナリーは州のホールではない7番ホール(マルケ州)にスタンドブースを構えています。名が通り過ぎているため、通りがかりの方(一見さん)ではなく探して来てくれる人たちを迎え入れたいというコンセプトのようです。笑


コッレ・マッサーリ社、ブルネッロ(ポッジョ・ディ・ソット)、ボルゲリ(グラッタマッコ)など


いよいよ、15日開幕です!

今年は8年目、楽しんで行ってきます!

この期間にイタリア滞在中、もしくはイタリア国内で料理やワインの修行をしている日本人の皆さんもぜひ一緒にヴィーニタリーを体験しましょう!

それでは、また次回もお楽しみに!

鈴木暢彦

ホームページ 『トッカ・ア・シエナ』https://www.toccaasiena.com

キァンティとキァンティ・クラッシコ!

こんにちは!

シエナの鈴木です。

今回は、前回記事の【アンテプリマ】の続きで、キァンティ・クラッシコのワインのアンテプリマについてご案内したいと思います。


キァンティ・クラッシコのアンテプリマ『キァンティ・クラッシコ・コレクション』の会場となったフィレンツェのスタツィオーネ・レオポルダです。

入場の受付


このイベントは毎年2月に催され、世界中のジャーナリストや地元イタリアの飲食従事者が参加し、キァンティ・クラッシコワインをテイスティングします。

今年のワインリストは、アンナータ(ベースのタイプ)、リゼルヴァ、グランセレツィオーネの3タイプから、延べ436種類のキァンティクラッシコとなりました。

ジャーナリスト限定のテイスティングフロア


サービスするのは地元トスカーナのソムリエたちです。イタリアのソムリエ機関の中でも最も重要なアソシエーションの一つであるAIS(Associazione Italiana Sommelier)のフィレンツェ支部、シエナ支部、アレッツォ支部、プラート支部などからこのイベントのために招集されます。

ソムリエは担当のテーブルを持ち、ジャーナリストたちのテイスティング希望のワインをサーブしていきます。


参加された日本人のジャーナリストの中にはイタリアワインのバイブル本『基本イタリアワイン』の著者である林茂さんもいらっしゃいました。

この度2月に改訂版が装いも新たに出版され、さらにイタリアワインと日本食の相性も実践した項目を加筆するなど大きくページ数が増えました。プロとして飲食で働かれている方や複雑なイタリアワインの枠組みを理解したい方にはとても参考になる本です。

また今回のキァンティ・クラッシコ・コレクション2018では、テレビや雑誌でも活躍中のジャーナリスト宮嶋勲さんがキァンティ・クラッシコを世界へ発信し、その発展に尽力したジャーナリストの一人として表彰を受けました。


おめでとうございます!


さて、ところかわり生産者たちが所狭しと並ぶテイスティングのフロア。

185社のワイナリーの参加となりました。

キァンティクラッシコのワイナリーは350社ほどですので、そのうちの約半数が参加していることになります。それにしても、ものすごい数の出展者数ですね!

ここで、わかりにくい『キァンティ』と『キァンティ・クラッシコ』ワインの違いを少しお勉強しましょう。


上の図はトスカーナ州の地図になりますが、

グレーの色が銘柄『キァンティ』の生産できるエリアです。とにかく広いですね。トスカーナ州10県のうち6県にまたがり生産が認められています。一つの銘柄(DOC・DOCG)ワインとしてはイタリアにおいて異例の生産エリアの大きさです。

そして赤色のエリアが『キァンティ・クラッシコ』を生産できるエリア。シエナとフィレンツェの間の丘陵地です。

キァンティ・クラッシコのエリアというのは、もともとキァンティが発祥したクラシカルなエリアということで、生産者たちはまさにキァンティの歴史を伝承する重要な地区でワインを生産していることになります。

シエナ県には、その名も『キァンティ』と名の付いた発祥の村があります。(カステッリーナ・イン・キァンティ、ラッダ・イン・キァンティ、ガイオーレ・イン・キァンティ)

