イタリアCINEMA好き 「第25回東京国際映画祭」


「ニーナ」

アジア最大級の映画の祭典、東京国際映画祭(TIFF)がいよいよ開幕!
第25回目となる今年は10月20日(土)からの9日間、東京・六本木ヒルズをメイン会場に行われます。
イタリア映画も4本が上映予定ですが、どれも見逃せない作品ばかりが揃いました!!

まず、映画祭のメインであり、「東京サクラグランプリ」を競う「コンペティション」部門に選出された作品が、
「ニーナ」(Nina)。「マイ・ブラザー」のディアーヌ・フレーリ主演、女性監督エリザ・フクサスのデビュー作です。
夏休みで無人となったローマ郊外を舞台に、孤独な少女ニーナの見る世界をスタイリッシュな映像で切り取っていきます。
「素数たちの孤独」のルカ・マリネッリ、「ホテル・ワルツ」のマリーナ・ロッコも出演。

また、海外の映画祭で話題を呼びながらも日本での配給が決まっていない作品を上映する
「ワールドシネマ」部門では、2本の話題のイタリア映画を見ることができます。

ひとつは、今年のヴェネチア映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した
巨匠マルコ・ベロッキオ監督の新作「眠れる美女」(Bella Addormentata)。
17年間昏睡が続く少女の延命措置を終了する決定がなされたという、
2009年にイタリアで実際に起きた出来事に強いショックを受けたベロッキオ監督が作り上げた作品。
何らかの形で尊厳死にかかわる4人の物語が展開していきます。

さらに、イタリアの裏社会を赤裸々に描いた「ゴモラ」で衝撃を与えたマッテオ・ガローネ監督の新作
「リアリティー」(Reality)も上映されます。
素人の若い男女が共同生活するTV番組の「リアリティー・ショー」に出演する夢にとりつかれて以来、
徐々に夢と現実の区別がつかなくなっていく男を描き出すもので、
時にはファンタジックなタッチを用いながらも、現代イタリア社会の「リアル」な一面を見せつける作品です。
この作品でガローネ監督は「ゴモラ」にひきつづき、2度目のカンヌ国際映画祭のグランプリを獲得しています。

さらに、地球と自然環境を考える映画を特集する部門「natural TIFF」では、
「最後の羊飼い」(L’Ultimo Pastore)というドキュメンタリーが上映されます。
主人公は、ミラノに住む、大きな体と温かい笑顔が印象的なレナート。
彼は、なんと住宅街やビル街を何百頭もの羊を連れて歩く、「都会の羊飼い」。
子供の頃からの夢を叶え、羊飼いになったというレナートを追う、珠玉のドキュメンタリーです。
本誌『イタリア好き』のテイストにもぴったりの一本、ではないでしょうか。

以上の4作品ですが、残念ながら今の段階では日本での公開が決まっていません。
映画祭での上映を逃すと、今後日本のスクリーンでは見られない可能性もあります。
さらに、「リアリティー」以外の3作品では、監督または俳優が来日して、
上映後に観客の質問に答えるQ&Aコーナーも予定されています。
こんなお楽しみは「映画祭」ならでは、ですね。

この機会をぜひお見逃しなく!

第25回東京国際映画祭公式サイト http://2012.tiff-jp.net/ja/

「最後の羊飼い」