バローロと名のつくワインが多過ぎてお困りの方々に捧げるコラム Presented by モンテ物産

世界的にみても、日本は輸入ワインの品揃えが異常なほど豊富だと思う。実際イタリアに駐在しながら現地で一般的に見かけるワインの中で、日本に入っていないものを見つけるほうが難しいぐらいだ。それほどありとあらゆるワインが、多かれ少なかれ日本に輸入されている。
しかし品揃えの豊富さは、ワイン愛好家にとっては嬉しい反面、一般的な消費者からすればワインをわかりづらくしている一因でもあるかもしれない。選ぶには多過ぎるのだ。
日本に輸入されるイタリアワインの先駆け的な存在であったキアンティも、イタリアワインの王様と呼ばれるバローロも、種類が多過ぎてまず何を飲んでみればよいのかわからない方もさぞかし多いことだろう。

イタリアワインの中でまず何を飲めばよいのか。悩む方にはやはりバローロをお薦めしたい。バローロは自他共に認める“イタリアワインの王様”。おそらく世界で最も有名なイタリアワインであるからだ。ネッビオーロというイタリアの土着品種のみを使い造られているから、世界的に広く栽培されているカベルネ・ソーヴィニョン、メルローといった国際品種の枠を飛び出し、イタリアワインの特徴である土着品種の個性溢れる一面を垣間見ることができる。
▲バローロに使われるピエモンテ州の土着品種“ネッビオーロ”
しかしバローロと一口に言っても、その名を冠したワインは星の数ほどある。価格もピンキリだ。
いったいどのバローロを飲めば、スタンダードがわかるのか。悩みは尽きないだろう。

前置きが長くなったが、先日のワイナリー訪問でそんな日本の現状を伝えた相手はバローロエリア最大の作り手フォンタナフレッダ社のロベルト・ブルーノ社長。
彼からの返答は明快だった。

「フォンタナフレッダ社のバローロがその答えだよ」

余りにシンプルで自信に満ち溢れた答えに思わず笑ってしまうと、それを見てブルーノ社長はニコニコとこう続けた。
「私が自分のワインを売りたいから言っていると思っただろう?その通りさ。でもそれだけじゃお客様は納得してくれない。これは世界中どこでも一緒だよ。だから今から3つ、フォンタナフレッダのバローロを最初に飲むべき理由を説明しようと思う。」
▲ブルーノ社長
「一つ目。フォンタナフレッダ社のバローロはイタリアを統一した初代国王も飲んでいたバローロだから。イタリアでもバローロは、『王のワイン、ワインの王』といわれる。その理由は、初代国王がフォンタナフレッダの土地を買いそこで王家用にワイン造りを始めたためだ。フォンタナフレッダ社のバローロは、『王のワイン』を知るのに最適なんだよ。」

▲1903年のヴィンテージのフォンタナフレッダ社のバローロ。(写真左)
▲初代国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世(写真右)

「2つ目の理由はその造り方。バローロは伝統的には、色々な畑のブドウをブレンドし、大きな樽の中で熟成させる。フォンタナフレッダのスタンダード、シルバーラベルのバローロはまさにこの伝統にのっとって、今でも伝統的な醸造方法を頑なに守って作られているんだ。古き良き、ベーシックなバローロを知るには最適な1本というわけさ。」

▲14,000リットルのスラヴォニアンオークの大樽が並ぶ熟成庫
「3つ目は、フォンタナフレッダ社のバローロがイタリアで誰もが知るバローロだからだよ。フォンタナフレッダ社は現在、バローロエリア最大の生産者。フォンタナフレッダのバローロは、間違いなくイタリアで最も広く愛飲されるバローロのうちの1本さ。長い間売れ続けているのには訳がある。つまりバローロというワインのスタンダードを知りたい方が飲むべき、王道ワインなんだよ。」

ブルーノ社長は詩人かなにかのように流れるような口調でここまで説明すると、あっ、と声を出して派手に慌てたそぶりを見せた。
「まずい、とても大事なことを言い忘れていた。おまけにフォンタナフレッダ社のバローロはリーズナブルだよ。これが“一番”大事なことだったね!」
彼はわざと大げさにそう言うと、いたずらっぽくウインクして話を締めくくった。

たしかにフォンタナフレッダのバローロはイタリアワインの奥深さを垣間見せてくれる。
普段バローロをあまり飲んだことの無い方には是非試してみて欲しい。余り難しいことは考えず、ただその優美に広がる香りと、フルーティでなおかつ複雑な味わいに驚いて欲しい。一言で言えば、重厚でエレガント。ちょっと矛盾しているように聞こえるかもしれないが、それが同居するのがバローロだ。

さあいかがだろうか。近々バローロとともにワインの世界のもう一歩奥に踏み込んでみられては。
▲現在のバローロ シルバーラベル

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