ヴァッレ・ダオスタ アグリトゥリズモ・レ・セクレイル取材記

1500mの高地にそのアグリはある。
本誌p30でも紹介している。
ここでは、夫のことに触れてみる。



26年前に、家族で暮らし、ともに働ける場所と選んだのがこの地だった。
慣れ親しんだ生活を新たにするには、
ある意味では、勇気がいることだ。
でも一家の主として、夫(父)の信念は揺るがなかった。
その芯の強さが、男としての魅力に映った。



たくさんの言葉を交わしたわけではない。
その様子や、振る舞いが自分にはない、
マネのできない男らしさを感じたのだ。



取材中、夫はひたすら妻を立てた、
マンマの料理の取材ということもあるだろう、
その姿は、豊かな心のつながりと、信頼し支え合う夫婦に映る。



長男が言った。
「イタリアでは家族の信頼がいちばん」
この地を選び、家族が一緒に暮らせる場所を求めた結果、
それは言葉だけではなく、見事に実現している。

心の豊かで、安らげる場所を作り、
皆がささやかな幸せを感じて暮らしている。
26年間はその結晶だ。
そしてそこには、
お客さまを惹きつける魅力の要素が全て揃っている気がした。



イタリア好き委員会
Hiroaki Matsumoto