トスカーナ

vol.202015年2月発行カートに入れる

ナポレオン、ハチミツ、エルバーノ

ピオンビーノからカーフェリーに乗り込む。先週までは雨が続いて、天候も良く無かったので心配だったが、11月(取材は2014年11月)だというのにこの日は暖かく、デッキで弾かれていく水面を眺めていても心地良い日だった。もちろんハイシーズンであればフェリーも人々で賑わい、このデッキはバカンスに期待を膨らませた人が、風を受けながら日光浴を楽しんでいるに違いない。でも、ぽつんとひとり初めて上陸するエルバ島への期待に思いを寄せるのも悪くはなかった。
 しばらくすると西日の陰になって小高い山が連なる島影が黒く見えてきた。近づいてその姿がはっきりと現れた時、岩場と緑が多いことに気がつく。ポルトフェッライオの港に着くころには、灯台のある高台にかつてのナポレオンの邸宅跡が見える。約1時間弱の船旅の終わりは島取材の始まりだ。
 トスカーナ州リボルノ県エルバ島は、1814年ナポレオンが蟄居した島として知る人も多い。2014年はちょうどその200年にあたり、記念の行事も色々とあったようだ。島のあちらこちらに白地に斜めの赤のラインに3匹の蜂が配された島旗がなびいていた。これはナポレオンが立てた旗で、養蜂の盛んな島の蜂を象徴として、養蜂、鉱石、漁業を意味する3匹を配置したものと言われている。
 島の人は概ね彼が滞在したことに好感を持っていた。1000人ほどの兵隊を連れて上陸し、町を整え、現在に至る発展の礎をつくったとされ、ある人はナポレオンは島を有名にしてくれたと上機嫌に話していた。

 緑の多い島は、クエルチャ(樫)、ミルト(銀梅花)、コルベッツォロ(西洋ヤマモモ)、レンティスコ(乳香樹)、ジネーストラ(エニシダ)などの地中海特有の木々とハーブ類が多く自生しているからだという。そして海岸線の多くは岩場であり、砂浜の数は少ない。
 現在の島の主要な産業は観光業。春から10月中旬までは観光客で賑わい、北イタリアをはじめ、ドイツ、スイス、フランスなどからも多くの観光客が訪れている。別荘を持っている人も少なくない。
 島は大きく分けて3つの地域に分類できる。細長く地形の延びた東側は、鉄分を多く含んだ土壌でかつて鉄鉱石の採掘で栄えたところだ。中央部は島のいちばんの中心地ポルトフェッライオのあるところで、このあたりは粘土質の土壌。西側部分は、島でいちばん高い山カンパーネ山の火山活動によってもたらされた石灰質の土壌である。島の周囲は約140kmと小さいので1日でも回りきれる。
 そんな島に敢えてシーズンオフの晩秋に取材に行った。観光シーズンを避けて島民の生活を見てみると、島本来の姿や観光以外の魅力が分かるような気がしたからだ。シーズンオフでも生産者は休まない。むしろその時期こそ次のシーズンを迎える大切な準備の季節でもある。
 エルバーノ(エルバ島の人)は、仲間で集まればグリルをやってワインを飲んで陽気で元気だという。温暖な気候と豊かな自然、そして自慢の海には、島民を島から離さない魅力がたくさん詰まっていた。

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2月1日はイタリア各州のワインも勢揃い

2015年2月1日(日)
集まれ!イタリア好き!
祝♪20号記念スペシャルフェスタ!

「インポーター各社のみなさま、日頃からテンダロッサと編集長マッシモを応援サポートしていただき、ありがとうございます!みなさまの多大なるご協力あってのこのイベント。何よりも我々スタッフが1番心待ちにしております。イタリアをこよなく愛し、飲んで食べるのが大好きなお客様が沢山集まる楽しいパーティーになること間違いナシ。是非、イタリア好きサポーターとして皆様も遊びにいらしていただき一緒に飲んで食べてワイワイできたら幸せです♪
イタリア各州のワインを揃えてお待ちしております〜!」

ラ・テンダロッサ ソムリエ矢野

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【ご協力いただくワインインポーター】
アイファクトリー
アビコ
日欧商事
フードライナー
モンテ物産
郵船商事

★webでのお申込みは終了しております。参加をご希望の方は当日会場までお越し下さい。当日券にてご入場いただけます。
*混雑時にはお待ちいただく場合もございます。ご了承ください。

『イタリア好き』vol.20 発行記念スペシャルフェスタ!お知らせ2

2015年2月1日(日)
集まれ!イタリア好き!
祝♪20号記念スペシャルフェスタ!

