職人技と最新技術の融合した極上の味わい、プロシュット・ディ・パルマD.O.P. Presented by モンテ物産

パルマから南に向かってパルマ川沿いを30分ほど車を走らせると、プロシュット・ディ・パルマD.O.P.の生産地として有名な、ランギラーノの町が見えてくる。町周辺には約200もの生産者が集まっている一大生ハム生産地だ。その町の中心からさらに川に沿って10分ほど南に下ったところに、プロシュット・ディ・パルマD.O.P.やサラミ類のブランド“モントルシ”の製造工場がある。

12製造責任者のマッシミリアーノさんが笑顔で迎えてくれた。
「モントルシは1880年創業の老舗の会社で、後にヴェロネージグループという大きなグループの傘下に入ったんだ。その大きな利点は、同グループが飼料メーカー、畜産農場、屠殺場も持っているため、良い豚を育てるために不可欠な良い飼料作りから最終的な加工・販売までが全てグループの管理下で行えることだ。グループ会社に質の悪いものを売ったり、高く売りつけたりなんて当然しないだろう?だから健全で高品質な原材料が適正価格で手に入るんだ。」
話をしながら向かった先では原料肉の荷受けをしていた。
「あの肉を一つ一つチェックしている担当は、相当な経験を積んだ人しかできないんだ。この道20年や30年のベテランばかりだよ。なぜなら入荷した肉がプロシュット・ディ・パルマD.O.P.に最終的になれるかどうかはここにかかっていると言っても過言ではないからなんだ。形、大きさ、サシの量と入り方、骨の内部破損の見極め、血だまりがないかなど、非常に多くのチェックポイントがある。でもすでにこの工場に売る前に一度出荷前チェックが行われているおかげで、何百本と届いても数本しか規格外にならないよ。」
なるほど、ここでグループ会社の強みが出ているわけだ。外されたものでも品質に問題がない場合は、D.O.P.が付かないただの“プロシュット・クルード(生ハム)”として売られる。

「この工場では肉の重量を自動で測り、表面の非食用部分に日付などを刻印し、縦長の可動式の棚に自動的に整然と乗せられていく。作業が効率良く進むとともに計測、印字忘れなどの人為的なミスも防げる。その後の工程でも、肉全体にまんべんなく塩をかけるのは機械が行う。でも骨や血管の周りなど塩を多くつけたほうがいい部分はその作業専門の担当者が塩をすり込んだりかけたりするんだ。これも目利きの職人が必要ということだよ。」
この塩付けの作業の後に冷蔵室で寝かせるという工程を2回繰り返し、塩を取り除いて1回目の塩漬けから数えて3ヶ月目まで再度寝かせ、ようやく熟成工程に入る。
「熟成庫に入れる前に、皮に覆われていない肉の部分の乾燥を防ぐためにスンニャ(sugna)という豚のラードをベースにしたものを塗るんだが、これも部分的に取り除いて空気の通り道を作ったり、内部の水分が抜けやすいように骨の周りを薄くしたり、と人の経験と手が必要になる。」
生ハム倉庫慣れた手つきでスンニャが塗られていく光景を横目に熟成庫に一歩足を踏み入れると、どこまでも果てしなく続く、ジャングルさながらの熟成中プロシュットに圧倒された。
「驚いただろう?ここには約12万本あるんだ。」
この12万本全てを職人がチェックし、塩をすり込み、スンニャを塗って、と考えただけで気が遠くなりそうだった。
「ここで9ヶ月熟成し、1回目の塩漬けから数えると12ヶ月経った段階でD.O.P.協会の検査員がやってきて、D.O.P.として認められるかどうかが判断される。判断基準は大きさ、形などはもちろんだが、とがった馬の骨を肉の5箇所に刺して香りを嗅ぎ、全体がばらつきなく中まで良い熟成をしているかもチェックするんだ。これも職人技だね!」
彼らも自分達用にチェックを頻繁に行っているので、非常に慣れた手つきで同じ手法で香りを嗅がせてくれた。熟成したいい香りだ。ここから15ヶ月目、あるいはさらにそれ以上熟成されるものもある。
「生産者によってはひどいところだと5%や10%もこの検査で落とされてしまうんだが、我々は常に0.5%以下に抑えているんだ。原料肉の良さと最初の職人によるチェックが肝心だって言っただろ?様々な新しい機械を使いながらも、結局肝心なところは職人に任せる。上手く伝統と技術を融合させ、安全で美味しいものをより多くのお客様に食べてもらう、これが我々の望んでいることなんだ。」
そう言うと、マッシミリアーノさんは誇らしげににっこり笑った。

生ハム料理プロシュット・ディ・パルマD.O.P.には原料豚の種類、地域、製法、品質などに非常に細かい規定が数多くあり、必然的に値段も普通のプロシュットより高くなる。だが味の良さは厳しいD.O.P.協会のお墨付きだ。
みなさんも一度、プロシュット・ディ・パルマD.O.P.とそれ以外のプロシュットで食べ比べてみてはいかがだろうか?