シンプルに考えれば、当時のキァンティは大変人気で需要があり、オリジナルのエリアだけでは生産量が足りず、生産できるエリアが拡大していったということでしょう。

ということで、本家本元のキァンティ、『キァンティ・クラッシコ』のワインというのは、当然保護されるべきワインとなり、独自のブランドを確立するにいたったのです。

味わいやクオリティーの部分で両者を比較すると、

キァンティというワインは、法律では最低でも70%以上サンジョヴェーゼ種、場合により白ブドウも混醸することが許可されています。

※もともと当時のキァンティのレシピは白ブドウも加えたもの。飲み心地の軽やかさにつながる

一方、キァンティ・クラッシコのワインというのは、最低でも80%以上がサンジョヴェーゼであり、白ブドウを混醸することが禁止されています。

それは世界のいわゆる『クオリティーワイン』という認識において、

ある程度のストラクチャー(構成力・強さ・凝縮感)が求められていて、年数を重ねてバランスを整えていけるようなワインが理想とされるからです。

よって白ブドウを加えて、強さ、刺激を和らげるということはせず、熟成によって仕上げていくという生産者の意識があります。

それでは、一部ではありますが生産者の顔ぶれを少しご覧いただきましょう!

Vecchie Terre di Montefili


Ormanni


Monteraponi


La Lama


Losi Querciavalle


Triacca La Madonnina


Le Masse


Solatione


L’Erta di Radda


Bibbiano


Forza Chianti Classico!

それでは、また次回もお楽しみに!
鈴木暢彦

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2月はトスカーナのワイン試飲会が目白押し!

皆さん、こんにちは!

シエナの鈴木です。さて、今回はイタリアならではの地元のワイン事情を皆さんにお届けしたいと思います。

ワインの国イタリア、それも世界に名の知れたトスカーナ州。

この時期は夏に賑わうアグリトゥーリズモ、ワイナリー観光も鳴りを潜め、1年周期のワインの仕込みもようやくひと段落するので、1年の中でも最も落ち着いた時期となります。


とは言え、仕事がないわけではありません。畑では前年度のブドウの果実を実らせた枝を切り落とす、土壌の手入れなど新しいシーズンを迎えるための準備が必要です。

また、この時期には地元ワイナリーの人々にとって非常に重要なワインイベントがあります。

それは、この2月に行われる『アンテプリマ』と呼ばれる1年で最も大きなワインの試飲イベントです。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのアンテプリマ『ベンヴェヌート・ブルネッロ』


トスカーナ中のキァンティが集まるキァンティのアンテプリマ『キァンティ・ラヴァーズ』


シエナ・フィレンツェ間のキァンティ発祥エリアのワイン、キァンティ・クラッシコのアンテプリマ『キァンティ・クラッシコ コレクション』


このイベントは、ワイナリーが自分たちのワインを知ってもらうための重要な機会で、毎年2月の中旬にそれぞれのワインの生産地区にて、主にジャーナリストや飲食従事者らを対象に行われます。(※一般の方が参加可能なアンテプリマもあります。)

ちなみに『アンテプリマ』というのは、映画の世界で言えば試写会のようなもので、オフィシャルには発表がまだ少し先になるものを先行して披露します、ということです。

つまり、ワイナリーのセラーでの仕込み、熟成・貯蔵を終え、その年に出荷する予定の新しいヴィンテージのワインを試飲することができるイベントなのです。

イタリアでは、いわゆる『銘柄』といわれ、原産地の呼称を伴うようなワインというのは、その銘柄ごとに国で定められた厳しい法律を遵守して作られています。

『新しいヴィンテージのワイン』というのは、すなわち、その法律で定められている『生産エリア』や『ブドウ品種』は素(もと)より、義務付けられている『最低貯蔵期間』を満たし、ようやく出荷が認められるワインのことです。

※ヴィンテージ=収穫年 例ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのワインは今年2018年に2013年<収穫年>がリリースされます。

フランスのボジョレーの新酒(ヌヴォー)ワイン風に言えば、ようやくその年に『解禁』されるワインということになりますが、ボジョレーヌヴォーの場合は、収穫から約2ヶ月後の11月中旬には出荷ができるフレッシュなワイン。イタリアに限らず一般的な銘柄ワインというのはそれぞれ数ヶ月~数年に及ぶ規定の貯蔵期間があるわけです。

それは、醗酵飲料であり、味わいや香りの成分など、多くの要素から構成されるワインにとって、クオリティーを安定させる上で非常に大切な期間となります。

また、ワイナリーによっては、法律による最低貯蔵期間の規定を満たした上で、さらに長い期間貯蔵をしてから出荷するケースもよくあります。

それでは、地元の代表的な銘柄をご紹介しつつ、今回の2018年度アンテプリマで披露されるヴィンテージを見てみましょう。

 

