マルケ州(林 由紀子)

洞穴熟成!ハーブの芳香漂うフォッサチーズのオープンデー

こんにちは!

今日は先日訪れた、マルケ州特産のフォッサチーズのオープンイベントのご紹介です!フォッサとは、その名の通りイタリア語で洞穴、そしてその洞穴の中で熟成されたペコリーノチーズが、Formaggio di fossa 、フォッサチーズと呼ばれる独特な熟成方法で熟成されたチーズに変身するのです🎶


さてこの不思議なチーズには、どのような歴史的背景があるのでしょう?

一説には1800年代に度々起こっていたバーバリーなどの盗賊による襲撃から食物を守るために、農民達が地下の洞穴にチーズを隠していた際に偶然に起こった熟成がチーズを劇的に美味しく変化させたことがはじまりとか。確かにチーズは冬の間の大切な食料でありタンパク源だったので、飢饉などで作物の収穫が少ない年は、農家では盗賊達に大切な食料を狙われることも見通していたのでしょう、床下などの空間に隠され密封状態になったチーズは自然発酵をはじめ、濃厚で深みのある味に変化し、チーズを再び開封したときに更に美味しく変化したチーズに驚き、独特の熟成方法として浸透して行ったのかも知れません。

近代に入り、更に香り豊かなフォッサチーズを作り出そうと、様々な野のハーブが一緒に仕込まれるようになり、熟成士さんたちの個性が現れるようになりました。

現在ではその洞穴がオープンが、美食家達のお楽しみのイベントとして開催されるようになりました。

ではイベントの様子をご紹介!



マルケ州北部のカルトチェートという丘の上の美しい村。美味しいオリーブオイルでも有名なこの村で、有名なチーズの熟成士、ベルトラミさん。


ご主人のヴィットーリオさんは熟成を、奥さまはヤギのチーズカプリーノを作られており、娘さんのクリステテイアーナは販売を担当されています🎶


1700年代には位の高い僧、枢機卿の住宅だったこの建物。煉瓦の色合いが時代を感じさせてくれます。


こちらが洞穴を開いた状態。はじめはセメントで完全に密封されていたのを、原始的に叩き壊していきます。洞穴が開いた瞬間、何とも言えないチーズとハーブが熟成した香りが立ち込めます!🎶


洞穴の中、見えるでしょうか?

布袋に入った沢山のチーズの上にはハーブのブーケが。ハーブ自体にもビッシリとカビが生えているのが見えます。

ハーブの種類はローズマリー、タイム、ローリエや野生のハーブが色々🌿チーズに芳香を移し役目を終えたハーブたちはもはやドライフラワー•笑。ご苦労様でした!

この洞穴の中の温度は密封して発酵中、30~35度くらいになるそう。洞穴の壁面部分をびっしりと藁で囲うのも良い発酵を助ける大切な要素です。


こんな風に布袋の中に5、6個くらいのペコリーノチーズのホールが入れられているんです。


生まれたばかりのチーズ、今日ばかりは食べ放題です!!💓このまま食べてももちろん美味ですが、お料理の仕上げに削ったものをさっと散らすだけで、さらに深みのある美味しさになるのがこのチーズの良いところです🎶


この日はとにかく人、人、人!

イタリアじゅうの美食家が集って、地元のワインとチーズのマリアージュや、オイルのテイステイングも楽しみます!

さて、この翌日にあった別の洞穴チーズのオープニングも見てきたので、そちらも一緒にレポしましょう。


こちらはマルケ北部にあるサッソコルバーロという美しい村。

ここの村にある古い教会の裏にあるプライベートな1室にある洞穴。


こんな風にひっそりとした佇まいも素敵です💓
こちらの洞穴は、蓋が作りつけられており、ガラス部分から中を覗くことができます。

発酵によって発生した熱から生まれた水蒸気がガラスにびっちり着いている様子を覗く息子氏•笑。


さあ、いよいよオープン!!

エミリオ君は、熟成士でもあり、2000頭の羊を飼い美味しすぎるチーズを作っている、本当に若くて才能のある生産者さんなんです💓


こちらも小さな部屋に人が一杯!

洞穴オープンの瞬間を一目見ようと遠くからやって来た人達ばかり。


わ~、こちらも美しい洞穴!

竹と藁で壁が作られていて、カレープラントのハーブの束が幾つも縁から吊るされています💓🌿

洞穴の深さは3m50cmくらい。いつもはここに1000個程のチーズが入るそうですが、この夏は干ばつで野の草が少なく、羊のお乳も少な目だった為に、今年は600個程を仕込んだのだそう。


羊さんたちは、ウルビーノ近郊の山の中でのびのびと生活しています。この写真は夏の終わりに訪問した時に撮ったもの。色々な種類の野草を食べたお乳で出来たチーズは味や香りにも草の爽やかな香りが感じられる、とエミリオ君は教えてくれました😊。


カレープラントの束はこんな風にカビカビ(良いカビ!)になりぶら下がっており…💓

記念に1束貰ってしまいました🎶

エミリオ君は、敢えてチーズの香りを重要視するために入れるハーブは1種類にするのだとか。

羊さんたちが育つ場所で採れる自然のハーブと仕込む。すべてはサイクルの中の1つ1つの大切な要素。


袋から出されたチーズが深い、いい香りを放って..

今年も上出来~!


チーズがさくっと割れるのは、熟成の状態がいい証拠。別嬪さんです🎶


美味しいチーズにあやかろうと、次から次へと人が絶えません!こんなワイワイした雰囲気が、オープンイベントの醍醐味かもしれませんね😉。

たっぷり2日間フォッサチーズのープニングイベントを満喫し、大満足の帰り道。

この村の綺麗な景色と共に頂いたハーブの写真もパチリ🎶

また来年も来られますように!

では、また!!

 

 

 

 

 

 

マルケ州から、こよなく愛するレアな食、工芸、土着文化をご紹介します!

林 由紀子(Yukiko Hayashi) マルケ州、ウルビーノ近郊のカーイ(Cagli)在住。1999年渡伊、ファエンツァの国立美術陶芸学校の陶彫刻科を卒業後、現代美術アーティストBertozzi&Casoniのもとでアシスタントとして12年に渡ってコラボする。2003年にマルケ在住のイタリア人と結婚したのをきっかけに、マルケ州の郷土料理や工芸、美術文化に強く惹かれ、自らも陶芸家として活動する中、ウルビーノを中心とするマルケ北部や県境近郊の食文化、美術工芸文化を発信する(ラファエロの丘から)を立ち上げ、現地アテンドや料理教室、工芸体験などのオーガナイスや、ウルビーノを紹介する記事などを執筆。

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