土地もブドウもルーツは古代ローマ~知られざる土着品種から生み出される高品質ワイン Presented by モンテ物産

ローマから南東に60kmほど向かうと、小さな丘の上に小ぢんまりと家がひしめき合っている。
古い町並みが残るコリという町だ。

▲コリの町


チンチンナート社はそのコリの町から500mほど離れたところにあるワイナリーで、アグリツーリズムを併設している。このワイナリーは130のブドウ農家による協同組合だ。チンチンナート社の社長ナッツァレーノさんがワイナリーの説明をしてくれた。
▲チンチンナート社のブドウ畑。正面の白い建物がカンティーナ。左奥にコリの町が見える


「この地方は昔から小さな生産者が集まる地域で、第二次世界大戦終了後の1947年、経済的な危機を感じた小規模農家が協力し合う目的で、協同組合が設立されたんだ。

1990年初頭にはイタリアにカベルネ・ソーヴィニョンやシャルドネなどの国際品種ブームが到来するが、我々はブームに乗らず、このあたりにしかない黒ブドウのネーロ・ブオーノと白ブドウのベッローネという土着品種(地ブドウ)のポテンシャルを信じて育て続けた。さらに、それまでは発酵後のワインを大手に売っているだけだった商売を、協同組合であっても量より質を求めたワイン造りに大きく方向転換したんだ。これが結果的に2000年前後に来るイタリアの土着品種回帰ブームに先駆ける形になったというわけだ。」
確かに、絶滅しかけていた土着品種を見つけてそれを増やし…というのは今ではブームを通り越してよく聞く話しだ。

▲チンチンナート社の社長ナッツァレーノさん


「量より質を、と言うのは簡単だが、それはもう大変な苦労だったんだよ。」
ナッツァレーノさんが眉根を寄せて苦笑いをする。
「ブドウをたくさん作って売れば売るほど儲かるのに、なぜ収量を制限するんだ!と最初は猛反発で、説得するのが大変だったんだ。結局ブドウの質に応じて買い取り価格を変え、その結果良いワインができるようになって今ではみんな満足しているよ。もう一点問題だったのは、ネーロ・ブオーノとベッローネという品種の栽培の難しさだ。どちらも共通して、ブドウの収量は少ないのに樹勢が強く、葉がどんどん増える一方で湿気には弱い。だから葉をこまめに適切な量を取り除かなければならないんだ。それに加えてネーロ・ブオーノは、品質を上げるためにマセラシオン(浸漬)の期間を伸ばす必要があったが、果皮が薄くマセラシオンが長すぎると雑味が出てしまう。だから正しいマセラシオンの期間を見つけるまでに数多くの実験的な醸造を行ったんだ。様々な努力の甲斐あってすでに十分素晴らしいワインに仕上がってはいると思う。だがまだポテンシャルを秘めたブドウだとも考えている。この品種でより高品質なワインを造るためにはなにをすべきか、というのは常に考えて続けているよ。」
▲ベッローネ(左)とネロブォーノ

イタリア人は自分の故郷のことを熱く語る人が多い。だが郷土愛が強かったとしても、ここまで土着品種にこだわって困難に立ち向かうのは並大抵の覚悟がなければできなかっただろう。
首都ローマを有するラツィオ州は、白なら“法王のワイン”フラスカーティ、赤なら黒ブドウの土着品種チェサネーゼを使ったものが有名で、ネーロ・ブオーノとベッローネがすんなり出てくるソムリエもそう多くはないだろう。
気難しい知られざる品種が、彼らの執念とも言える努力の結果どういうワインになったのか、ぜひ試しに味わってみてはいかがだろうか?
▲チンチンナートのラインナップ。ベッローネ種とネーロ・ブォーノ種をベースに、泡・白・赤でライトからフルボディまで揃う。白はキャップシールの上に白抜きで赤は赤字でワイン名が印字されている。

モンテ物産
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