ロンバルディア州(高橋 正美)

大理石が生んだ、知られざる上質赤ワイン「ボッティチーノ」!


 

私の暮らすロンバルディア州はワイン生産地としてはとりわけ有名な州ではありませんが、それでも、イタリアを代表するスプマンテ「Franciacortaフランチャコルタ」やNebbioloネッビオーロ種から造られる優良赤ワイン「Valtellinaヴァルテッリーナ」やガルダ湖近くで造られるまろやかな白ワイン「Luganaルガーナ」など、国内外でも知られる数々の良質ワインを生み出しています。

そんなロンバルディア州のワインの中でも、非常に高いポテンシャルを持ちながら恐らくイタリア国内でもあまり名が知られていない、イタリア土着品種4種(バルベーラ、サンジョベーゼ、マルツェミーノ、スキアバ)のブレンドで造られるとっても魅力的な赤ワイン「Botticinoボッティチーノ」

今日は、3年前に「BIO」ワインとして認定され、先日「SLOW WINE 2018」に選ばれた実力急上昇中の生産者NOVENTAノヴェンタのご紹介です♪

 


 

NOVENTAの畑はミラノの東約80キロにある街ブレーシャの近く、マッダレーナ山の麓の標高500メートルの小高い丘にあり、眼下にはボッティチーノの町を一面に見渡すことができます。

 


 

こちらは、NOVENTAのワインの中でも最高級のワインを造る畑「Gobbioゴッビオ」。

写真ではわかりずらいかもしれませんが、かなりの急勾配の土地にブドウの木が植えられてあり、そのお蔭で水はけがよく、また常に微風が吹くというブドウ育成には絶好の環境下にあるため、カビ系の病気にかかることは全くないとのこと。結果、化学肥料を一切使わずにブドウを栽培することが可能であり、3年前に念願の「BIO」ワインのタイトルを取得。

酸化防止剤の量もBIOワインに許される100㎎/ℓを大きく下回る60㎎/ℓなのですが、これは、『健康なブドウが育つ環境にあるから自然なこと!』と、数年前から創業者のピエランジェロの片腕となりカンティーナを切り盛りする娘アレッサンドラが話す。

 


 

さて、NOVENTAワインを知る上でポイントとなるのが「大理石」です。

NOVENTAの畑の周りにはイタリアでも有数の大理石「ボッティチーノ」が採掘できる小山が連なっていて、畑の土壌も山の成分と同じで泥灰土(マール)と炭酸カルシウムと砂が混じったイタリアでもかなり珍しいタイプの土壌で、土壌成分内の粘土質がブドウに骨格を、そして豊富な石灰質と炭酸カルシウムが十分なミネラルをもたらしてくれます。

 


 

また町に面した南側を除き、他三方が山に囲まれているためアルプスからの冷たい空気はここで遮断。十分な太陽の光を受け柔らかな風に包まれながらも、冷たい空気は周りの山で遮られるという最高のミクロクリマのお蔭で、ブドウは自ずと成熟し、厚みのあるクオリティーの高いワインが生まれるのです。

 


 

そんなユニークかつ恵まれたテロワール(ブドウ育成に必要な気候、土壌、地形などの自然条件)を持っているボッティチーノですが、ロンバルディア州のワインとしては古く1800年代の終わり頃からこの辺りで生産が始まり、1968年にDOCワインに昇格。当時はボッティチーノ人の多くがブドウ栽培を仕事にしていましたが、機械が入っていかれないような急な斜面にブドウ畑があり労働条件としては厳しく、また水はけが良い土壌=少ない収穫量という悲しい現実もあり、貧しいブドウ栽培農家の多くがブドウ作りを断念し大理石採掘の仕事へと移行。1950年代頃には1000ヘクタールあったボッティチーノのブドウ畑は現在では50ヘクタール、生産者の数も実に5軒まで減少してしまった。

 


 

現在NOVENTAでは、畑仕事は「Franciacortaフランチャコルタ」で20年ワイン造りの経験を積んだアレッサンドラの夫クリスチアン(左)が主導で行っているのですが、この1月にNOVENTAワインの評判を密かに聞きつけて畑を訪れた、イタリアで著名な醸造家カルロ・フェリーニ(右)が、彼らのワインのポテンシャルに惹かれサポートしたいと話を持ち掛けてきた。

 


 

『彼からの提案だから、友達価格でね!』と嬉しそうに話すアレッサンドラ。畑仕事と並行し営業やマーケティングもこなすバイタリティ溢れる女性で「一人でも多くの人に自分たちのワインを飲んでもらいたい!」と夫婦一丸となり日々奮闘中だ。

 


 

実は、私の暮らす町のトラットリアなどではNOVENTAワインを扱っているところも多く、10年ほど前からNOVENTAワインを知っていて大ファンの私。世代交代が間近になり、カルロ・フェリーニの指導の下、彼らのワインがこの先どんな風に成長し、はたまたどんな風に世界に認められるようになっていくのか私もとっても楽しみなんです!!

皆さんもミラノやヴェローナなどにいらした際には是非NOVENTAに寄ってみては如何ですか?ここでしか味わえない、果実味溢れるチャーミングで個性的な赤ワインに出会えるはずですよ♪

 


~NOVENTAの主力商品3種~
  • 左から
  • 「Colli degli Ulivi コッリ  デッリ  ウリーヴィ」
  • 「Gobbio ゴッビオ」
  • 「Pian de la Tesa ピアン  デ   ラ  テーザ」
  • それぞれ別の畑で造られていて、畑名がワイン名になっています☆
 

イタ リア有数の米と南瓜の産地から旬な情報や日々の暮らしぶりをご紹介!

高橋 正美(Masami Takahashi) イタリアワインを学ぶため2000年に渡伊。ブレーシャ近郊の2つ星レストランでのソムリエ勤務を経て、2004年からミラノで日本人向けのワイン講座を開講。現在はソムリエとしての仕事と平行し、主に食関連の日伊企業のコーディネーター業務にも携わる日々。イタリア人夫と娘(11歳)の3人、ロンバルディア州マントヴァ郊外の田舎暮らし。ブログ『イタリアで暮らして』で日々の暮らしを綴る。

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