
背後にそびえるロッカモンフィーナ山は以前ヴィッラ・マティルデ社の際に取り上げた死火山で、テラーロ社の畑は全てミネラルを多く含む水はけの良い火山性土壌がメインとなり、畑の場所によってそれに混ざる土壌が若干変わる。
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テラーロ社のオーナーであるテラーロ家の6兄弟は、2000年ものはるか昔からブドウ栽培が行われているこの土地とワイン造りを敬意を持って保護したいという想いから、1987年にワインと健康協同組合(Cooperativa Vino e Salute)を発足し、同時にワイナリーとしてテラーロ社を創業した。テラーロ社では、アグロノモ(農学者)で畑のスペシャリストであるルイージさん、エノロゴ(醸造家)のパスクアーレさんなど、兄弟の各人がそれぞれの能力を活かしてワイナリーを運営している。

いつも笑顔で楽しそうに説明してくれるのは、営業の責任者である末っ子のマッシモさんだ。時折話している途中で笑い始めることがあり、後半は笑いながら何を言っているのかがわからない場合があるのだが、それはご愛敬だ。一緒にテイスティングをしているだけでなんだか楽しくなってくる。そんな人が一人いるだけで社内の雰囲気が良くなり、楽しくワイン造りができるのではないか、などと、思わず勝手な想像が膨らんでしまう。

※バリレッタ種はプリミティーヴォの系統で、第2次世界大戦後、当時絶滅しかけていたこの品種をテラーロ家が復活させ、現時点ではテラーロのみがこの品種のワインを作っているそうです。
バリレッタを飲んでみた印象は、アマレーナ(スミノミザクラの実)やブラックベリー、スパイスの香りが感じられ、口当たりは滑らか。余韻まで長く続くしっかりした果実味、それを寄り添いながら支えている柔らかいタンニンが心地良い。
テラーロ社しか栽培していないから、といった希少性だけで売っている商品ではなく、単純にワインとしてのコストパフォーマンスが高い。
テラーロ社のホームページに書かれていた冒頭の一文を読めば、彼らがどんなワインを造りたいのかが伝わってくる。まるで詩人が書いたような美しい文章だったので、それをここに記して筆を置こう。
「ワインとは、過去、現在、そして未来を詰め込んだ宝石箱のようなものであり、この我々の土地の記憶である。ワインは、豊かな我々の文化が失われないように時の流れの中に降ろされた“いかり”であり、今この瞬間を生きる喜びを感じさせてくれる。」