フリーマガジン『イタリア好き』20号の発行を記念して、
イタリア各地の郷土料理を楽しめるフェスタを
横浜・馬車道の名店「ラ・テンダロッサ」の西沢シェフの協力のもと賑やかに開催します。
なかなか見られない一流シェフ達の競演や、珍しい郷土料理の数々を楽しんでいただけます。

■イベント概要・お申込みなど、詳しくは以下をご覧下さい。
https://italiazuki.com/?p=8143

*写真は昨年、サルデーニャ料理「タロス」で行われたデモンストレーションの様子。
「タロス」のシェフ馬場圭太郎さんと、「ラ・テンダロッサ」のシェフ西沢健三さんによる、
イノシシ肉料理対決!
サルデーニャ偏、トスカーナ偏をつくってもらいました。

DSC_0350 (800x532)

敵地(渋谷)に乗り込み、真剣な西沢健三シェフとは対照的に、
ホームで迎えうつ馬場圭太郎シェフの余裕。

その時の模様は↓こちらからも
https://plus.google.com/photos/108919187406475357915/albums/6078758148306532625

土地と畑を愛する農夫、ラ・スピネッタ社のジョルジョ・リヴェッティ氏 Presented by モンテ物産

Giorgio with orange pullover

「良いワインを造るには良いブドウから。ワイン造りにおいては、90%は畑仕事に力を注がなければならない。」

サイのラベルのバルバレスコで有名なラ・スピネッタ社のオーナー兼エノロゴ(醸造責任者)であるジョルジョ・リヴェッティさんは、会う度に彼の熱い哲学を語ってくれる。

Campe outsideピエモンテ州アスティ県カスタニョーレ・デッレ・ランツェの町外れに位置するラ・スピネッタ社は、バリックや新しい技術をピエモンテに持ち込み一世を風靡した『バローロ・ボーイズ』の中でも最も成功したワイナリーの一つだ。モダンな建物に最新の機械が整然と並び、ゴミ一つ落ちていない綺麗さである。

crushing grapes「ワイナリー内でできることは残りの10%しかないが、収穫したブドウのポテンシャルを最大限に引き出し、その畑の良さをストレートに表現するために、細心の注意を払い丁寧に醸造を行うようにしているんだ。そして私たちの土地、土地が造り出す物の価値に対して確固たる信念をもち、敬意を表するため、私たちが栽培するのは、その土地の地ブドウあるいはその土地に根付いた品種のみだ。」

実際にラ・スピネッタ社のワインに添えられる名前はファンタジーネームではなく、ガッリーナ、スタルデリ、ヴァレイラーノ、カンペなどのように、畑の名前となっており、その畑の味を楽しんでもらいたい、という想いが込められている。

Gallina Barbaresco Vineyardこのこだわりを持ったワイン造りですでにピエモンテで大きな成功を収めているが、ジョルジョさんの熱いパッションは留まるところを知らない。ピエモンテと並ぶワイン銘壤地であるトスカーナにもワイナリーを構え、2001年からサンジョヴェーゼ、コロリーノなどのトスカーナの地ブドウを使ったワインをリリースし始めた。やはりどこに行ってもジョルジョさんの哲学は変わらず、彼が選び抜いた65ヘクタールという広大なブドウ畑から素晴らしいワインを生み出している。
輝かしい受賞歴には枚挙に暇がないが、それに加え有名なイタリアのワイン評価本“ガンベロ・ロッソ”誌で2001年のワイナリー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれた。

vineyard in fall colors「私は、どれだけワイナリーが有名になり大きくなっても、常に農夫であり続けるよ。最も大事なブドウの世話を自分でしなければ気がすまないんだ。」
これが今回の訪問で一番印象に残った言葉だった。
実際にジョルジョさんは朝5時から自ら畑に出向き、それぞれの畑の状態を確認し始める。

cantina 1ラベルにサイのマークを選んだのは、「サイは力強く、進む方向を決めたらまっすぐ突き進むから」と言っていたが、話を聞くたびにまさにジョルジョさんの生き方そのものだと感じる。
3 Barbarescosどこかでサイのラベルを見つけたらぜひ一度飲んでみていただきたい。たっぷり詰まったジョルジョさんのパッションがひしひしと感じられることだろう。