キアンティエリア最初のクリュ(単一畑)ワイン、“ラ・セルヴァネッラ” Presented by モンテ物産

キアンティという言葉を聞いて、イタリア産の赤ワインを思い浮かべる日本人は結構いるのではないだろうか。まだイタリアンレストランの少なかった1980年代の日本でも、キアンティは存在した。当時はこもかぶりのフィアスコボトルが主流で、今それを懐かしむ消費者やソムリエもいる。かつては、キアンティと言えば手ごろな価格でカジュアルなイメージがあったが、現代のイタリアワイン界では幅広い価格帯で、数多くのキアンティ、あるいはキアンティ・クラッシコが見られ、2014年にはその上のグラン・セレツィオーネが制定された。このように多種多様なキアンティが揃うワインリストから、好みのキアンティを探すのも一苦労の時代にまでなった。

メリーニ社のフラッグシップワイン、ラ・セルヴァネッラ・キアンティ・クラッシコ・リゼルヴァは、イタリアでは量よりも品質重視のワイナリーがまだ少なかった1969年に、キアンティエリア最初のクリュ(単一畑)ワインとして生まれた。

▲メリーニ社支配人兼統括エノロゴ アレッサンドロ・ザネッテ氏
メリーニの統括エノロゴであるアレッサンドロ氏は、言う。
「Selvanella(セルヴァネッラ)のSelva(セルヴァ)はイタリア語で森という意味。元々は、森であったひとつの丘に、我々のフラッグシップワイン“ラ・セルヴァネッラ”の畑があります。南西向きの50haの畑は、海抜400m~600mでキアンティ・クラッシコ全体のエリアの中でも非常に高い位置にあります。この標高の高さと日当たりの良さが昼夜の寒暖差を生み出し、ラ・セルヴァネッラ特有の複雑さとエレガントさを作り出すのです。」

実際にラ・セルヴァネッラの畑に立つと、日当たりの良さを感じるとともに、風通しも良い恵まれた場所であるのがわかる。最良のブドウは最良の環境から生まれることを実感する場所だ。

▲日当たりと風通しの良い“ラ・セルヴァネッラ”の畑
▲最良のブドウは最良の環境から

熟成は伝統的な12200Lの大樽でじっくりと2年半から3年かけて熟成。ラベルは1969年のファーストヴィンテージから変えていない。
但し、前号で(※)紹介したNIRシステムの樽や、ホライゾンシステムという木樽とステンレスタンクの長所を組み合わせた新しい発酵タンクを一部採用するなどして、常に進化を心がけている。

▲12200Lの大樽
▲ホライゾンシステムの発酵樽

アレッサンドロ氏にキアンティ・クラッシコエリアの土壌の説明をしてもらった。

「フィレンツェとシエナの間に広がるキアンティ・クラッシコのエリアですが、4つの土壌に分かれます。それは、GALESTRO(ガレストロ)という石灰質を帯びた粘土の瓦礫土壌と、ALBERESE(アルベレーゼ)という炭酸カルシウムを多く含む泥灰土の岩石、TUFO(トゥーフォ)という凝灰岩、それから粘土質土壌です。
エリアの南側は、粘土質土壌が多く、果実味の強いキアンティ・クラッシコが生まれますが、我々のラ・セルヴァネッラの畑は、中央のラッダ・イン・キアンティエリアでも先に述べたような恵まれたミクロクリマで、土壌はガレストロとアルベレーゼで構成されています。この土壌特性により、果実味、酸、タンニンのバランスが取れた、複雑で繊細な風味のキアンティ・クラッシコが生まれます。」


優良なヴィンテージしか作られないこのラ・セルヴァネッラ。
特別に現行ヴィンテージの2013年と1997年の飲み比べをさせてもらった。

現行のものは、5年の熟成を経てまだ伸びやかな酸と若々しいタンニンがわずかに感じられるものの、すでにバランスの取れた味わいで、きれいな果実味と余韻の長さを持つ。21年も経つ97年ヴィンテージは、枯れることなくその美しい調和のとれた複雑味を保ち、森の下草の香り、タイムやセージといったニュアンスも感じさせる。20年以上経ちながらその特徴をいかんなく発揮できるワインはそうそうない。感動する垂直テイスティングだった。



春の心地よい気候に合わせ、飲み心地のよいラ・セルヴァネッラを開けることで、より一層Gioia(ジョイア=喜び)を味わうことができるだろう。

▶「歴史と革新のワイナリー”メリーニ”」の記事はこちら


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