イタリアCINEMA好き 「ブルーノのしあわせガイド」


『ブルーノのしあわせガイド』
© 2011 I.B.C. Movie
配給:アルシネテラン
■4月13日(土)、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー

ローマを舞台にしたハートフルな映画「ブルーノのしあわせガイド(Scialla!)」という作品が公開されます。
2012年のイタリア映画祭では「シャッラ/いいから」というタイトルで上映されていますが、
この「シャッラ」というのは典型的なローマの若者言葉で、英語で言えば「Take it easy」。
いいから、気楽に行こうぜ、といった意味合いだそう。

主人公はファブリッツィオ・ベンティヴォリオ扮する元教師の中年男ブルーノ。
彼は、有名人のゴーストライターをしたり、家で補習塾を開いて生計をたてていて、
お金も地位もないが自由だけはあるといった感じの冴えない独身男。

そのブルーノの補習塾に通う生徒の一人が15歳の高校生・ルカ。
学校では授業もろくに聞かないちょっとした問題児の彼ですが、ブルーノの補習塾にはきっちり通ってきます。
そもそもいい加減なブルーノが塾でまともに勉強を教えるわけがなく、
彼ら二人は、さながら、年の離れた親友同士のように会話をして時間を過ごすだけでした。

しかしある日、ルカの母親がブルーノを尋ねてきて、
仕事の都合で半年間海外に行くためその間、ルカを預かって欲しいと言い出します。
驚いたブルーノがその理由を問いただすと「ルカはあなたの息子だから」と言うのです。
15年前の情事を思い出したブルーノは、父親であることはルカには告げず、
この申し出を引き受けます。こうして二人の共同生活が始まるのですが…というストーリー。

急に15歳の息子と共同生活をすることになったブルーノの姿にはユーモラスで、時にほろっとさせられます。
ルカが息子であることを知っても二人の距離感がほとんど変わらないところもイタリア流、
といえるのかもしれませんが、「親友親子」のまま、二人はちょっとづつ成長し、変わっていきます。

ルカ役の少年、フィリッポ・シッキターノも、
いっぱしの硬派ぶってみても中身はまだまだ子供というティーンエイジャーを好演していて、とてもキュート。
「日本公開されるイタリア映画はシリアスな内容が多くて…」という方には、
日常の中のちょっとした幸せや成長を描いたこの作品は特にオススメ。
ハッピーな気分を味わえる作品です。

渡辺いさ子/Isako Watanabe