・キァンティ(Chianti DOCG) 赤ワイン

2018年主な出荷ヴィンテージ 2017年

規定・・収穫年の翌年3月以降に出荷可能

アンテプリマ 2月11日

 

・キァンティ・クラッシコ(Chianti Classico DOCG) 赤ワイン

2018年主な出荷ヴィンテージ 2016年、2015年

規定・・収穫年の翌年10月以降に出荷可能

リゼルヴァタイプ 2015年、2014年

規定・・収穫年の翌年1月から最低24ケ月

グランセレツィオーネタイプ 2014年、2013年

規定・・収穫年の翌年1月から最低30ケ月

アンテプリマ キァンティ・クラッシコ コレクション 2月12日

 

・ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ(Vernaccia di San Gimignano DOCG) 白ワイン

2018年主な出荷ヴィンテージ 2017年

規定・・収穫年の翌年3月以降に出荷可能

リゼルヴァタイプ 2016年

規定・・収穫年の翌年12月以降に出荷可能

アンテプリマ 2月11日および14日

 

・ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ(Vino Nobile di Montepulciano DOCG) 赤ワイン

2018年主な出荷ヴィンテージ 2015年

規定・・収穫年の翌年1月から最低24ケ月

リゼルヴァタイプ 2014年

規定・・収穫年の翌年1月から最低36ケ月

アンテプリマ 2月13日~15日

 

・ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(Brunello di Montalcino DOCG)赤ワイン

2018年主な出荷ヴィンテージ 2013年

規定・・収穫年から5年目の1月

リゼルヴァタイプ 2012年

規定・・収穫年から6年目の1月

アンテプリマ ベンヴェヌート・ブルネッロ 2月17日~20日

 

以上の重要銘柄のワインは各生産地でアンテプリマが行われます。

トスカーナ州のその他のDOCG・DOCワインなどの生産ワインは合同でフィレンツェのイベント会場にてアンテプリマが行われます。

トスカーナ州の10以上の各DOCワイン組合が集まるアンテプリマ


先日2月11日に、フィレンツェのフォルテッツァ(要塞)で行われたアンテプリマのオープニングには、このトスカーナ州にワイナリー『イル・パラージョ』を所有するミュージシャンのスティングさんと女優のトゥルーディ・スタイラーさんご夫妻が特別ゲストに招かれました。

今年のアンテプリマは、スティングさんとの乾杯とミニライブで開幕!

これには世界中から集まるワインジャーナリストの皆さんも興奮を抑えきれません。


その後、ご夫妻はトスカーナの銘柄ワインの各ブースを周られて、ワインテイスティングを楽しまれました。


ヴァルダルノ・ディ・ソープラDOCのワインブースでご満悦の様子。
それでは、また次回もお楽しみに!

※自分の写真が使われたアンテプリマの記事→こちら笑

鈴木暢彦

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シエナから自己紹介!

初めまして、こちらイタリア好き通信ページにてトスカーナ州シエナの地元情報やワインのことについて書かせていただくことになりました鈴木暢彦です。

ワイン好きが高じて、2009年に渡伊、シエナの国立ワイン文化機関『エノテカ・イタリアーナ』のソムリエとしての経験を積み、2015年、シエナの中心街にイタリア人と共同でワインショップ兼ツアー会社をオープンしました。また近年はバイヤーの方へ日本未入荷イタリアワインの紹介もしています。

ワインショップ経営、ワイナリーツアー、ワイン輸出サポート、これに今回ワインコラムが加わります。ーさしずめ『イタリアワインの何でも屋』といったところでしょうか。笑
経営者といっても、基本的には毎日ワインショップに勤務しています。ツアーの依頼がある時はミニバンでワイナリーに行ったり、日本でワインイベントなどの仕事があるときは一時帰国したりといった生活です。

こちらのページでは、自分が住んでいる街『シエナ』の魅力や、地元の素晴らしいワインたちについて取り上げていきたいと思いますのでどうぞ宜しくお願いいたします!

さて、今回第一回ということで、一番重要な情報を。

それは、シエナってどこ?ということですね!


イタリアは全国20州からなっています。その中の中部トスカーナ州にシエナがあります。

オレンジ色の部分が『シエナ県』です。つまりトスカーナの中心に位置したエリアということになります!


シエナ県の中心部に『シエナの街』があります。

ちなみにフィレンツェからは車で1時間15分ほどです。

 


ということで、緑に囲まれた丘の上に佇むこのシエナの街から、情報を発信していきますのでどうぞ宜しくお願いいたします!

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